事例集

【事例集】こんなときどうする?介護保険外サービスの上手な使い方

『介護保険のサービスだけでは足りない』『年齢・疾病・症状で介護保険の認定を受けることができない』という場合は、介護保険外サービスの利用をおすすめします。

介護保険外サービスは、介護保険のような制約が少なく、利用者の方の希望に応じたサービスの提供が可能です。

筆者は両親の介護経験と、訪問介護事業所・特別養護老人ホームの勤務経験があります。

その中で実際に介護保険外サービスを利用して、介護保険では賄えないたくさんのメリットを受けることができた事例をいくつも見てきました。

この記事では介護保険外サービスの上手な使い方を、事例に基づいてご紹介します。

【事例①】高齢の母親が一人暮らし・遠方に住んでいるので心配

Aさんは仕事の関係で、高齢の母親と離れて暮らしていました。

父親が他界してからは、母親は一人暮らし。移動に5時間ほどかかるため、頻繁に会いに行くことは難しい状況でした。

Aさんの母親は、幸いにも既往症がなく、認知症も発症していませんでしたので、介護保険の認定は受けていませんでした。

しかし、90歳近い母親が何かあったら…と常に心配している状況だったのです。

転勤の多いAさんにとって一緒に住むことは難しく、定年までにはまだ何年もあるので、実家に引っ越すことも考えられませんでした。

そんな中でAさんは、民間の警備会社が提供する高齢者向けの見守りサービスを利用することにしました。

実家にカメラを設置し、画像や動画で様子がわかるというシステムのサービスです。

万が一のときは、警備会社の人間が対応してくれるため、安心だと言っていました。

費用に関しても、購入ではなく、月々の使用料として10,000円程度支払えば良いというリーズナブルな点も、気に入ったそうです。

操作も簡単で、実家の母親も問題なく導入に対応できたとのこと。家庭の抱える課題を解決できた事例の1つです。

【事例②】交通が不便なところで食事や買い物が心配

Bさんは、地方の出身。仕事の都合で神奈川県に住んでいました。

Bさんには高齢の両親がおり、実家で生活していましたが、車がないと買い物にも行けない不便な場所ということが非常に気になっていたそうです。

両親は既に80歳を超えており、車の運転は難しい状態でした。

年齢的にネットリテラシーも低いため、ネットスーパーや宅配の利用もままならない状態だったのです。

そこでBさんは、安否確認も含まれた配食サービスの利用を検討しました。

1食500円前後で、栄養バランスも考えられた配食サービスは、食べるものを買いに出られない両親にとって、非常に便利なサービスだと考えたのです。

両親と相談したところ、毎日では飽きてしまうし、たまには自分たちの好きな物を食べたいという希望があったため、週5回のサービスを受けることにしました。

食品以外の消耗品は、Bさんが代わりにネット注文し、実家に届くように手配。連休のときなどに実家まで顔を出し、必要なモノがあればその時に購入するというスタンスをとったのです。

家の掃除などの家事代行のサービス利用も定期的に行い、Bさんの両親はとても喜んでいたとのこと。

介護認定を受けていなくてもお願いできる、高齢者向けのサービスがあるのなら、どんどん試してみたいとBさんは情報収集を行っています。

【事例③】認知症を発症した親が施設に入れず見守りができない

Cさんの母親は、認知症を発症したものの、軽症のため施設に入れない状態が続いていました。

Cさん自身にも治療中の病気があり、母親の介護がままならない状態で、なんとかならないかと自治体や訪問介護事業所へ相談を行っていたのです。

Cさんからは『有料の老人ホームに入るほどの経済的余裕がなく、訪問介護だけでは心配なことが多い』との訴えがありました。

そこで担当のケアマネジャーが、介護保険外サービスとの混合介護を提案することにしました。

民間の見守りサービスと、従来通りの訪問介護を合わせることで、不安な時間を少しでも減らそうという試みでした。

買い物好きな母親のために、買い物の付き添いや家事の代行なども含めたサービスを選択し、訪問介護では賄いきれなかった部分を、保険外サービスで補うことができたのです。

【事例④】定期的な通院に付き添えない

Dさんの父親は病気の治療のため、1週間に1回、車で1時間かかる大学病院へ通院をしていました。

治療で使用する薬は眠気が起きやすく、車の運転は危険だったため、Dさんの奥さまや親せきの助けを借りて、通院の介助を行っていました。

Dさんの母親は既に他界しており、同居を申し出たものの、父親が拒否。Dさんの奥さまががんになったことで、通院の介助が厳しくなってしまったのです。

今まで一番協力してくれていた奥さま自身が入院や手術を経験し、以前のように体が動かなくなってしまったこと、親せきも高齢になってきて、付き添いをお願いできなくなったことが重なりました。

Dさんの父親は、年齢的に介護保険サービスを受けることはできず、特定疾病にも該当しませんでした

介護保険サービスを受けられないとわかったDさんは、情報収集を徹底的に行い、保険外サービスの通院介助を探し出したのです。

介護の知識のあるスタッフが派遣されること、家事代行のサービスもオプションで依頼できることが決め手になったといいます。

複数のサービスを比較し、父親と相性の良いスタッフを見つけたことで、安心して任せることができたそうです。

上手な保険外サービス利用には情報収集がカギ!

保険外サービスは、単体で利用することも、介護保険サービスと併用して利用することもできます。

サービスを提供している事業者も多くあるので、積極的な情報収集が成功へのカギになるといえるでしょう。

必ず複数の事業者を比較し、実際に派遣されるスタッフとの面談や、機器の使用方法などをチェックすることがポイントです。

保険外サービスのデメリットとしては、費用が自己負担になること。

あれもこれもと利用することで、高額な費用になってしまうことは避けなければいけません。

事前に情報収集を行い、最適なサービスを見極める目を持てるように準備しましょう。

まとめ

保険外サービスは、QOLの向上や介護保険サービスの補完を目的として提供されています。

上手に活用することで、不安を取り除けたり、不便を解消したり、生活の支えになったりすることが可能です。

積極的に情報収集を行い、必ず複数のサービスを比較してから利用を開始するようにしましょう。

費用面だけではなく、派遣されるスタッフの質や、利用者との相性も重要なポイントです。

事例を参考に、より安全で快適な生活が送れるよう、保険外サービスの利用を検討してみてください。


クラピスくらしのパートナー』ではシニアの生活を伴走するパートナーとして、介護保険サービスではフォローしきれない日々のサポートを行なっています。

生活支援からスマホの操作サポート、終活相談までサポートしています。お気軽にお問い合わせください。

  • LINEで送る