軽度認知症はそのなの通り、認知症の中でも症状が軽度であり、周囲の家族になかなか発見されにくいのが特徴です。
日常生活に問題もないため、独居生活を送っている高齢者もいるくらいなのです。
軽度認知症をそのまま放置しておくと、本格的な認知症に移行する可能性が高くなるのでなんらかの対応が必要です。
軽度認知症(MCI)の4大症状
記憶障害
特に短期記憶が十分に保たれません。例えば・・・
・人の名前を思い出せない
・口座の暗証番号などを忘れる
・子供の名前がすぐに出てこない
・毎回でないが、食事を食べたかどうかを忘れることがある
このようなことは、単なる物忘れと似ているところがありますよね?
なかには、「私なんとしょっちゅう人の名前を忘れるわ・・・」と思う人も少なくはないでしょう。
子供の名前を忘れるどころか、子供の顔を見ても表情一つ変えず、「どなたですか?」と発言があれば何か変だと感じるでしょう。これは、認知症の可能性が高いです。
『単なる物忘れ』か『軽度認知症』なのかを見極めるのは、素人では判断できないことがあるので、ついつい見落としてしまいがちになるのです。
計画を立てて実行することができない
女性なら料理を作ることが難しくなります。
これまでスムーズに出来ていた料理ですが、軽度認知症になると物事を順序立てて考えて実行出来なくなるのです。
「次はジャガイモを茹でる?」
「え~っと、塩と砂糖はいつ入れるのだったかな?」
「あっ、お湯を沸かしてなかった!」
このような状態になってしまい、最終的には料理を作ることが億劫になり、作らないようになっていきます。
男性なら車の運転が難しくなります。
例えば、職場から自宅に帰る途中にスーパーによって、孫を駅まで迎えに行って、ATMでお金を引き出して帰る・・・。
このようなこともスムーズにできなくなり、
「次はどこに行くのだったかな?」
「あっ、ATM(銀行)を通り過ぎてしまった」
「スーパーってどこにあったかな?」
などと、車を走らせるコースをイメージできずに、計画通りに実行できなくなるのです。
集中力や注意力が低下する
生活の中で、食事に集中できない、いつもウロウロして落ち着きがない、歩いていても壁や角に身体をぶつけるなどの症状があります。
好きなことや趣味の時間も楽しむことができなくなり、いつもソワソワしているようなイメージです。
無気力になる
例えば、これまで老人クラブのイベントに積極的に参加していたとします。
しかし、軽度認知症になると・・・
「イベントに行くのが面倒くさい・・・」
「行っても楽しくない・・・」
「話し相手がいない・・・」
などの訴えが出てくることがあります。
そして、そのような発言があるときの表情は、決して元気で明るくはないのです。
軽度認知症が疑われるときは?
通常の認知症であっても、軽度であれば病院に行くきっかけがなかったり、判断が出来なかったりして、放置されるケースが多いです。
ましてや軽度認知症ともなれば、早期対応が難しくなることも少なくはありません。
上記で解説した4つの症状を参考にして、疑わしい場合には早目に対応することが重要です。
対応としては、やはり病院を受診することが一番の近道となります。
医師に相談しても伝え方を間違えれば「ただの物忘れですね・・・」「もう、年だから・・・」などと言われることもあるかもしれません。
そこで、医師に相談する時は以下の事柄について詳しくお話をしてみて下さい。
①物忘れが多い場合には、その頻度や内容、時間帯まで伝える
②日常生活で生活がスムーズにいかないことがあれば、その内容を伝える
③集中力がないと感じたらスマホなどで撮影して見てもらう
④以前はこうだったけど、今はこうなってしまった。
(出来ていたことと出来なくなったことを伝える)
病院はどこに行けば良い?
医師に相談とはいっても、どのような病院に行けばいいか分からない人もいるでしょう。
まずは、主治医(かかりつけ医)に相談するようにします。
そこから、専門病院に紹介状(診療情報提供書)を書いてもらい別の病院を受診するようにすることが大切です。
専門病院(専門科)には『物忘れ外来』『脳神経外科』などがあります。
受診するときは素直に「軽度認知症の可能性はないでしょうか?」などと尋ねることによって、はっきり応えてくれることがあるようです。
軽度認知症の診断を受けたら
本人は勿論、家族のショックもあるでしょう。なかなか現実を受け入れることができないこともあります。
しかし、『軽度認知症の段階で発見できた!』とプラス思考に受け止めて取り組んでいくことが重要なのです。
基本的に、診断を出した医師と二人三脚で取り組んでいくことになりますが、家族を含めた周囲の理解がとても大切です。
・物忘れを激しく責めない
・「もっと元気を出して」など強く励まさない
・規則正しい生活習慣で一緒に生活する
・適度な運動に付き合う
・介護保険の利用に理解を示す
などがあります。
認知症の多くは、一度罹患すれば完治するのは難しいとされています。
しかし、薬を飲むことによって、進行を遅らせることができるようになってきました。
軽度認知症にはなったけれど、日常生活にあまり支障がない状況を長く継続できるようにするよに努力しましょう。