病気・症状

高齢者の嘔吐にどう対応する?口から血を出す場合は?

食事中にむせて少しだけ嘔吐することもあれば、滝のように勢いよく吐き出す嘔吐など様々あります。

実際に嘔吐したものを見てみると、消化されていなかったり、茶褐色などの色がついていることもあります。

高齢者に限ることではありませんが、嘔吐するには原因があります。

今回は考えられる嘔吐の原因と対応策についてご紹介していきます。

吐き気や嘔吐の原因

薄目で年収低すぎの写真

胃の内容物が逆流して口から吐き出されるのが嘔吐です。
吐き気(嘔気)を伴う場合が多くありますが、必ずしもそうとは限りません。

吐き気と嘔吐が共にあり、更に胸腹部の痛みや違和感、下痢があれば、胃腸炎をはじめとする消化器系の疾患が疑われます。

他には、胸やけと共に吐き気や胸痛が起こる逆流性食道炎があります。

また、胃潰瘍や急性胃炎などは痛み止め(鎮痛剤)の使用で起こることもあります。

排便のコントロールが上手くできず、便秘が続いた場合も嘔吐することもあります。

一方で、吐き気がないのに嘔吐するケースもあり、脳出血や脳梗塞などの血管性障害によって脳の中の嘔吐中枢が直接刺激されている可能性があり、この場合は一刻を争いますので、特に全身の観察を必要となります。

頭痛やめまいの有無、意識はあるかなどを確認しましょう。

嘔吐に加えて、発熱がある場合は尿路感染症、尿路結石、胆管炎、髄膜炎などの可能性があったり、薬の影響なども考えられます。

嘔吐した時の対応について

口の中を洗う

嘔吐の後の嘔吐物が残っていれば、さらに吐き気をもよおす場合もあるので、うがいをして口の中を洗い流します。
レモン汁や食塩を少しだけ入れた水で洗い流すとサッパリするでしょう。

寝たきり高齢者の場合は、自力でうがいをすることができないこともあるでしょう。
そんな時は、コットンタオルを指に巻き付けてかき出すなどの工夫が必要です。

留意点として、吐き気を伴わないように、あまり喉の奥まで入れないようにしましょう。

完全に吐き出させる

嘔吐した後も、胃の中に残っていればまだムカムカして気持ちが悪いものです。
背中をさするなどして吐き出させるようにしてあげましょう。無理に吐かせようとする必要はありません。優しく接してあげるようにしましょう。

横向きに寝かせる

仰向けになった状態で嘔吐してしまうと、嘔吐物が気管に入り詰まってしまう可能性があります。
横向きになった状態にし、再び嘔吐したとしても横に流れ出すようにしておきます。

介護用ベッドを使って横になっている場合には、頭の角度を30℃ぐらい上げておくとよいでしょう。

落ち着いたら水補給をする

嘔吐することによって、脱水状態になることもあります。

吐き気が落ち着いたら水分補給をするようにします。塩分も不足しているため、経口補水液などをゆっくりと介助してあげましょう。

ムセがある場合には、トロミ剤を付けることを忘れないようにします。

嘔吐後の病院受診は必要か

『嘔吐』=『病院受診の必要性あり』とは限りません。

嘔吐だけを観て判断するのではなく、他の観察を行って総合的に判断します。

観察のポイントをまとめました。

①嘔吐物に血が混じっていないか(以下の内容でも触れます)

②嘔吐後苦しそうにしてないか

③熱や血圧が高くないか

④気を失うなどの身体状態はどうか

⑤顔色はどうか

①~⑤のどれかに当てはまったら、なるべく早い段階で病院受診をすることをお勧めします。

特に、意識がない場合や呼吸が乱れているようなことがあれば救急搬送することも視野に入れなければなりません。

受診の際、医師に伝える内容についてもまとめました。

①嘔吐物の色

②嘔吐物の量

③嘔吐物の形状

④嘔吐物以外の全身症状(下痢はないかなど)

⑤血圧や体温

受診の結果、感染症の疑いがあれば、家庭でどのようにして過ごすが指示があります。

また、入院が必要と診断されれば、躊躇せずに医師の指示を受け入れるようにします。

喀血と吐血

波打ち際で持ったガラス玉の写真

口から吐くのは『血』もあります。

喀血(かっけつ)も吐血(とけつ)も口から血を吐くことを指しますが、出血している部位が違ってきます。

喀血とは

肺や気管支などの呼吸器から出血することをいいます。

咳と一緒にでることが多く、泡沫と一緒にでる鮮紅色の血液で、固まりにくいのが特徴です。

吐血とは

食道や胃などの消化管から出血することをいいます。

嘔吐と一緒に血を吐き、塊状、非泡沫状で暗赤色・褐色・黒色の血液で、固まりやすいのが特徴です。

喀血と吐血の注意点

注意喚起を促す黄色と黒の壁の写真

高齢者の場合には、薬の影響で十二指腸潰瘍などを起こして、吐血することもあります。

服薬状態に注意を払うと同時に、腹痛や下血(肛門からの出血)がないかも確認しましょう。

喀血や吐血は、体内にまだ血液が残っていることがあり、吐いた血液量より、もっと患部からの出血量が多い可能性があります。
血を吐いた場合には、量に関わらずすぐに受診する方がよいです。

また、吐いた直後には窒息や誤嚥を防ぐため、顔を横向けにして寝かせたりして安静を保ちましょう。

吐血の場合、みぞおちや胃の周辺を氷などで冷やすと楽になることがありますよ。

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