脳血管障害は脳卒中とも呼ばれる、とても有名で発症するリスクも高い疾患です。脳血管疾患の死亡数は年間で約10万人で、全死因の第4位となっています。
身近な疾患ですが、種類が多く何がどう違うのか整理できていない人も少なくはないでしょう。
今回は、脳血管疾患についての概要に触れて、その種類などを解説していきます。
脳血管疾患とは(概要)
脳の血管が障害を受けることで起こる病気を総称して脳血管疾患(障害)といわれ、一般的に脳卒中として知られています。
脳血管疾患には、脳の血管が詰まって起こる脳梗塞と脳の血管が破れて起こる脳出血やくも膜下出血があります。
脳梗塞は脳の血管が詰まり、細胞胞に血液が送られなくなる疾患で、ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症 の3つのタイプに分類されます。
一方で脳出血(頭蓋内出血)は血管から出血して脳の中に血の固まりができるものです。
いずれの疾患でも、脳細胞が壊れてしまい、意識を失ったり、麻痺、言語障害、認知症といった症状が現れます。
くも膜下出血は、脳を覆う3層の膜のうち、2層目のくも膜と3層目の軟膜の軟膜の間に出血が生じるのです。
3種類の脳梗塞について
ラクナ梗塞
あまり聞きなれない名前だと思います。
ラクナ梗塞は血管の直径が0.2~0.3㎜ほどの細い血管がつまってしまい、血流が流れなく梗塞です。
その先にある脳の組織(神経細胞)が壊死しまうため機能が低下してしまいます。
ラクナ梗塞の場合、詰まっている場所などの関係で症状がない場合もあり、これを無症候性脳梗塞(隠れ脳梗塞)と呼ばれたりします。
検診や人間ドック(脳ドック)などで気が付いたときに治療すると、一般的に経過は良好とされています。
しかし、再発するリスクもあり、麻痺、嚥下障害、言語障害などを繰り返すケースも珍しくありません。
早期発見の可能性
梗塞がおこりやすい場所があるのがラクナ梗塞の特徴です。
『意識』を司っている脳の表面に巡る血管ではなく、脳の深部の血管が詰まるため意識障害に至ることはあまりありません。
早期発見ができるようにするために、以下のような症状があれば早めに病院を受診するようにしましょう。
①顔を含めて麻痺が出現する
②話しにくくなる
③しびれが出てくる
④手の細かい動作ができなくなる
ラクナ梗塞は特に高血圧に注意が必要です。
例えば、最高血圧が120未満かつ最低血圧が80未満の人に比べると、最高血圧が140以上または最低血圧が90以上の人は発症リスクが高まります。
アテローム血栓性脳梗塞
アテロームという言葉もあまり聞きなれないと思います。
動脈硬化でおこる血管の変性のことで、粥状硬化(じゅくじょうこうか)という意味です。
ラクナ梗塞は細い血管に障害が起こるのに対して、アテローム血栓性脳梗塞は比較的太い血管に障害が起こります。
動脈や頚動脈の動脈硬化が進み、血栓を形成して詰まったり、血管の壁が剥がれ落ちたりします。
心原性脳塞栓症
心臓に血の塊(血栓)ができ、それが心臓から脳まで流れて血管を詰まらせた時に心原性脳塞栓症を発症してしまいます。
大きな血管を詰まらせますので、大きな脳梗塞の原因になります。
原因として、最も多いのは『心房細動』という不整脈です。
心臓が不規則に動くことによって、心臓内部の血流が乱れてしまい、血の塊を作ってしまうのです。
そして、結果的に脳血管が詰まって脳梗塞になってしまうのです。
2種類の頭蓋内出血について
脳出血
この病気は脳の中にある細い動脈が急に破れることによって、脳の中で出血してしまうものです。
前触れもなく、突然症状がでます。
出血の部位、出血の量により症状や重症度が変わってきます。
典型的な症状としては、半身の麻痺に加えて感覚障害もあります。
麻痺がある場合には顔が歪んだりすることもあり、スムーズにしゃべることができなかったりします。
出血量が多い場合には、意識障害を起こし、場合にはよっては命に関わることもあるでしょう。
※意識障害とは
意識が清明ではない状態のことを示し、覚醒度あるいは自分自身と周りの認識のいずれかが障害されていることを指します。下記の4つの分類に分けられます。
①傾眠・・・外部からの刺激に反応すが、ウトウトと眠ってしまう。
②昏迷・・・外部から強い刺激を与えると反応する。
③半昏迷・・外部から強い刺激を与えても顔をしかめる程度の反応しかない。
④昏睡・・・外部から刺激を与えても全く反応がなく、眼も開けない。
くも膜下出血
脳にくも膜と呼ばれるところがあります。
この部位の内側の液体が溜まっている『くも膜下腔』という脳の表面の空間で出血し、多くは脳動脈瘤が破裂するのです。
この病気の原因は、高血圧、喫煙、飲酒(多量)、遺伝性、などがあると言われています。
くも膜下出血は脳の表面の出血ですが、脳や髄膜を刺激して、突然それまで経験したことがないような激痛が頭に起こり、嘔吐するケースもあります。
動脈瘤が破れた瞬間には脳の圧が一気に高くなり、脳に血が流れない状態になります。
そのため、一旦意識を失ってから回復するケースもありますが、そのまま意識が戻らないことも珍しくありません。
脳血管疾患の前兆
脳はとても繊細で重要な部位分です。
脳卒中になる前に、前兆があるケースも多く、自分や周囲の人がそれに気が付けば、重度化しない可能性もあるので、迅速に医療機関の受診や救急車を呼ぶなどしましょう。
こんな症状があれば要注意!前兆を確認しましょう。
①しゃべりにくくなり、呂律が回らない。
②言葉や人の名前など簡単なことが思い出せない。
③片側の手足に力が入らない。
④顔面の左右、どちらかに麻痺がおこる。
⑤経験したことがない激しい頭痛が起こる。
⑥運転中まっすぐハンドル操作できない。
⑦片目が見えずらかったり、視野が掛ける。
⑧急なめまいがある。
脳血管疾患の予防法
今回は、日本脳卒中協会が作成したHPを参考に作成しました。
まず、誰もが簡単に取り組めることとして、自分の血圧の把握です。
そして、血圧が高ければ医師に相談し、対応していきましょう。
糖尿病や不整脈がある人は要注意です。
例えば医師から処方された薬を適切に飲んだり、規則正しい生活を送るようにしましょう。
お酒がすきな人も多いかとも思いますが、多飲はせずに控え目に飲むようにすることが大切です。
百害あって一利なしで知られているタバコは、予防の観点からみても吸わない方が断然良いと言えるでしょう。
どうしても辞めることが出来なければ、医師の協力の元取り組むのも一つの方法です。
他には、適度な運動や塩分の摂りすぎなどにも注意が必要です。
1. | 手始めに 高血圧から 治しましょう |
2. | 糖尿病 放っておいたら 悔い残る |
3. | 不整脈 見つかり次第 すぐ受診 |
4. | 予防には たばこを止める 意志を持て |
5. | アルコール 控えめは薬 過ぎれば毒 |
6. | 高すぎる コレステロールも 見逃すな |
7. | お食事の 塩分・脂肪 控えめに |
8. | 体力に 合った運動 続けよう |
9. | 万病の 引き金になる 太りすぎ |
10. | 脳卒中 起きたらすぐに 病院へ |