在宅介護

高齢者の一人暮らしに起こるリスク・サポート方法はあるのか?

高齢者の一人暮らしには、さまざまな問題点があります。

しかし各家庭の事情によって、一人暮らしせざるを得ない高齢者の方がいることも事実です。

問題やリスクを抱える高齢者の一人暮らしをどのようにサポートしていくことが必要なのか、現状や詳しい問題点と共に、サポート方法について詳しくご紹介します。

高齢者の一人暮らし・今の日本の現状

令和3年に内閣府から発表された『令和3年版高齢社会白書』によると、高齢者の一人暮らしに関する現状が見えてきます。

  • 65歳以上の一人暮らしの者は男女ともに増加傾向にあり、平成27年には男性約192万人・女性約400万人となっている。
  • 生活保護受給者の推移を見ると、平成30年における65歳以上の生活保護受給者は104万人で、前年(103万人)より増加している。
  • 介護保険制度における要介護又は要支援の認定を受けた人は、平成30年度末で645.3万人。平成21年度の末469.6万人から175.万人増加している。
  • 要介護者等は、第1号被保険者の18.3%を占めている。

高齢者の一人暮らしは年々増加傾向にあり、生活保護受給者・要介護者も増えていることがわかります。

これは高齢者の一人暮らしの問題に直結する調査結果で、まさに現状の問題点が浮き彫りになったといえるでしょう。

参考:令和3年版高齢社会白書|内閣府

高齢者が一人暮らしをする理由

リスクがある高齢者の一人暮らし…問題があるとわかっていながら、一人暮らしをされる理由はどのようなところにあるのでしょうか?

筆者が訪問介護先で実際に一人暮らしをされている方から聞いたお話を基に、主な理由を3つご紹介します。

現在の生活を変えたくない

現在の生活を変えたくないと思われている場合は、一人暮らしを継続する高齢者の方が多いです。

  • 娘に同居しようと言われているが引っ越し先には友人もいないし見知らぬ土地では心細い
  • 既往症があり通院しているため病院を新たに探すのが大変
  • 仲は悪くないが一人暮らしに慣れてしまって大勢で暮らす生活に馴染めない

長く住まわれた家や地元に愛着のある方、一人暮らしに慣れてしまってリスクよりも心地よさを求める方…さまざまな事情はありますが、皆さん問題があることは認識されていました。

ただし、環境が変わることへの抵抗感が強く、今のままで良いと思われている方がほとんどなのが現状です。

頼れる身内や親せきがいない

頼れる身内や親せきがいないことも、一人暮らしを続ける理由の一つです。

要介護の状態であっても天涯孤独だったり、身内はいても疎遠になっていたり…何らかの事情で頼れないという方も多くいらっしゃいます。

中にはヘルパーを自分の子どものように可愛がってくださったり「愚痴を聞いてほしい」と頼ってきたりという方も…。

寂しいという気持ちは持っていても、実際に頼れる人間がいないという現実も、一人暮らしを継続せざるを得ない理由なのです。

施設に入所する経済的な余裕がない

常時介護が必要な方の場合でも、経済的な事情から一人暮らしをせざるを得ない方もいらっしゃいます。

費用が安価な特別養護老人ホームは、常に順番待ち状態で、費用の高い有料老人ホームには入所できないという方をたくさん見てきました。

生活保護を受給されている方の場合は、特にこの傾向が顕著に見られました。

24時間体制で介護をした経験もありますが、やはり必要な方が施設に入所できるような体制を作らなければという気持ちにさせられました。

一人暮らしをしたいわけではないけれど、せざるを得ないというのが現実なのです。

高齢者の一人暮らしで考えられるリスクとは?

