このタイトルを見て不思議に感じた人も少なくはないと思いますが、現在歯周病と脳梗塞が関係しているのではないかという説があります。
この記事では、歯周病の概要についても触れて、なぜ脳梗塞と関係があるのかを解説し、どこまで研究が進んでいるかも説明していきます。
そもそも歯周病とは何か
歯周病は30歳以上の成人の80%ほどが罹患している病気で、まず予防が大切になって適切な治療も重要になります。
歯の周りの歯茎や歯を支える骨などが溶けてしまう病気です。
歯と歯肉の境目がきれいになっておらず、カスなどが溜まってしまうと、多くの細菌が停滞し歯肉の辺縁が炎症を起こして赤くなったり、腫れたりするのですが、痛みがあまりないケースが多いです。
この状態がさらに進行すると、膿が出たり、歯がぐらついてきて、最終的には歯を抜かなくてはならない状態になります。
歯周病をチェック!
思い当たる項目がないか確認をしましょう。
該当項目が多ければ多いほど要注意です。歯科医を受診しましょう。
① 口の臭いが気になる
② 朝目覚めた時口腔内がネバネバする
③ 歯磨き後に出血がある
④ 歯肉が赤く腫れている
⑤ 歯肉が下がり、歯の部分が長くなっている気がする
⑥ 歯肉を押すと血や膿が出る
⑦ 歯と歯の間にカスが詰まりやすい
⑧ 歯が浮いている感覚がある
⑨ 歯並びが変わった気がする
⑩ 歯がグラついている気がする
では脳梗塞とはなにか
高齢社会の日本において、益々脳梗塞になる人が増えてくると予想されています。
脳梗塞とは、血管が詰まることで脳の細胞が死に、その部分の機能が失われる病気です。詰まった血管、他からの側副血行の発達程度で症状や重症度はさまざまです。
血管の詰まり方によって、ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症があります。
いずれも、生命の危機に直結する、とてもリスクが高いものになります。
歯周病と脳梗塞の関係
歯周病の菌は、口腔内だけでなく全身の血管にも影響を受けることが分かっています。
歯周病の菌が出す炎症物質や毒素が歯肉から血管内に入り込み、全身の血管の老化(動脈硬化)を進行させていくのです。
脳の動脈硬化が進行すると脳梗塞を起こし、心臓の動脈硬化が進行すると心筋梗塞を起こします。
この二つの疾患は、日本人の死因の上位を占めているのです。よって、歯周病を防ぐことは、脳梗塞だけでなく心筋梗塞も予防することができるといわれています。
歯周病を防ぐために
まず大切なことは、自分で行えるケアをしっかりすることです。
そして、それを補うように、歯科医師や歯科衛生士が行うプロのケアが必要とされています。
歯周病の原因である歯垢は、歯に付着した細菌の塊です。歯垢を除去しなければ、歯周病になったり進行もしていきます。
毎日の口腔ケアだけでなく、歯科医院に行って歯周基本治療を行わなければなりません。
糖尿病や喫煙など、歯周病を悪化させる原因はいろいろありますので、それらの治療も大切になってきます。
具体的な基本治療
歯科医院では、最初に歯垢や歯石の除去を行います。そして、歯の根の面の滑択化、ぐらぐらする歯の噛み合わせなどの調整などを行っていきます。
歯周病の進行に伴い歯は動いてきますが、動いている歯で噛むとさらに負担が増すため、その負担を軽くするために歯を削るなどして咬み合わせの調整をします。
歯周病予防は口腔環境を整えられる
歯周病を予防するために実施することは、結局のところ口腔内を清潔にすることに繋がります。
口腔内が清潔になれば、脳梗塞予防の他にも・・・
■誤嚥性肺炎
■心内膜炎
■心筋梗塞
■動脈硬化
■糖尿病
■低体重児出産
■早産
などの予防にもなります。
そして、結果的に健康寿命が延びて、いつまでも元気で生活を送ることができるのです。