病気・症状

肝硬変ってどんな病気?高齢者が気を付けること

肝硬変とは、様々な原因による肝臓の障害の末期の病状のことをいいます。

高齢者にも多くみられ、医師の指導・指示のもと適切に対応しなければ、最終的に肝臓の機能が停止してしまう可能性があります。

そうならないためにも、肝硬変をしっかり理解して、医師と二人三脚で予防・治療に取り組みましょう。

そもそも肝硬変ってどんな病気?

その名の通り、肝臓全体がゴツゴツして硬くなる病気です。

さらに、通常の大きさよりも小さくなり、顕微鏡でみると細胞が繊維によって周囲を取り囲まれていることが分かります。

正常な肝臓と肝硬変に陥った肝臓の比較図

画像引用

肝炎(B型やC型)ウイルス感染、アルコール、などによって肝臓に炎症が生じますが、その炎症を修復する時にできる線維というたんぱく質が増加して、肝臓全体へと拡大した状況のことです。

肝硬変の原因

わが国の肝硬変の原因で一番多いとされているのが、C型肝炎ウイルス感染によるものです。

肝炎ウイルス感染によって、肝硬変は全体の8割以上といわれています。

ほかの原因として、飲酒量が多かったり、薬物による肝障害などがあります。

肝硬変の症状

『沈黙の臓器』と言われているのがこの肝臓です。

疾患になっても、自覚症状がほとんどなく、まれに食欲不振やお腹の張りという症状があるくらいです。

しかし、進行が進めば一気に症状が出現します。

■むくみ

■腹部の膨らみ

■肝性脳症

■腕を伸ばした時の振戦

■皮膚の痒み

■黄疸

■ホルモンバランスの乱れ

肝硬変の診断や検査はどのようなものか

お酒を大量に飲んでいないか、過去に輸血を受けたことがないか、糖尿病など肝硬変の原因になる病気がないか聞き取りを行います。

そして、みぞおちに硬い肝臓が触れたり、左の肋骨の下に腫れた脾臓が触れる、腹部に水が溜まって膨らんでいるなど、肝硬変のサインがないかを診察します。

そして、血液検査では肝臓の動きが弱っていないかを確認します。

肝臓には、たんぱく質や脂肪を合成する働きがあります。さらに、物質を処理して対外に排泄する働きなどがあるのです。

合成する働きが弱ってくると、血中のアルブミンや総コレステロールの数値が減少し、血液を凝固させるたんぱくも少なくなり、血液が固まりにくくなります。

処理する働きが低下してしまうと、ビリルビンという色素の血中濃度や肝臓の硬さを示す、ヒアルロン酸値などが上昇し、また腫れた脾臓は血小板を破壊し減少させます。

肝硬変になった肝臓は、表面がボコボコしていますので、それを確認するために腹部超音波検査やCTで確認をします。

肝硬変の分類

肝硬変はその重症度によって分類(チャイルド・ピュー)されるのが一般的です。

軽度(グレードA)

軽度の肝硬変の状態で、代償性肝硬変といわれます。

まだ障害を受けていない肝細胞が代わりに動くことによって、肝機能がなんとか保たれている状態です。

中等度(グレードB)

中等度の肝硬変で、全身の倦怠感が発生したり食欲の低下などが軽度の症状です。

代償性から非代償性への過渡期の状態です。

高度(グレードC)

非代償性の肝硬変であり、この状態になれば肝臓の機能を保つことができないため、様々な症状がみられるようになります。

肝硬変で高齢者が気を付けること

日常生活での注意点

運動

激しい運動をする必要はありませんが、適度な運動な必要になってきます。

例えば、軽く汗をかく程度のウォーキングがおすすめです。

しかし、非代償性肝硬変になってしまった場合には、医師から運動は控えるように言われることが多いようです。医師と相談して取り組むようにします。

睡眠

十分な睡眠が必要とされます。

夜間、睡眠不足だと感じた場合には医師に相談して、適切な処置を受けるようにします。

くれぐれも勝手に判断して睡眠薬などを服用しないようにしましょう。

おくすり手帳などを活用し、医師から慎重な処方を受ける必要があります。

感染の予防

B、C型肝炎ウイルスキャリアの場合、自分自身が感染を拡大させてしまわないように配慮が必要です。

肝炎のウイルスは血液感染するため、会食や握手等では感染しないことを踏まえて日常生活を送りましょう。

服薬

肝硬変では、薬を分解する機能が低下します。

よって、多くの薬を飲んでいる場合には副作用が出現してしまうリスクが高くなってしまいます。

複数の医療機関にかかり、薬の処方を受けている場合などは特に気を付けて、おくすり手帳を有効的に使用するようにします。

入浴

肝臓に負担がかかってしまうため、食後1時間以内の入浴は避けるようにします。

冬場は高温で湯船につかることを好む高齢者が多いですが、ぬるめのお湯にして長時間の入浴にならないようにしましょう。

爽快感が満たされないかもしれませんが、夏場はシャワーでサッと洗い流すようにします。

アルコール

肝臓で処理されるアルコールは飲まないことが基本になります。

アルコール性の肝硬変の場合には断酒で肝硬変が改善されるケースもあります。

しかし、アルコール性肝硬変の人は断酒が困難なアルコール依存症であることが多く、医療機関で根本的な治療が必要になってきます。

食事での注意点

♦バランスの良い食事を心がけて、必要な栄養素を補給するようにしましょう。

♦高たんぱく・高エネルギー食にならないように配慮しましょう。

♦1日に3食、規則正しく食事を摂取するようにしましょう。(朝食などを抜かないように)

♦食生活を整え、便秘にならないようにしましょう。(食物繊維などを多くとりましょう)

♦生卵や刺身、それに生肉は控えて火が通っているものを食べるようにしましょう。

まとめ

現在の医学では、肝硬変になった肝臓は正常なものになりません。

そこで重要なことは、早期に発見し適切な医療を受けることです。

そして今回ご紹介したような、日常生活での注意点を医師と確認して取り組むことが大切です。

肝硬変のグレード(分類)によっては、日常生活での注意点(例えば運動)が違ってきますので、自己判断せず医師の指導のもと実施するようにしましょう。

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