病気・症状

軽視できない高齢者の発熱とは?注意を要する9種類をご紹介!

通常、高齢者の場合、何か身体に異常(病気)があった場合でも、発熱などの症状が現れにくいとされており、普段の観察が必要とされています。

それでも、発熱は身体の異常を知らせるサインであることは間違いありません。

もし、高齢者が発熱した場合に考えられる異常(病気)を解説していきます。

まずは平熱を把握しよう

例えば、平熱が35.9℃の人が36.7℃になれば、なんとなく身体のだるさを訴えることもあるでしょう。
逆に平熱が36.7℃の人が37.0℃になっても、身体に異常を訴えないこともあります。

平熱は人それぞれ違いますし、時間帯によっても違います。
これを十分理解した上で、発熱の有無を把握していかなければなりません。

①風邪

単なる風邪であっても高齢者の場合には結果として死に至ることもあります。

風邪の一つの目安として、発熱の症状があれば風邪を疑うことがあります。
風邪といっても立派な感染症の一種であり、医師の診断を受けて治療を受けることが大切です。

②肺炎

肺炎とは、肺の内部(肺胞)の感染症のことで、炎症が起こります。

肺炎の症状として、発熱、痰(たん)、咳などが現れます。
症状だけで考えると、風邪に非常に似ていますが、実際にはしっかりと区別して考えていく必要があります。

一般の人では、肺炎か風邪の区別はつきません。ちょっと風邪が悪化しているかも・・・と思っていても、それは肺炎である可能性が高いのです。

よって、「もしかして風邪かも?」と思った段階で、医師の診断を受けて、それに合わせた治療を受けなければなりません。

③誤嚥性肺炎

先ほどの肺炎の一種ですが、誤嚥(誤って食べ物などが肺に入る)することによって引き起こす肺炎を指します。

通常、食べ物を咀嚼(噛む砕く)すると食道の方に流れ込み、やがては胃に到着します。
しかし、食道ではなく器官の方に流れ込み行きついた先の肺で炎症を起こし誤嚥性肺炎になるのです。

食べ物だけでなく、自分の唾液なども誤嚥してしまうこともあるので、口の中を清潔に保たなければなりません。

④がん

がんによる発熱には、治療や病態が原因となるものと感染症によるものなど、様々な原因があります。

特に腫瘍熱(しゅようねつ)は特徴的です。

腫瘍熱は以下のようなことが判断基準になってきます。

①37.8℃以上の発熱が一日1回以上ある

②発熱が2週間以上継続する

③感染症の可能性がない

④アレルギー反応がない

⑤概ね7日間の抗菌薬治療で平熱にならない

⑥非ステロイド性抗炎症薬の服用で速やかに平熱に戻り、服用中は平熱が保たれる

引用:小野薬品工業株式会社HP

⑤膠原病(こうげんびょう)

全身の血液、筋肉、関節、皮膚などが炎症する病気のことです。

どちらかというと男性より女性に多い病気とされています。

湿疹、関節の痛みに加えて発熱もあるのが特徴で、毛が抜けたり口内炎なども現れることもあります。

⑥褥瘡

床ずれのことで、皮膚の血流が悪くなり壊死を起こします。

褥瘡になりやすい部位として、肘、仙骨部、大転子部、肩甲骨、かかとなどがあり、寝たきり状態で一か所に圧がかかると発生しやすいです。
他の原因として、患部の湿潤や栄養不足などもあります。

各表皮のステージ分類と説明 写真

引用:株式会社高研HP

褥瘡のステージは上記の通りですが、『Ⅰ度』『Ⅱ度』では発熱はほとんどありません。
『Ⅲ度』『Ⅳ度』にまでなると熱が出ることがあります。

⑦食中毒

年間を通して食中毒になる可能性があります。症状として腹痛、下痢、嘔吐に加えて発熱があります。

食事の前に十分な手洗いなどを行って予防をすることが大切ですが、肉や魚介類、卵を触った後にトイレに行ったり、ゴミ箱に触ったりした後も手洗いが必要です。

嘔吐下痢によって脱水になる可能性がありますので、水分補給も大切です。

【主な食中毒の種類】

■ 腸炎ビブリオ

■ サルモネラ菌

■ O-157 

■ カンピロバクター菌

■ 黄色ブドウ球菌

■ セレウス菌

■ ボツリヌス菌

■ ノロウイルス

⑧内臓の炎症

急性肝炎、膵炎、胆のう炎など、内臓に炎症がある場合に発熱することがあります。

急性肝炎

急激に肝細胞が壊されて肝臓の機能に障害を及ぼすものものです。

発熱の他、頭痛や倦怠感もあり、風邪と間違う場合もあります。

膵炎

膵臓とは、消化液を分泌する役割と、インスリンを分泌する役割がある重要なものです。
この膵臓が炎症を起こしてしまう病気です。

膵炎の症状は上腹部痛、背部痛があります。そして、嘔吐や発熱などの軽い症状が悪化すると意識障害なども現れます。

胆のう炎

吐き気、嘔吐に加えて発熱があったり、右上腹部や背中に痛みを訴えることがあります。

⑨蜂窩織炎(ほうかしきえん)

細菌が皮膚とその下の組織に侵入し感染を起こすものです。

発熱があることを確認し、全身を観察していると一部が炎症を起こしており発見することがあります。
患部が赤く腫れあがり、熱感や痛みが出現します。また、悪寒や倦怠感などを伴うことも少なくはありません。

  • LINEで送る