高齢になると「あそこが痛い」「ここが痛い」などと言われ方も少なくはないでしょう。
その原因の一つに、関節の疾患等があります。
「膝」「腰」「肩」が痛いのはどのような疾患があり、どのように対応していけばいいかを解説していきます。
関節リウマチ
関節リウマチ、よく耳にする病名ではないでしょうか?この病気は、関節が炎症を起こしてしまい、腫れてしまいます。
そして、そのまま放置しておくと関節が変形して日常生活に支障が出るのです。
若い人では40代から発症することもあり、日々症状が悪化するなかで、自分の趣味などに専念できなくなるという話もよく耳にします。
初期に現れやすい症状として、
①朝の関節のこわばり
②関節の痛みや腫れ
③微熱
④倦怠感
⑤食欲不振
このようなものがあります。
関節リウマチの原因について
身体には、細菌やウイルスなどが侵入したとき守ってくれる仕組みがあります。
この仕組みが何らかの異常を起こしてしまい、関節を守る骨や組織、そして軟骨までを『敵』と認識してしまい攻撃するのです。
その結果、関節などに異常が起こるのです。
関節リウマチのような病気は『自己免疫疾患』 といわれ、体質的に発症しやすい人が何らかの原因により罹患すると考えられていますが、実は詳細な原因までは解明できていません。
関節リウマチは介護保険の対象になる
上記で解説した①~⑤のような症状があれば、早目に病院を受診することをお勧めします。
そして、この病気は高齢者でなくても、40~65歳なら介護保険の対象となります。
朝に調子が悪く生活に支障が出たり、生活が億劫に感じたりすれば生活の質(QOL)が低下するでしょう。
気持ちまで落ち込む前に医師の診断を受けて介護保険サービスを受けることによって、生活の質をアップさせることができます。
骨粗鬆症
この病気もよく耳にする言葉だと思いますが、高齢になればなるほどその罹患率が高くなってしまいます。
骨粗鬆症は、骨量が減少してしまい、骨が脆くなります。
その結果、生活のちょっとした場面で転倒・転落などをするだけで簡単に骨折してしまうのです。
通常骨は中身がギッシリ詰まっており、少々のことでは折れたりすることはないでしょう。
しかし、骨粗鬆症になれば、骨の中身がスポンジのようになりスカスカになり強度が極端に落ちてしまうのです。
骨粗鬆症は予防が重要
骨粗鬆症になってしまえば、100%以前のような骨量に戻すことはできません。
医師の処方によって出された薬を飲むことによって、進行を遅らせることはできますが、若い頃のような『骨』に戻すことは出来ないのです。
そこで重要になってくるのが予防になってきます。以下の通りの方法でなるべく若いうちから試してみて下さい。
①カルシウムを十分に摂取する
②年齢に応じて適度な強度で適度に運動をする
③ビタミンDやビタミンK、マグネシウム、リンを摂取する
④喫煙をさけ、アルコールは控えめにする
骨粗鬆症は介護保険の対象にならない
先に説明した関節リウマチの場合、高齢者でなくても介護保険の対象になることを解説しました。
しかし、骨粗鬆症の場合は単独では介護保険の対象にならないのです。
例えば、65歳以上の高齢者が転倒・転落してしまい、骨折をして日常生活に支障が出るようになれば、介護保険の対象になる可能性が出てくるのです。
脊柱圧迫骨折
高齢者が起こすこの骨折は、決定的な出来事(事故)がなくても発生します。
脊柱の上下から加圧されたときに骨折してしまうのです。
脊柱圧迫骨折の症状
腰に強い痛みが現れます。例えば、ベッド上で寝返りをした時や起き上がりをした時に痛みを訴えます。
よって、日常生活に著しく支障が出てきます。
・じっと椅子や車椅子で過ごせない
・歩行ができない
・熟睡できない
・食事、入浴、排泄が苦痛になる
このように生活の質が低下して、「こうしたい」「ああしたい」と意欲までもが低下していくのです。
手術は必要か
一般的には、数か月に渡りコルセットで固定するように医師からの指示があります。
そして本人の治癒力で骨折部がくっつくのを待つようにします。
コルセットは圧迫感があり、装着を嫌がる高齢者も多いです。
そのため、外してしまいなかなか治らないということもありますので、家族は注意しておきましょう。
一日でも早く痛みを取り除きたい場合や、治った際に著しく生活の質が低下する可能性が高い場合には、手術を勧められることもあります。
この手術は骨折した部位に医療用のセメントを入れて、修復するというものです。
脊柱圧迫骨折は介護保険の対象になるか?
脊柱圧迫骨折単独では介護保険の対象にはなりません。
脊柱圧迫骨折した後に、これまで出来ていたことが出来なくなったりして、『要介護』または『要支援』と認定されると介護保険制度を利用することができます。
逆にいえばこの骨折が影響して、生活が一気に変化(悪化)してしまう可能性が高いということなのです。
変形性膝関節症
この関節症になると膝が痛みます。
初期症状として、椅子やベッドから立ち上がった時や、歩行をはじめた時などに痛みを感じます。
そして、正座が出来なくなったり、階段の昇り降りも出来なくなってしまい、やがて安静にしていても痛みを感じるようになるのです。
原因は、膝の老化です。
更に詳しく解説すると、関節軟骨が擦り減ってしまい、痛みを感じるのです。
また、肥満の人はこの病気を加速させてしまいます。体重が重たい分、老化した膝に自分の体重がのしかかり、軟骨の擦り減りが酷くなるのです。
治療方法について
痛みが軽度である場合には湿布や痛み止めなどを服用します。また、膝関節に注射(ヒアルロン酸)をしたりすることもあります。
冬場には寒さに痛みが増すため、患部を温めたりすることも行われます。
どうしても痛みが強い場合や、生活の質を落としたくない場合には手術をして変形を強制する方法もありますので、医師と相談しましょう。
変形性膝関節は介護保険の対象になるのか?
脊柱圧迫骨折同様で、変形性膝関節症だということだけでは介護保険制度を利用することができません。
変形性膝関節症が影響して・・・
・歩くことが出来なくなり車いす生活になった
・歩行中に転倒して大腿骨を骨折してしまった
・ベッド上の生活が主になった
このようになって、何らかの支援が必要だと認定されて、『要支援』『要介護』となれば介護保険制度を利用することができます。
まとめ
今回解説した4つの関節の病気等は高齢者がよく罹患するものであり、これだけではありません。
加齢に伴い、内臓が十分な機能を果たさなくなるように、関節や骨も機能が失われたりするのです。
介護保険制度は、40~64歳でも使えるケースもあります。
今回解説した、関節リウマチ以外でも以下の病気があると、40歳からでも利用できますのでチェックしておきましょう。
①ガン末期
②関節リウマチ
③筋萎縮性側索硬化症
④後縦靭帯骨化症
⑤骨折を伴う骨粗鬆症
⑥認知症
⑦パーキンソン病
⑧脊髄小脳変性症
⑨脊柱管狭窄症
⑩早老症
⑪多系統萎縮症
⑫糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病性網膜症
⑬脳血管疾患
⑭閉塞性動脈硬化症
⑮慢性閉塞性肺疾患
⑯両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症