実家で元気に暮らしていた親が、急に介護を必要となったらどうすればよいのでしょう?
自分の生活や仕事、プライベートなど、生活が一変する可能性がありますよね。
前触れなく訪れた親の介護が、自分の人生に大きな影響を与えかねません。
しかしこのような不測の事態となる前に、親の介護対策は十分に可能です。
今回ご紹介する『親の介護前に準備しておきたい4つの項目』で備えておけば、介護に対する身体的・精神的な負担がグッと軽くなりますよ。
親の介護で後悔しないために十分な準備を
介護準備は、親が元気なうちから少しずつ始めるのが理想的だとご存知でしょうか?
高齢者は身体の衰えにより、突然の病気や怪我のリスクが高い状態です。
『つい先日まで元気でも現在は寝たきり』といった急な変化も珍しくなく、その時点ではすでに会話が難しい場合も考えられます。
しっかりと介護の準備をしないと「親の話を何も聞けなかった」と後悔するかもしれません。
しかし「そろそろ介護の準備をしたほうがいいのかな……?」と思いつつも、備え方がわからなければ戸惑うばかり。
結局後回しにしてしまい、突然介護が始まるケースが非常に多く見受けられます。
親の介護はあまり想像したくないかもしれませんが、早い段階での備えで介護による負担が軽くなりますよ。
介護の準備をしないまま親の介護生活になるとどうなるのか
何も備えずに親の介護が突然始まったら、自分の生活にあらゆる変化が生じます。
可能性の高い具体的な変化を挙げてみましょう。
身体的な負担
介護が必要な状態とは、ひとりでの生活は困難という状況です。
病気や怪我により介護のレベルは異なりますが、誰かしらの援助が欠かせません。
親を在宅で介護するならば、日常的に親の体を起こしたり支えたり、身体介護をおこなう場面が多々あります。
介護が長期間になるにつれて介護者の肩や足腰への負担は大きく、健康にも支障をきたす可能性が高いといえます。
精神的不安定
親の介護は終わりの見えない不安がつきまとうので、精神的に辛い状態です。
特に親が認知症の場合、意思疎通の困難から相手に対する苛立ち・ストレスで、精神的な負担がかかると想像できます。
また、長期間におよぶ親の介護はひとりで悩みを抱え込みがちです。
特に兄弟や親族、自分の家族から介護の協力を得られないと、「自分だけ親の介護を強いられている」と不満が募ってしまうでしょう。
介護疲れによる『介護うつ』の発症にも注意が必要です。
経済的な心配
親の貯蓄や年金額が少ないと、親だけではすべての費用を支払えない状況も少なくありません。
介護サービスは介護保険内のプランで出費を抑えられますが、食費やおむつ代など、介護保険では負担されない支出があるためです。
また、親の介護のために退職を選んだ場合、自分の生活において経済的に心配です。
収入源がないため、親や自分の将来に不安を覚えてしまいます。
時間のやりくりが困難
親の介護が始まると、自分の自由時間が極端に減ると考えられます。
例えば同居の親が認知症の場合、身体は元気であるため動きが多く、常に目が離せないといった状況も想定するべきでしょう。
遠方での介護ならば、親の家まで移動時間が必要です。
時間拘束がある現実は避けられません。
介護とともに仕事や育児を両立しようとすると、ゆっくりと心を休める暇がないのも問題です。
親が介護を必要とする前に取り組みたい内容は4つ
突然訪れる親の介護を少しでも安心して行うためには、事前準備が不可欠です。
体制を整えておくと、いざとなっても慌てずに親の介護に対応できますよ。
ここでは介護前に取り組みたい準備を具体的に4つ紹介します。
介護に関する制度の理解
介護保険や介護サービス、自分の会社の介護休暇制度などを事前に把握しましょう。
自分の生活と介護を両立する方法を備えることで、あらゆる負担が軽くなります。
親の介護については地域包括支援センターでの相談がおすすめです。
高齢者に関するさまざまな相談を受け付けており、今の自分がやるべきことを教えてくれますよ。
頼れる場所をひとつ作ると、心に余裕ができますよね。
地域包括支援センターは各市町村に設置されているので、ぜひ訪ねてみてください。
また、所属している会社の介護休暇制度をチェックしておきましょう。
介護と仕事の両立は負担が大きいので、自分自身が体調不良となる恐れがあります。
介護の可能性がある現状をオープンにして制度を積極的に使う柔軟性が、介護の負担を軽減させるコツです。
親の意向を聞く
日常会話の延長として、さりげなく親の考えを聞いてみましょう。
介護が必要となった親がなるべく今まで通りの生活を送るためには、もともとの生活を把握していなければなりません。
親の好きな食べ物や趣味、友人などを事前に聞いておくと、何かの選択の際に判断しやすくなります。
ほかにも、介護が必要となったら自宅で過ごしたいか、誰かと同居したいか、施設に入りたいかも親に確認しておくと、そのときが訪れた場合に役立つはずですよ。
テレビの特集や新聞の記事などで介護の話題になったときが、聞きやすいタイミングですね。
役割分担を親族で話し合う
突然始まる親の介護は予想以上に大変なので、可能なかぎり親族で介護に関する担当を決めましょう。
役割分担がされていないと介護を担っている家族の負担が大きくなり、徐々に孤立感や不公平感を抱いてしまいます。
長期的な介護に対して、ずっと一人で引き受ける環境は現実的ではありません。
家族や親族全員が力を合わせて、お互いにできることを責任もっておこなうのがベストだといえます。
具体例として
- 家が近い家族が定期的に様子を見に行く
- 親の買い物を代行する
- 時々食事を一緒にする
- 遠方の家族ならば電話を入れる
といったサポートを親が元気な時から開始し、自然に介護に入るのが理想です。
親の介護資金
親の介護に関するお金は、事前にしっかり把握しましょう。
介護費用は親の資金が基本なので、財産や年金、収入を把握するためには親に直接聞くのがもっとも早いといえます。
ストレートに聞きにくい場合は「老後の生活は○○万円が必要」といった根拠となる数字をもとに、心配している旨を伝えましょう。
また、親の資金のみで介護費用を賄えない場合、親族や兄弟姉妹が無理なく支援できる金額の設定も大切です。
のちのちのトラブルにも役に立つので、やりとりの記録やデータ管理しましょう。
お金の専門家であるファイナンシャルプランナーへの相談もおすすめですよ。
まとめ
親の介護はさまざまな環境整備が欠かせません。
なかでも重要なのは介護の知識や、親・兄弟間での話し合い、金銭面の確認です。
家族間で話題に挙げるのは抵抗がある内容ですが、しっかりと納得のいく方法を皆で考えておきましょう。
介護に対する準備と心構えがあれば、いざという時に安心して親の介護をおこなえるはずですよ。