親の介護問題は、将来的に取り組まなければいけない問題の1つです。
準備しなければいけないことは、介護保険の認定や日々のケアだけではありません。
介護にかかる費用面においても、家族として取り組まなければいけないのです。
潤沢な資産を持っていれば問題はないのでしょうが、介護費用に関する問題は深刻さを増しています。
この記事では、親の世代に介護が必要になったときにどのくらいの費用がかかるのか、どんな準備が必要なのかという点にスポットを当てて、詳しく解説します。
親の介護・どれくらいの費用がかかる?
親が介護認定を受けて介護が必要になったとします。
そのときにどの位の費用がかかるのでしょうか?
準備をしておくためにも、ある程度の見通しはつけておく方が安心です。
介護といっても大きく分けて2つのパターンがありますので、パターン別にご紹介します。
在宅介護の場合
生命保険文化センターが平成30年に発表した『生命保険に関する全国実態調査』によると在宅介護にかかる費用は月平均78,000円と報告されています。
在宅介護を行うにあたって、家の改修や介護用品を揃える一時的な費用負担は、何と平均690,000円にもなります。
介護が必要な年数の平均は5年と言われているので、実に5,000,000円以上の費用がかかるのです。
介護を受ける方の介護度が高ければ高いほど、手厚いケアが必要になります。
介護保険の支給限度額は介護度によって異なるため介護度が低い場合には自己負担分が増えてしまう可能性も考えておかなくてはいけません。
家族がケアを担当できれば費用を抑えることもできますが、サービス事業者にお願いするとなれば、費用はさらにかかります。
在宅で介護をするのであれば
- 家の補修はどの程度必要か
- 主に介護を担当する人は誰か
- 必要な介護用品は購入かレンタルか
- 既往症の有無
などを事前に知っておくと、実際に介護状態となったときにどのくらいの費用がかかるのか、概算を見積もることができるでしょう。
施設入所の場合
施設入所を検討している場合は民間施設か公的施設どちらを希望するのかによって費用は大きく変わります。
施設の種類 | 公・民 | 一時金の相場 | 月額の相場 |
特別養護老人ホーム | 公 | なし | 60,000~150,000円 |
ケアハウス | 公 | ~数百万円 | 150,000~300,000円 |
介護付有料老人ホーム | 民 | ~数億円 | 150,000~350,000円 |
住宅型有料老人ホーム | 民 | ~数千万円 | 150,000~350,000円 |
サービス付き高齢者向け住宅 | 民 | ~数十万円 | 100,000~300,000円 |
グループホーム | 民 | ~数百万円 | 150,000~300,000円 |
対象となる利用者の方の介護度や、施設自体の目的も異なるので一概には言えませんが、在宅介護の費用と比べるとかなり高額となることがわかります。
家族の事情やご本人の希望で施設入所を考えるのであれば、ある程度まとまった費用を準備しておく必要があります。
介護保険・要介護別の支給限度額
介護保険の支給限度額とは要介護認定を受けた方が介護保険を利用して、月々に受けることのできるサービスの限度の金額のことです。
支給限度額は介護度・自己負担額は収入によって異なります。
要介護度 | 支給限度額 | 自己負担額(1割負担) |
要支援1 | 50,320円 | 5,032円 |
要支援2 | 105,310円 | 10,531円 |
要介護1 | 167,650円 | 16,765円 |
要介護2 | 197,050円 | 19,705円 |
要介護3 | 270,480円 | 27,048円 |
要介護4 | 309,380円 | 30,938円 |
要介護5 | 362,170円 | 36,217円 |
注意をしたいのは支給限度額を超えたサービスについてです。
支給限度額を超えた場合は全額自己負担となります。
認定される介護度にもよりますが、どのようなサービスを受けるかによって負担する費用は大きく変わってきますので、家族でよく相談する必要があるでしょう。
親の介護・どんな準備が必要?
自分の親が介護状態となったとき、どのような対応をするのかという点については、事前に話し合っておくことが重要です。
ご本人の希望や家族の状況によって、負担する金額は大きく変化するからです。
次の3つのポイントを押さえて、いざというときに困らないよう、取り決めをしておきましょう。
親の希望を把握する
親が元気なうちに、『介護状態になったらどのようなケアを受けたいか』という希望を確認してください。
万が一、認知症などを発症してしまうと、ご本人の希望がわからなくなってしまうからです。
在宅での介護を希望するのか、施設の入所を希望するのか、その2点だけでも大きく対応が異なります。
介護度によっては在宅介護が難しいケースも出てきますが、ご本人の希望にはできるだけ寄り添ってあげたいものです。
話しにくい内容かもしれませんが、いざという時に困らないよう、きちんと意思確認をしておく必要があります。
親の経済状態を把握する
親がどの程度の経済状況にあるのかを把握することも大切です。
介護が必要になったとき、費用は必ず発生します。
預貯金・年金額・月額固定費・負債額などは今後のためにも把握できるようにしましょう。
介護で必要な経費を親がどの程度賄えるのかは、自分たちの生活に大きな影響を与えます。
親が老後をどのような経済状態で生活しているのか、家族で理解する機会も必要です。
家族で費用負担の話し合いを
親が全額費用負担ができない場合は、家族でどのように負担をするのかを話し合わなくてはいけません。
- 金銭的援助はどの程度可能か
- 実際に介護ができる家族はどのくらいいるか
兄弟姉妹がいる場合は、全員で話し合うことが重要です。
自分たちの生活もあるので、お互いに無理のない妥協点を見つけなければいけないからです。
施設入所の費用がなくて自宅を売却したり、費用が払えず税金や光熱費などを滞納してしまったりするケースも見受けられます。
急に介護が必要になることも考えられるので、日頃からコミュニケーションを図り、大切な話ができる関係性を作っておきましょう。
まとめ
親の介護はときに大きな負担となり、共倒れしてしまうこともあります。
特に金銭的な問題については、なかなか言い出しにくいこともあり、いざとなったら費用が足りないということも考えられます。
親の希望をきちんと聞き、家族で介護に関する話し合いを持てるようにしましょう。
そうすることで急な介護に直面しても、慌てずに対応することができるはずです。