介護が必要でない方でも、高齢になり一人暮らしをしていると、さまざまな問題が起こります。

誰もがわかっていることではありますが、なかなか対処できないのが現状といえるでしょう。

高齢者の一人暮らしで起こり得るリスクを3つご紹介します。

栄養管理が難しくなる

高齢者の一人暮らしでは、栄養管理が難しくなります。

配食サービスを提供している会社も多くあり、安否確認も併せて行ってくれますが、介護保険外のサービスとなるため、費用が発生するのです。

身体が不自由な方の場合、炊事ができないことも考えられ、レトルトやインスタント食品などに頼ってしまう傾向があると、体調管理は一気に難しくなります。

介護認定を受けている方はケアマネジャーやヘルパーとのつながりがありますが、認定を受けていない方は孤立してしまうケースもあり、もっともリスクの高い状態といえるでしょう。

病気の早期発見ができない

病気の早期発見ができないこともリスクの1つとして考える必要があります。

急に倒れた場合など、同居している人間がいなければ、気付いてもらえるきっかけがありません。

定期的に通院している方はまだしも、既往症がなく通院の習慣がない方が、認知症の進行に気付かず、問題が起きてから対処しなければいけないというケースも考えられるのです。

どんな病気でも早期発見することで状態が改善することが多いので、病気に関しては一人暮らしのリスクを十分理解する必要があります。

犯罪被害に遭う可能性がある

近年高齢者を標的にした詐欺事件などが報道されることが増えてきています。

高齢者の一人暮らしは犯罪被害に遭う可能性が高くなるといえるでしょう。

年齢を重ねて判断力の低下した状態では、犯罪に巻き込まれることは少なくありません。

オレオレ詐欺・空き巣・放火など、命に関わるケースもあるため、地域で対応しなければいけないリスクといえます。

高齢者の一人暮らし・必要なサポート方法とは?

一人暮らしの高齢者の方が安心して暮らせるために、国や自治体ではいろいろなサポートを提供しています。

高齢者の方がご自身で探すことは困難かもしれません。

身内の方や周囲に困っている方がいた場合は、ぜひ情報提供をしてあげてください。

埋もれてしまっているリスクを顕在化させ、専門家に繋げることが有効なリスク回避になるのです。

地域包括支援センターの活用

地域包括支援センターとは、地域に住む高齢者をサポートするための相談窓口です。

地域包括センターにはケアマネジャーや社会福祉士などが常駐しています。

介護・医療・福祉の分野の専門家がタッグを組んでサポートをしてくれる機関です。

家族の方からの相談も受け付けているので、遠方に住んでいて不安な方などもサポート方法を教えてくれます。

自治体サービスの活用

各自治体では、介護保険を利用したサービス以外にも、一人暮らしの高齢者向けの支援サービスを提供しています。

  • 安否確認
  • 外出支援
  • 金銭管理
  • 緊急通報システムの利用

など、安心して暮らせるサービスがいろいろありますが、各自治体によってサービス内容が異なるのが特徴です。

自治体の福祉課などに問い合わせ、サービスしてもらえる内容を確認しましょう。

民間サービスの利用

介護保険や自治体のサービス以外にも、民間の企業が提供しているサービスがあります。

  • 見守りサービス
  • 配食サービス
  • 安否確認
  • 外出支援

など、困ったときに困ったことを解決してくれるサービス内容です。

費用はかかりますが、安心・安全に過ごせることが第一ですので、検討する価値はあります。

遠方に住む家族の方などが利用されているケースが多く、さまざまな事例もあるのが特徴です。

まとめ

高齢者の一人暮らしには問題点やリスクがありますが、それぞれの事情があって、一人暮らしせざるを得ない方も多くいらっしゃいます。

家族や身内に頼れない場合は、自治体のサービスを最大限に利用することで、リスクの回避が可能です。

家族がいる場合は、自分たちの代わりに見守りや安否確認を行ってくれるサービスも提供されています。

自分たちのできる範囲で、高齢者の方が安心・安全に生活できるよう、サポート方法を知っておくことも重要な取り組みになるのです。

クラピスくらしのパートナーでは介護保険サービスではフォローしきれない日々のサポートをいたします。
相談・見積もりは無料。ぜひご活用ください。
詳しくはこちら

  • LINEで送る