介護のはじまり

介護難民とは?今からできる3つの準備

2025年には国民の3人に1人が65歳以上になるといわれている日本。

高齢人口の急速な増加の中で、介護が必要であるのに十分なケアが行えないという問題が浮上しています。

介護が必要な高齢者の増加に加え、介護業界の人手不足・介護施設の不足などが原因となり、安心した老後を送ることができない状況が迫っているのです。

そこでこの記事では、介護難民とは何なのか、介護難民にならないためにできる準備はあるかというポイントをご紹介します。

1・介護難民とは?

介護難民とは介護を受ける状況にあるにもかかわらず、十分な介護を受けることができない人のことをいいます。

介護にはさまざまな職種の専門家が関わりますが、その人たちの協力が得られないということです。

今後どのような問題が起きる可能性があるのか、現状をご紹介していきましょう。

2025年・首都圏の介護難民は25万人

介護保険制度は2000年からスタートしました。

厚生労働省の調査によると、2021年7月時点での第1号被保険者数は、3,584万人と報告されています。

今後、2025年には国民の3人に1人が65歳以上になるといわれており、介護保険制度を利用する人口はさらに増えることは間違いありません。

団塊の世代が一斉に75歳以上になり、首都圏においては2025年には介護難民が25万人を超えるとの試算もあります。

現在でも特別養護老人ホームの待機者数は、全国で40万人以上…受け入れ体制がきちんと整わなければ、介護難民は増加の一途を辿ることになるでしょう。

世帯収入の減少による節約志向が問題

世帯収入の減少による節約志向も問題の1つとなっています。

介護サービスを利用するのは無料ではありません。

介護度や利用するサービス内容に応じて、料金が発生します。

貯蓄もなく、年金生活を送っている高齢者の方にとっては、介護サービスの利用料も生活を圧迫する原因に…。

『多少不自由があっても介護サービス利用料を節約したい』と考え、その結果介護難民となってしまう方も少なくないのです。

2・介護難民の原因を考える

介護を受けたいのに受けられない状況…なぜそのような恐ろしいことが起きるのでしょうか? 介護難民が発生してしまう原因を3つご紹介します。

福祉業界の人手不足

福祉業界は常に人不足の状態が続いています。

離職の原因として考えられることとしては

  • 職場の人間関係
  • 職場の理念に関する不満
  • 収入が少ない

などの理由が考えられ、全国では6割以上の高齢者施設で人手不足が顕在化しています。

福祉業界…特に介護の世界では、マンパワーは不可欠です。

働く人がいない ⇒ 施設が運営できない ⇒ 介護サービスが提供できない ⇒ 介護難民が発生するという状況が起こっています。

要介護状態の高齢者の増加

少子高齢化は2040年にピークを迎えるといわれています。

2025年には国民の3人に1人が65歳以上になり、要介護状態の高齢者も増加するといえるでしょう。

要介護状態の高齢者が増加をしても、介護サービスを提供する側の体制が整っていないため、介護を受けられない高齢者が必然的に発生してしまうのです。

ハード面(施設)の不足

要介護状態の高齢者を受け入れるハード面(施設)が不足することも、介護難民が発生する原因の1つです。

コロナ禍における介護施設の受けたダメージは非常に大きく、デイサービスなどの倒産が目立ち始めています。

施設という受け皿がない以上、在宅で…と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、ヘルパーを派遣する事業所が倒産ということになれば、思うようなサービスが受けられないのは明白です。

コロナ収束の見通しが立たない現状では、ハード面の不足も大きな問題の1つといえるでしょう。

3・介護難民にならないための3つの準備とは?

介護を受けたくても受けられないという介護難民にならないために、今から準備できることはあるのでしょうか?

できるうちにできることを準備しておくことで、リスクを回避することができるはずです。

ここでは介護難民のリスクを回避できる、今から準備できることをご紹介します。

介護のビジョンを明確化し情報収集を行う

将来の介護について、ビジョンを明確化し情報収集を行うことは非常に大切です。

  • 自分はどんな介護を受けたいか?
  • どんな施設やサービスを利用したいか?
  • 介護に関する資金はどうするか?

など、知らないことはきちんと調べて知っておく必要があります。

また家族との話し合いも重要です。

自分の介護ビジョンを家族に伝え、介護が必要になったときにどうしてほしいのか、ということを理解してもらうことも必要になります。

健康維持・認知症予防に努める

介護状態とならないよう、健康の維持や認知症の予防を行っておくことも大事な準備です。

  • 軽い運動を習慣化する
  • 自治体の介護予防プログラムに参加する
  • 認知症に関する知識を習得する

など、方法はたくさんあります。

万が一介護状態になったとしても、悪化を防ぐための介護予防プログラムもありますので、生活機能を低下させない努力も必要といえるでしょう。

資金準備をしておく

介護にかかわる資金を準備しておくことも重要なポイントです。

介護サービスを受けるにはお金がかかります。

特別養護老人ホームの待機者数が多い原因の1つとして、有料老人ホームなど他の高齢者施設を利用できない経済状況も挙げられるのです。

自営業の方の場合、年金の受給額は厚生年金の受給額よりも少なくなりますし、専業主婦の方の場合は、もらえる年金が非常に少額です。

  • 年金に頼らない
  • 定期的・継続的な収入があるうちに貯蓄をする
  • 国民年金基金への加入を行う

など、早めに老後資金の準備をしておくことが介護難民にならないためのポイントといえるでしょう。

4・まとめ

介護が必要なのに介護サービスを受けられないという介護難民。

今後やってくる超高齢化社会では、必ずといっていいほど起こる問題の1つです。

情報収集を行い、できることは早めに準備しておくことこそ、介護難民を減らす近道となるのではないでしょうか。

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