終活は、一人で行うよりも、家族や周囲の人と一緒に行うことがおすすめです。
終活というと、どうしてもネガティブなイメージが拭えないという人もいますが、終活は自分のためにも、遺される人たちにも必要です。
死は誰もが迎えなければいけないもの。
自分らしい最期を迎え、遺された人たちに迷惑をかけないために、終活に取り組む必要があります。
この記事では、遺された家族に迷惑をかけないために、どんな終活を行えば良いのか、家族で取り組む終活のイロハをご紹介します。
タブー視されやすい死について考える
死は昔からタブー視されやすいものです。
死を連想する数字、死に関連する縁起担ぎなど、特に高齢の方は死を忌み嫌う傾向があります。
しかし、死は誰にでも訪れるもの。
タブー視されやすい死について、どのように考えれば良いのでしょうか。
いつ何が起こるかわからないから
いつ何が起こるかわからない…人はいつ死を迎えるのかは、自分でわからないものです。
健康であっても急に事故に遭ったり、突然の病で命を落としたりということが考えられます。
終活を始める年齢はいつでも良いと言われるのは、いつ何が起こるかわからないからです。
人が亡くなるということは、家族や知人にとって大きな悲しみを与えます。
それと同時に、葬儀・法要・遺品整理・相続など、遺された家族にはやらなければいけないことがたくさん出てくるのです。
故人が本当に望んでいたことがわからないと、遺された家族は非常に困惑します。
「ちゃんと話しておけばよかった」「本当はどうしたかったんだろう」と後悔しても、確認出来る術がありません。
死は恐れるものではなく、必ず迎えるものとして、常に準備をしておくことが必要になるのです。
余命宣告も悪くない
筆者の友人は、体調が悪化し入院したときに、ガンであることがわかり、余命宣告を受けました。
余命1ヶ月。
既に手術や治療ができない状態で、緩和ケアを勧められました。
落ち込んでいるかと思いきや、彼女はこう言ったのです。
「時間が限られていることが分かったのは良いこと。自分のしなければいけないことがハッキリしたから。」
旦那さんや子ども達が気落ちしているのを横目に、葬儀やお墓の準備・エンディングノートの作成・家庭内のこまごましたことの覚書・保険に関する連絡先・知らせてほしい友人…きっと体調は優れなかったはずなのに、家族に迷惑をかけないように終活を行いました。
彼女は余命宣告を受けてから2ヶ月後に亡くなりましたが、終活をしていたおかげで家族は困らずに済んだのです。
彼女の終活は完璧でした。
自分に与えられた残り少ない時間を、とても有意義に使えたと満足して旅立ったはずです。
余命宣告は非常に残酷で辛いものですが、ネガティブになりがちな気持ちを奮い立たせた彼女を見て、「時間が限られていることが分かったのは良いこと」だと考えるようになりました。
生きている間の迷惑は亡くなったあとの半分
筆者は両親を看取った経験があります。
両親はよく「迷惑をかけて申し訳ない」と言っていましたが、筆者が本当に大変だったのは、両親の亡くなった後でした。
具合が悪かったこともあり、終活の話をするのはためらわれたので、何も話し合っていなかったのです。
比べるものではないかもしれませんが、祖母はきっちりと終活を行っていました。
祖母がよく言っていたのは「生きている間の迷惑は、亡くなったあとの半分」ということ。
祖母は終活をしなかった祖父の亡くなったあと、とても後悔したというのです。
お墓のこと・葬儀のこと・遺品整理など、決定権者がいない上に、希望さえわからなければ悔いの残るものになってしまいます。
家族や周囲の人間は、『高齢だから』『具合が悪いから』と終活を勧めるのをためらってしまう状況もありますが、少しでも希望を聞いておくことは、迷惑でもなんでもないのです。
家族で話し合っておきたい3つのこと
終活において、必ず家族で話し合っておきたいことがあります。
どんなことを話し合っておくべきなのか、3つのポイントをご紹介しましょう。
葬儀について
葬儀については、必ず希望を確認しておくことが必要です。
- 葬儀の費用の捻出方法
- 葬儀に呼んで欲しい知人
- 葬儀の方法(家族葬・直葬など)
特に費用に関しては、誰が負担するのか、いくらくらいになるのかを決めておきましょう。
本人の費用が足りない場合は、葬儀の費用を誰かが負担しなくてはいけません。
また式場は生前に見学したり、予約したりすることが可能です。
どんな葬儀にしたいのか、きちんと話し合っておくことが、混乱の予防になります。
お墓について
お墓が決まっていない場合は、どのような供養を望むのか、家族と話し合っておく必要があります。
- お墓の購入について
- 供養の方法について
- 後継者について
近年では、遺された家族に負担をかけない永代供養墓・合葬墓・樹木葬などがあります。
お墓を購入する場合は、できるだけ生前に決めておく方が良いでしょう。
自分の希望を家族に伝え、了承をもらうことも大切です。
話し合ったり、実際に見学に行ったりすることも踏まえて、余裕をもって取り組んでおくことをおすすめします。
財産について
家族に遺す財産がある場合は、エンディングノートではなく、遺言書を作成しておきましょう。
遺言書には自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類があります。
自分で作成することもできますが、遺産相続に詳しい弁護士などの専門家に相談する方法がベストです。
相続は争族とも呼ばれることがあり、思わぬトラブルに発展してしまう可能性があります。
終活では、自分の財産を整理することも重要ですので、判断能力があるうちに取り組んでおくべきです。
家族に迷惑をかけないために・終活で何を伝えればよい?
終活は、自分らしい最期を迎えるだけではなく、遺された家族に迷惑をかけないための準備でもあります。
具体的に終活で家族に伝えておくべき3つのポイントを解説しましょう。
自分らしい最期のビジョン
自分がどんな最期を迎えたいのか、希望をしっかりと伝えておくことはもっとも重要なポイントです。
- 延命措置や終末期医療に関する希望
- 宗旨宗教について
- お墓や葬儀について
特に終末期医療や延命措置については、必ず家族に伝えておきましょう。
- 心肺蘇生(心臓マッサージなど)
- 延命のための人工呼吸器の使用
- 胃ろう増設の可否 など
延命措置に関しては、短時間で答えを出さなくてはいけないことが多いので、あらかじめ決めておくことで、後悔のない対応ができます。
自分のやりたかったこと
自分が本当にやりたかったことを伝えておくことも家族にとっては大切なことです。
- 元気なうちに家族旅行に行きたい
- 長い間会えなかった友人に会いたい
- ゴルフをやってみたかった など
こんなこと…と思わずに、家族に伝えてみましょう。
叶えられることがあれば、家族は叶えようと努力ができますし、自分が元気なうちにやっておくことが明確になります。
できることとできないことがありますが、自分の気持ちを棚卸しする意味でも、家族に伝えておくことで、お互いに後悔をせずにすみます。
感謝の気持ち
普段なかなか言えなかった感謝の気持ちを伝えましょう。
親・配偶者・子ども・友人など、直接言えなければ、エンディングノートを活用してみてください。
今までの人生を振り返ると、たくさんの感謝すべきことが見えてきます。
「ありがとう」という言葉は、遺された人たちにとって何よりの贈り物です。
恥ずかしいと思わずに、きちんと自分の気持ちを伝えることはとても大切です。
まとめ
終活に明確なルールはありません。
いつから始めるのか、何をするのかなどは、人それぞれです。
終活で大切なことは、一人だけで行わずに、周囲の人を巻き込むことです。
死をタブー視せず、自分らしい最期を迎えること・家族に迷惑をかけないことを目的として、終活に取り組んでみましょう。