認知症の方を在宅で介護をしていると、どうしても心配になることがありますよね?そのひとつに無断外出(徘徊) があります。
徘徊は行った先で他人に迷惑を掛けたり、怪我などをしたりするケースもあるので、気が気ではないでしょう。
2007年、愛知県大府市で認知症の高齢者が電車にはねられて死亡した事故は多くのマスコミでも取り上げられて話題にもなりました。
今回は、在宅介護において、どのような徘徊対策があるのかをご紹介していきます。
家族で出来ることを考える
まずは簡単に、家族だけで出来ることから考えていきましょう。
衣類に名前を書いておく
これはプライバシーの問題 が関係してくるのですが、衣類に読みやすい字で名前や住所、電話番号を書いておくと誰かに発見してくれる可能性が高くなります。
認知症の方の徘徊は何となく一般の人でも分かるものです。
車通りの多い大きな道の傍にいたり、用事もないのに行ったり来たりしていたりすると、異変に気付き衣類に書いた連絡先まで連絡してくれるかもしれません。
よく出かける場所をピックアップしておく
少し前まで農作業をしていたら、自分の田畑などよく出かけるのではないでしょうか?
また、近くのスーパーや近所の知人の家なども挙げられます。
万が一徘徊に気が付いた時、ピックアップしておいた場所を最初に探せるようにしておきましょう。
警察に通報した場合にも、訪れる可能性が高いことを伝えるようにしておくと、早期発見に繋がるでしょう。
夢中になれることを見つけておく
認知症になっても趣味を見つけることはできます。
例えば、折り紙や貼り絵、簡単なパズルゲームなどがあります。
物事に集中していれば、自宅でじっとしている時間が増えて、徘徊のリスク も低くなるということなのです。
介護保険を利用する
介護保険制度を利用していない人は検討して頂きたいです。
介護保険を利用して徘徊対策を行う方法もあります。
デイサービスやショートステイを利用する
徘徊の頻度が多くなった場合や、近所に線路があるなど危険のリスクが高い場合には、積極的に介護保険サービスを利用することをお勧めします。
介護保険サービスの中でも人気の高い、日帰りのデイサービスや宿泊を伴うショートステイは多くの人が利用しています。
通所介護などで日中の活動量を増やすことによって、夜間はぐっすり眠って夜間徘徊のリスクを低下させることができます。
この方法は特養なのでもやっており、日中の活動量を上げてカロリーを消費してもらい、夜間は良眠するという、生活のメリハリを付ける方法なのです。
徘徊感知機器をレンタルする
徘徊と聞いて真っ先に思いつくのが、施錠でしょう。
しかし、施錠しても様々な方法で外に出てしまうものです。
そこで安心できる装置が『徘徊感知機器』なのです。
この装置には以下の3種類があります。
①ベッドから離れた時にお知らせしてくれるもの
②特定の場所を通過した時にお知らせしてくれるもの
③発信器を携帯しお知らせしてくれるもの
この徘徊感知機器は高い金額を支払って購入する必要がなく、月々5,000円くらいの支払いでレンタルできるのです。
医療保険を利用する
医療的側面から認知症の徘徊の対策をとっていきましょう。
医師に相談する
認知症に伴う徘徊は、薬を服用することによって軽減させることができます。
落ち着きなく歩き回っていた高齢者が大人しくなったり、昼夜逆転して夜間に徘徊する人が眠るようになったりと、症状が改善する場合があります。
単に認知症で物忘れがあるというだけでなく、徘徊という症状があれば、是非認知症の専門医である精神科を受診してみましょう。
無料である社会資源を利用する
日本はまだまだ安全性の高い国だと言えるでしょう。徘徊対策に無償で取り組んでくれている機関があります。
事前に警察に相談しておく
徘徊をした時点で警察に相談するのでなく、徘徊をする前に警察に相談しておくのです。
警察といっても、交番や派出所でも構いません。
相談する際に伝えておくことを記載しておきましょう。
①氏名、生年月日、性別などの基本的な情報
②身長、体重などの体型
③よく着用している衣類の特徴
④本人の癖
⑤よく出かける場所
⑥認知症の症状
などがあります。
これらの情報を伝えておくことで、いなくなったときに、すぐに対応してくれるようになります。
地域包括支援センターに相談する
地域包括支援センターにもよりますが、独居高齢者や徘徊リスクのある高齢者の把握をして、万が一に備える仕組みを整えているところが多いです。
徘徊をする高齢者に対して、どのように生活すればいいかのアドバイスをしてくれたり、認知症サポート研修講座などの開催をしてくれます。
勿論、警察と同じように、希望者には徘徊リスクのある高齢者の個人情報を集めて、素早く対応できるシステムを構築しています。
実際に、地域包括支援センターの職員が徘徊した高齢者を発見したという事例もあるようです。
地域住民の力を借りる
地域住民には民生委員も含まれています。
そして近隣住民、高齢クラブの会員に声を掛けておき、徘徊をしたとき、探してくれる人の数を確保しておくのです。
警察や地域包括支援センターの職員と違って、地域住民の場合ははっきりと『顔』を知っているので、早期発見が期待できるのです。