介護保険制度

科学的介護情報システム(LIFE)とは?利用者にとってのメリットは?

LIFE(ライフ)という言葉、最近耳にすることはありませんか?

これは、生活という意味ではなく、『科学的介護情報システム』という意味なのです。
2021年4月からすでに運用が開始されており、介護現場にこのシステムを取り入れている事業所もあります。

このLIFEはとても奥が深く、一般の人には難しいと感じることもあるかもしれません。

しかし、概要を理解していないと、今後の介護福祉の流れに遅れてしまう可能性があります。

今回は、このLIFEについて解説していきますので、なんとなくでもイメージを持てるようにして下さい。

LIFEって何?概要は?

厚生労働省では、自立支援等の効果が科学的に裏付けられた介護を実現化するために必要となるデータを集めて、分析するためのデータベース『CHASE』の構築を実施しました。

【CASEの概要】科学的介護の実現を目指し、利用者の状態やケアの内容などを集積したデータベース。利用者の認知用、口腔、栄養状態・どんなサービスを提供したか・その他気づいたことなどを介護記録等の入力によってまとめ、それを現場にフィードバックする。科学的介護によって、自立支援・重度化防止を図る。

https://kaigo.ten-navi.com/article/52

★★★データベースとは★★★

データベースとは、決まった形式で整理されたデータの集まりのことです。

一般的にコンピューター上で整理されたものを指し、例えば、顧客情報である『氏名』『電話番号』『住所』の項目ごとに整理したり、沢山ある商品情報を『商品コード』別に分けたものをいいます。

参照:https://it-trend.jp/database/article/89-0065#chapter-1

★★★★★★★★★★★★

この『CHASE』は令和3年4月より『VISIT』(通所・訪問リハビリの質の評価データ集積システム)と統合されて、LIFEとなっています。

では、VISITについて下記の図表をご覧ください。通所や訪問系リハビリの効果を科学的な根拠に基づいて分析するためのデータベースです。

【VISITの概要】通所・訪問リハビリの公課を科学的な根拠に基づいて分析するためのデータベース。リハビリデータを入力することで、リハビリ計画書・リハビリ会議録・プロセス管理票などえおデータベースに蓄積。それを現場にフィードバックする。2018年からリハビリマネジメント加算に上乗せ区分(IV)が創設。

https://kaigo.ten-navi.com/article/52

LIFEのメリットについて

①様々な分析が可能になる

ケアを向上させるために様々な分析をすることが可能になります。
LIFE導入前までは、事業所単位でしたが、全国規模で様々なデータを集めてくれるのです。

②個人にとって最適なケア方法をすぐ見つけられる

全国の事業所から集められたデータを分析し、個々の状態に最適なケア方法を提示してくれるため、どのケア方法が適しているかを即座に見つけられます。

③加算がある(事業所側のメリット)

LIFEを導入するし、データ提出やフィードバックを活用することで加算があります。

※以下で詳しく解説します。

LIFEのデメリットについて

①インターネット環境を整える必要がある

一部の部屋や空間にだけネット環境があるのではなく、事業所全体にネット環境を整備しなければなりません。

よって、初期費用が必要となります。

②職員が学ばなくてはならない

LIEFについて勉強し、それを使いこなせるようにしなけばなりません。

人材不足が多い介護現場で、時間を割いて学習していくことは難しいと感じることもあるでしょう。

LIFE利用までの流れ

今までに、『VISIT』や『CHASE』を利用していなかった場合、新規利用申請をする必要があります。

例えば、利用している「サービス事業所から『LIFE』を導入します」と言われても、利用者個人で何か行う必要はありません。すべてサービス事業所がしてくれます。

新規利用申請はLIFEのホームページから『新規登録』ボタンをクリックし、画面に表示される説明に沿って必要な事柄を入力し申請を行います。

新規利用申請が終わったら、厚生労働省から利用開始に必要となる情報が記載された葉書が送られてきます。

公式ホームページ

①新規利用の申請

②厚生労働省から送られてくる葉書を受け取る

③初回ログインとIDの設定

④利用者情報と様式情報を登録する

LIFEの加算について

令和3年度の介護報酬改定で、LIFEの活用等が要件に含まれる加算が新設されました。
LIFEの活用等が要件として含まれる対象の加算は次に示した通りです。

①科学的介護推進体制加算(Ⅰ)(Ⅱ)
②個別機能訓練加算(Ⅱ)
③ADL維持等加算
④リハビリテーションマネジメント加算(A)ロ及び(B)ロ
⑤リハビリテーションマネジメント計画書情報加算並びに理学療法、作業療法及び言語聴・覚療法に係る加算
⑥褥瘡マネジメント加算
⑦褥瘡対策指導管理(Ⅱ)
⑧排せつ支援加算
⑨自立支援促進加算
⑩かかりつけ医連携薬剤調整加算(Ⅱ) 及び(Ⅲ)
⑪薬剤管理指導の注2の加算
⑫栄養マネジメント強化加算
⑬栄養アセスメント加算
⑭科学的介護推進加算
⑮口腔衛生管理加算(Ⅱ)
⑯口腔機能向上加算(Ⅱ)

参照:https://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/attachment/130569.pdf

LIFEの加算対象になる事業所

①介護老人福祉施設
②地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
③介護老人保健施設
④介護医療院
⑤通所介護
⑥地域密着型通所介護
⑦認知症対応型通所介護(予防含む)
⑧特定施設入居者生活介護(予防含む)
⑨地域密着型特定施設入居者生活介護
⑩認知症対応型共同生活介護(予防を含む)
⑪小規模多機能型居宅介護(予防含む)
⑫看護小規模多機能型居宅介護
⑬通所リハビリテーション(予防含む)
⑭訪問リハビリテーション

参照:https://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/attachment/130569.pdf

LIFEを導入する利用者のメリット

LIFEを導入することによって、PDCAサイクルをより強力にして循環していくことになります。

PDCAサイクルとは、

P:PIAN(計画)

D:DO(実行)

C:CHECK(評価)

A:ACTION(改善)

のことであり、継続的に介護計画(ケアプラン)の改善を促すことです。

https://kaizen-base.com/column/31135/

例えば介護施設に100人が利用していたとしても、100通りの状態に合った適切なプランが作成できるようになり、サービスの質の管理が向上するのです。

例えば、それまでは重要だと思われていたケアが実はそこまで大切ではなかったり、逆に注目されていなかったケアが重要だったということが分かります。

このようにしてフィードバックされ、目の前あるケアを黙々と受ける(行う)のでなはく、ケアに希望と未来を持ったものに変化させていくことができるのです。

全ての介護施設で、このLIFEを導入しているわけではありませんが、将来的一般化されれば介護を受ける側のメリットが増えることになるでしょう。

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