介護施設

介護老人保健施設(老健)とは?特徴や費用を解説!

介護老人保健施設は「老健」とも呼ばれ、要介護者が家庭への復帰を目標にリハビリを中心とした医療・介護を行う施設です。
ここでは介護老人保健施設の特徴や費用の目安を紹介します。

1.介護老人保健施設の主な特徴

65歳以上で要介護1以上で入居可

入所期間は3〜6ヶ月程度

3カ月に1度の判定会議で退所時期が決定

介護老人保健施設は医療ケアやリハビリを必要とする要介護者を受け入れています。「家庭への復帰」を目指す施設なので、入所できる期間が短く「終のすみか」として利用することは望めません。

また入居条件に「病状が安定している」「感染症にかかっていない」など条件を追加している場合もありますので、施設ごとに確認が必要です。

さらに3カ月に1度の判定会議が行われ、家庭復帰が可能と判断された場合は退所となります。
そのまま自宅へ戻ることが不安な方は、この間に介護施設を探して入居手続きを進めたり、自宅をバリアフリー改装するなどの準備をしましょう。

2.提供サービス

週2回以上のリハビリを実施

理学療法士や作業療法士などリハビリ専門職が個別に作成された計画書に基づいて、1回20~30分程度のリハビリを少なくとも週2回行います。早く家庭復帰をしたい場合は週3回以上のペースで受けられる場合もあります。
歩行訓練やベッドから車椅子への移乗訓練、衣服の着脱訓練など日常生活に即した内容が中心です。

医師が常勤・看護師の配置も手厚い

常勤の医師が必ず施設に1人以上・入所者100人に対して医師1人以上配置されており、看護師の数も特別養護老人ホームと比べて手厚いです。看護師は24時間常駐しているところも多く、インシュリン注射やたん吸引にも対応しています。
しかし医師・看護師ともに施設によっては日中しか常駐しないこともありますので施設に確認しましょう。

栄養士による栄養管理

入所定員100人以上の場合、栄養士が1人以上配置されており、毎日の献立を栄養士監修で決めています。
塩分制限の食事や嚥下能力に合わせた介護食など、入所者の状態によって個別対応もしています。

身体介護や生活援助

介護老人保健施設で生活する上で必要になる基本的な身体介護(食事、入浴、排泄などの介助)、生活援助(居室の掃除・洗濯など)を受けることができます。ただし有料老人ホームや特別養護老人ホームと比べて、レクリエーションやイベントなど娯楽が比較的少ないです。
短期間で「家庭への復帰」を目指す施設なので、手厚い介護・充実した生活も重視したい方であれば、医療ケアにも力を入れている有料老人ホームなど同時に検討してみてはいかがでしょうか。

3.費用・月額料金

介護老人保健施設は介護保険法で定められた公的施設のため、入居金のような初期費用はかからず基本的に費用が安く済みます。また居住費、食費、介護サービス費は確定申告の際に医療費控除の対象になるので申請をすれば還付を受けることができます。
ただしリハビリをはじめ手厚いケアサービスを受けると、その分追加で費用もかかってきますので、ケアマネジャーに費用の相談しながらケアプランを作成してもらうとよいでしょう。

居室別料金

入居するお部屋のタイプによって利用料金は異なります。従来型の料金は以下の通りです。

※基準費用額の月額は、一月を30.4日として計算しています。
※自己負担額は自己負担割合によって異なります。
※1単位10円で計算していますが、地域によって1単位あたりの単価は異なります。

在宅強化型の居室別料金

厚生労働省は「半年で在宅復帰率50%以上」「3ヵ月でベッド回転率が10%以上」等の設定された条件を満たした介護老人保健施設を在宅強化型としています。
在宅強化型の利用料金は以下の通りです。

※基準費用額の月額は、一月を30.4日として計算しています。
※自己負担額は自己負担割合によって異なります。
※1単位10円で計算していますが、地域によって1単位あたりの単価は異なります。

介護サービス加算

基本的なサービスに加え、利用者の状態に応じてより手厚いサービス提供や、人員体制を強化してる施設もあります。そのような施設では上記の料金に追加して介護サービス加算があるので注意しましょう。
どのようなサービス加算があるのかよく加算されるものをご紹介します。

1単位10円、1割負担の金額です。

在宅復帰・在宅療養支援機能加算

在宅復帰に向けた取り組みを評価する加算です。在宅復帰率、ベッド回転率など一定の条件を満たしている介護老人保健施設を利用すると、利用料金に在宅復帰・在宅療養支援機能加算が加えられます。
従来型の居室で1日あたり34円、在宅強化型の居室で46円が加算されます。

短期集中リハビリテーション実施加算

医師または医師から指示を受けた理学療法士、作業療法士、言語聴覚士から週3回以上、1日20分以上の個別リハビリテーションを受けると利用料金に短期集中リハビリテーション実施加算が加えられます。(入所から3ヶ月以内)
こちらは1日あたり240円が加算されます。

退所時指導加算

退所が見込まれており入所日から1ヵ月を超える入所者に対して、試行的に退所させる場合において、入所者およびご家族等に対して療養上の指導を行った場合に退所時指導加算が加えられます。
この加算は最初の試行的な退所を行った月から3ヶ月間に限り、1ヶ月に1回を限度とします。
こちらは1回あたり400円が加算されます。

4.さいごに

病院から退院していきなり自宅に戻るのは不安、リハビリをして自宅で過ごせるまで身体を回復させたいという方に介護老人保健施設はぴったりです。
より手厚いサービスを受けたりリハビリ内容を充実させると追加で費用はかさみますが、その分より早い「家庭への復帰」を目指すことができます。

担当のケアマネジャーに希望や予算を相談しながら、施設選びや追加加算を検討しましょう。

出典:
『2019年度介護報酬改定について』(厚生労働省)
『介護給付費単位数等サービスコード表(令和元年10月施行版)』(厚生労働省)
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