在宅介護でも施設介護でも、介護現場では独特な臭いがすることが多いでしょう。
特に在宅介護の場合、介護を受けている本人と、それ以外の家族も同居していることが多く、この臭いに困っている人も多いと思います。
今回は、介護現場(在宅介護)での臭いの原因を解説し、臭いを軽減させるためにはどのようにすればいいか解説をします。
臭いの原因① 口臭
口の中はこまめに口腔ケアを行い、清潔にしておかなければ口臭がしてきます。
口臭には義歯も含めて、綺麗にケアしないといけません。
自分で食事を食べられる人は、口を閉じることができ、口臭もそこまで重度ではないと思います。
しかし、寝たきり状態で、顎の周辺の筋肉が弱り、常に口が開いている人なら口臭が気になります。
口臭の対応策
口臭で一番臭いを持っているのは舌です。
高齢者の舌を見てみましょう。白く汚れたりしていれば口腔ケアが十分に行われていないということになります。
歯だけを意識して歯磨きをするのではなく、舌も専用のブラシなどでケアし、汚れを取り除くようにしましょう。
虫歯も臭いを持っています。
虫歯があるようなら、早期に歯科医に治療をしてもらうようにして、清潔な状態にしておくと良いでしょう。
臭いの原因② 加齢臭
特に男性に多いのが加齢臭で、首の後ろや、髪の生際周辺から出るとされています。
とはいっても、加齢臭は生理現象ですので、だれでも発生する可能性が高いのです。
加齢臭の対応策
要支援状態、要介護1や2であれば、自宅で入浴することが可能だと思いますので、毎日お風呂に入るようにします。
もし、段差があったり、手すりが設置してなくて、入浴できる環境が整っていなければ介護保険制度の『住宅改修』を利用してなるべくリフォーム費用を抑えるようにします。
重度である、要介護4や5になると、毎日入浴するのが難しくなります。
例えば、デイサービスやショートステイを利用して、最低週2回は入浴できるようにするとよいでしょう。
残りは、訪問介護のヘルパーさんにお願いすることも可能ですし、家族がドライシャンプーなどを利用して清潔を保つのも一つの方法です。
臭いの原因③ 汗
発汗によって濡れた汗がそのままになり、臭いがすることもあります。
実は汗そのものには臭いは無いのですが、放置することによって、汗や皮膚の汚れを餌にした細菌が発生し、臭いが放たれる仕組みになっているのです。
汗の臭いの対応策
まずは発汗をなるべく抑えることです。
特に夏場になり、エアコンを使わず扇風機だけに頼っているとすぐに汗をかきます。
夏場の発汗は、臭いも気になりますが、脱水症状や熱中症になる可能性が高いので要注意です。
部屋の温度を考慮して、快適に過ごせるようにエアコンを付けて発汗を抑えましょう。
脊髄損傷などで体温のコントロールができない寝たきり高齢者もいます。
そのような場合には、熱がこもらないように毛布や布団を上手に使用し、体温測定を行い発汗予防することも大切です。
もし、発汗があれば、速やかに更衣介助を行い、不快感を除去し臭いの元となるものがないようにしましょう。
臭いの原因④ 食事
独居高齢者の場合、食べ物を上手に管理することができない場合があります。
昼食に作ったおかずをそのまま次の日まで冷蔵庫に入れずに放置しておいて、腐らせてしまうことも珍しくありません。
また、上肢の動きが悪かったり、認知症によって口まで食べ物を上手に運べなくなると食べこぼしが増えます。
食べこぼしが増えると、衣類やタオルについてそれが臭いの原因になることがあります。
食事の臭いの対応策
独居高齢者への対応策としては、訪問介護サービスなどを利用して、食品に関して清潔を保てるように配慮するようにします。
食べこぼしが多いからといって、全てを介助で食べさせるようなことは避けましょう。
出来ることまで介助してしまうと、本当に何も出来なくなり、どんどん身体状態が悪化する可能性があリます。
汚れた衣類やタオルはこまめに選択し、臭いを元から取り除くようにします。
臭いの原因⑤ 排泄物
要介護4や5であれば、オムツをしてそのなかに排泄することが多くなってきます。
すぐにオムツ交換ができれば臭いも軽減できるのですが、夜中などの排泄はなかなか対応できないのが現実でしょう。
また、ポータブルトイレをベッドサイドに準備して、そこに排泄をすると臭いも強くなります。
なかには、認知症でトイレが分からなくなり、壁やゴミ箱に向かって排泄を行うことあるので大変なケースもあります。
こうなると、臭いをもとから取り除くことができないので苦労するでしょう。
排泄物の臭いの対応策
まず、基本的なことは排泄があればすぐに取り除くことです。
それでも臭いが充満してしまい気になる場合は、消臭スプレーや空気清浄機などを利用するようにします。
ポータブルトイレの場合、排泄物を受けるバケツの中に専用の消臭液を入れておく方法もあります。
臭いの原因⑥ 衣類や寝具
高齢者になると、動くことが億劫になり、家事がおろそかになります。
そして十分な衣類やタオル、布団、毛布などが不潔になりやすくなり、臭いが発せられるのです。
特に衣類は、汗、排泄物、食べ物の汚れなど、様々な臭いの元が含まれているので、毎日洗濯をして清潔を維持しておく必要があります。
衣類や寝具の臭いの対応策
消臭スプレーという発想もあるかもしれませんが、一番は洗濯をすることです。
本人が洗濯できなければ、訪問介護を利用したり、家族が手伝うなどしてあげましょう。
臭いの原因⑦ 手の拘縮
寝たきり高齢者に多いのが手の拘縮です。
掌が開かず、常に握りしめた状態になっているので、そこが臭いの元になるのです。
そこからは汗の臭いは勿論、白癬菌(水虫)に感染している場合には、更に複雑な臭いとなってしまうのです。
手の拘縮の臭いの対応策
毎日、手浴をしてあげてください。
できれば、洗面器にお湯を張って、そこに手を浸して手の中の汚れを十分に取り除くのです。
拘縮が酷くて無理にすると骨折などの危険性が高くなるので、蒸しタオルなどでふき取るのも一つの方法です。
もし、白癬菌もあるのなら、医師から処方してもらった塗り薬を塗布すると良いでしょう。