病気・症状

ALS(筋萎縮性側索硬化症)ってどんな病気?介護保険の対象になるの?

ALS(筋萎縮性側索硬化症)・・・何だか難しい病気で、あまり耳にしないなぁ・・・という印象をお持ちの方も多いと思います。
身体の調子が悪く、webで調べているうちにこの記事に行きついた方もいらっしゃると思いますが、今回は分かりやすくこの病気がどのようなものかを解説していきたいと思います。

ALSとはどのような病気か

過労でぐったりを表現する人形の写真

ALS(筋萎縮性側索硬化症)は、筋肉がだんだん衰えていくものです。

筋肉といえば、手足の筋肉を連想する方も多いかもしれませんが、身体の動きは全て筋肉によって動かされているので、例えば舌や喉なども衰えてしまいます。

この様に解説すると、単純に筋力低下の病気だから鍛えれば何とかなると考える方もいるかもしれません。

しかし、筋肉自体の病気でなく、筋肉を動かしたりする神経(運動ニューロン)のみが障害を受けてしまうのです。

よって、私達が無意識に行っている手足を動かす行為をするために、脳からの命令が伝わらなくなります。そして結果的に筋力が低下するという流れなのです。

一度低下した筋力は、元の生活を送れるほど改善しないと言われています。

全国でどれくらい?遺伝はするの?

少し前の情報になりますが、平成25年度の統計によれば全国で約9,200人がALSを患っています。
人口10万人当たり約1~2.5人が発症する可能性があるイメージです。

発症年齢についてですが、なんと40歳以下での発症が1割となっており、決して高齢者特有の病気だといえるものではないのです。
平均発症年齢でみてみると、60歳前後と言われていますので、まだまだ仕事や趣味などを楽しみたい時期に発症するといえるでしょう。

ALSについては、現在のところ遺伝性はあまり関連性がないとされています。
研究の結果、これまで発症した人のおよそ5%は家族内で発症することが分かっています。
5%のうちの2割は、スーパーオキシド・ジスムターゼという遺伝子異常が原因だとされています。

ALSの症状について

ALSは上記で解説した通り、筋肉自体が衰える病気でなく、神経が障害を受ける病気です。
よって、最初に現れる症状は大きく2つに分けることができます。

①手・足の麻痺による運動障害

時計のベルを止める様子の写真

4人に3人がこのタイプに分けられます。

患者さん最初の訴えとして、

「手足が上がりにくい」

「筋肉がピクピクする」

「走りにくい」

「重いものを持てない」

「手足が腫れる」

「痛みがある」

「ツッパリ感がある」

「なんとなく疲れやすい」

などがあります。

そして、やがては手足の筋肉がやせ細っていくのです。

②球麻痺(嚥下や発声が難しくなる)

球麻痺とは、舌や喉の筋肉が弱まることをいいます。4人に1人がこのタイプになり、コミュケーションに支障が出たり、嚥下(呑み込み)が難しくなります。

コミュケーションでは、舌をスムーズに動かすことが出来なくなり、相手に何を言っているか伝わらない状態になります。
主に、『パピプペポ』『ラリルレロ』の発音が困難になるのです。

嚥下障害では、食べ物をスムーズに食べることが出来なくなるのは勿論ですが、自分の唾液さえも呑み込むことができず、ムセを起こすことがあるのです。

症状が進行すると

上記の2パターンの症状が進行すると、やがて筋力の低下は全身に及ぼします。
歩行や座位保持ができなくなり、ベッド上での生活が主体になります。

また、呼吸障害を引き起こし、人工呼吸器の力を借りて呼吸を継続するような形になります。

ALSの検査や診断方法

この病気を診断するには、MRIやCT、エックス線などを利用した画像診断を行います。
それに合わせて、筋電図検査を行います。さらに脳脊髄液を採取したりもします。

心電図
https://www.mrso.jp/colorda/az/484/

ALSは介護保険の対象になるの?

お爺さんの話を聞く介護士の写真

これまでALSの症状を解説してきましたが、「この状態なら介護が必要では?」と思ったりもするでしょう。
介護といえば『介護保険制度』ですが、ALSも介護保険制度の対象になるので安心してください。

ALSと診断されて介護の必要性を感じたら申請を

解説した通り、もしかしたらALSではないだろうか?と感じたら、すぐに病院を受診しましょう。
そして、ALSであるという診断が出れば、40歳以上であれば介護保険を受けることができます。

勿論、脳梗塞による片麻痺などによって介護保険を受けている高齢者であってもALSと診断されれば、継続して介護を受けることができます。

ALSが進行していると、自分では申請することが難しいケースが多いです。
申請する際は居宅介護支援事業所や地域包括支援センターなどを通して行うと簡単に行えて便利でしょう。

もし40歳以下でALSを発症したら?

残念ながら、40歳以下では介護保険の対象になりません。しかし、『障害者総合支援法』という別の制度によって生活の支援を行ってくれます。

介護保険と同じように、ホームヘルプサービスやショートステイ、補装具の購入などがあります。

★★★障害者総合支援法とは★★★

障害者及び障害児が基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい日常生活又は社会生活を営むことができるよう、必要な障害福祉サービスに係る給付、地域生活支援やその他の支援を総合的に行います。これによって、障害の有無にかかわらず国民が相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与することを目的にしています。

対象になる障害の範囲は、身体障害者、知的障害者、精神障害者(発達障害者を含む)、政令で定める難病等により障害がある者で18歳以上のものです。 

利用については、市町村の障害福祉窓口や都道府県が指定する指定相談支援事業者などへの相談が必要です。

障害者総合支援法について(国立障害者リハビリテーションセンター)

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