親が70代~80代になるとそろそろ介護のことを考える人も増えてきます。
元気で、身の回りのことが出来ていたとしても、転倒・転落や病気などがきっかけで介護が必要になることもあります。
そんなとき慌てず、介護に専念できる環境を作るために、40~50代の子供が今のうちにできることをお伝えします。
親の意向を聞いておく
元気な今だからできることです。あまりにも元気で、なかなか介護について話をするタイミングがないかもしれませんが、先述した通り、介護は急に必要になることもあるのです。
介護や最期について詳しく尋ねて、なるべく親の意向に沿った支援ができるようにしておきましょう。
最期について
どこで、どのように最期を迎えるか尋ねておきます。
例えば・・・
胃ろうやIVHなどの延命治療はするのか?
急変時救急搬送はするのか?
施設などで自然のまま死を迎えるのか?
癌などになれば、痛みに対してどう対応していくのか?
病院などへの入院は希望するのか?
このようなものがあります。
特に延命治療を選択するということは、その人の自然の死に逆行することなので、望まない人もいます。
一方、自然のままで死を迎えるということは、「まだ若すぎる」と平均寿命と比べて、決断ができない人もいます。
いずれにしても、本人の意向を確認しておくと、医師から選択を迫られたとき、混乱することはないでしょう。
延命治療については、親せき・兄弟が多ければ多いほど意見が分かれるものです。
そんな時、「親は〇〇を望んでいたからその通りにします!」ということで、残された家族の意見も統一することができます。
在宅介護か施設介護か
これも重要なことです。通常は出来るところまで在宅介護をして、介護に限界がくれば施設介護に切替ます。
しかし、財産に余裕がある場合には、介護保険制度にこだわらず、在宅介護をすることもできます。
逆に、経済的に難しい状態で施設介護を希望するなら、早くから施設探しをしておく必要があります。
場合によっては生活保護制度に頼ることもあるかもしれません。
親は、在宅介護をする希望していても、子供は仕事や家庭のことがあり、対応しきれないこともあるかと思いますので、お互いがどこまで受け入れることができるか相談しておくことが大切です。
行きたいところを聞いておく
元気でないと出来ないこと、行けないことを尋ねておいて、本格的な介護状態になる前に、それを実現させてあげるといいでしょう。
車椅子生活や寝たきり状態になると、行きたいところにも行けません。
「兄弟姉妹の会いたい・・・」
「故郷に戻ってみたい・・・」
「あの人の顔を見ておきたい・・・」
などということも出てくるでしょう。
勿論介護する側の健康状態や時間の都合もあると思います。
しかし、比較的元気なうちに会いたい人や、行ってみたいところに足を運べるように支援してあげると、その方の人生の満足度が増すでしょう。
親の経済事情を把握しておく
例えば、親本人がネット検索で「介護 施設」と検索したとします。
すると、無数の施設がヒットし、結局どのような施設が自分に合っているのか分からないという話を良く聞きます。
施設には、高級老人ホームと呼ばれるものから、庶民的な特別養護老人ホーム、経済的な理由で安価に入れる経費老人ホームなどがあります。
それらは、最終的には、親の財産によって選択肢が決まってきます。
いくら理想の施設に入所を希望しても、経済的に難しければ入所は出来ないのです。
このように、理想と現実のギャップを埋めるために、親の財産がどれぐらいあるか把握しておいて、それに見合った施設選びをする必要があります。
しかし元気な親に対して、「貯金はいくらあるの?」と単刀直入に尋ねるのはあまりにも不自然です。
そんなときは、自分で様々な種類のパンフレットや料金表を取り寄せて、親に見てもらい感想を聞いたり、反応を観察しておきましょう。
そうすることによって、なんとなく把握ができるかもしれません。
また、所持している口座が多ければ、介護保険施設などを利用するときに混乱することになります。
例えば、「年金はどの口座に入っている」「光熱水費はこの口座から引き下ろされている」など、子供も把握しておくと、本格的な介護が必要になった場合にスムーズに管理ができるでしょう。
親の知人・友人・親戚などを把握しておく
施設に入所した時、または葬儀の際の連絡先として把握しておかなければなりません。
単純に名前と住所を把握しておくのではなく、親とどのような関係なのかまで尋ねておくと自分も分かりやすいでしょう。
年賀状を親の代わりに書くことがあるかもしれませんので、そのような場合にも便利です。
施設探しをしておく
例えば、要介護1でも入所できる介護施設もあれば、要介護3でないと入所できない施設もあります。
さらに、いくら本人が入所したいと強い希望があったとしても、経済的な理由で入所できないこともあります。
親がおかれている状況(社会的状況・経済的状況・身体的状況)を把握して、今からどのような施設があるかをリサーチしておきましょう。
その後、施設での介護が必要とされるようになれば、リサーチした施設に入所できるようにすればいいのです。
例えば、特別養護老人ホームは、全国的に人気が高いのですが、待期期間も長いのが特徴です。
介護が必要になった段階で見学や申し込みをするのではなく、『要支援』くらいの状態から見学に行って、施設の雰囲気などを確認しておくことをお勧めします。
親本人を連れて行くことに抵抗があるのなら、子供達だけでも見学や相談は可能です。
できれば、事前に電話連絡をしておけば安心です。
まとめ
40~50代は働き盛りです。そんな中、急に親の介護について考えなくなるとこれまでの生活がバランスを崩し、混乱を招くことがあります。
しかし、それを防ぐ方法があります。それは、親の介護への備えです。
元気な親を見ていると、「介護なんてまだまだ・・・」と考える人もいます。
しかし、そう考えるの少し危険です。脳梗塞や脳出血、心筋梗塞、認知症などによって介護が急に必要のなることもあります。
そんなとき、スムーズに介護ができるように、今から『介護』について考えておくことをお勧めします。