お金の知識

介護破産にならないために…今出来ることとは?

「老後までに十分な貯蓄がなければどうしよう・・・」

「介護破産にならないか心配・・・」

「今の貯金で介護は受けられるだろうか・・・」

このように思って生活をしている、50代、60代の人は決して少なくはないと思います。

今回は、介護破産にならないためにできることをご紹介し、少しでもお役に立てればと考えています。

介護破産とは

介護破産とは、定年後に年金での生活を営むなかで、介護を行っているけれど破産してしまい、生活が困窮してしまうことです。

また、高齢者が貧困によって破産しなければならない状態に追い込まれている状態のことも指します。

昨今、物価の上昇などで一般家計をどんどん圧迫しています。

現役世代でも経済的に苦労しているのに、年金受給を行いながら介護を受けるとなると、かなりの負担になっているのが現状ではないでしょうか?

介護破産は所得が多くあるからといって、決して油断できるものではありません。

介護破産は所得(収入)の額に関係なく誰にでも起こりうる問題であることも認識しておく必要があります。

介護破産に繋がる原因

介護負担になる原因はさまざまです。以下、介護破産になる可能性を解説していきます。

生活水準と見合わない収入

収入のピークは一般的に40代~50代だといわれています。

その後、年金生活になると、一気に収入が減少します。

退職金を頼りにできない時代でもあり、中には退職金制度自体がないという中小企業もあるのです。

要介護状態となる一歩手前の老後は、このような事情を踏まえて支出を減らす必要があるのです。

とはいっても生活水準を落とすということはなかなか難しいことです。

収入が増えたからといって、20代、30代でも生活水準を上げすぎず生活していくことが重要になってきます。

無理なローンはしない

ローンが残っていると貯蓄を増やすことが難しくなります。

特に、年金生活になっても住宅ローンが終わっていないケースでは、生活費を削る必要まで出てくるのです。

住宅ローンの他には、家賃、固定資産税、マンション管理費など、自分の住まいに支払う費用は老後の負担になり、やがて介護破産になる可能性が強くなるでしょう。

子供への費用

いわゆる大人の引きこもりなどが、家計を圧迫する場合もあります。

子供が就職し自立するかのように思えても、子供に費用がかかることもあります。

例えば・・・

①子供の収入が安定しない

②子供の給料が低い

③職を転々とする

④心の病で働けない

このように、子供が独身でいることや、子供が独身で生活に苦しんでいる場合も後々、介護破産に繋がる可能性が高いのです。

あるいは、離婚した子供が孫を連れて実家に戻り、生活費を負担しなければならないケースも考えられます。

50代からは貯蓄に重点を

ここからは介護破産しないため、50代以降はどのような生活を送るべきなのか、資金のやりくりを解説していきます。

50代は預貯金を増やすこと

50代は預貯金を増やせる最後のチャンスだと考えておきましょう。

子供の教育費、住宅ローン、親の医療、介護費用など出費が増えてしまう時期でもありますが、同時に預貯金を意識して生活することも重要になってくるのです。

この時期は、親の介護がチラつきはじめることもあるでしょう。

介護の期間は、長ければ10年を超えてしまい、自分の介護の前に親の介護が負担になることもあります。

親の介護の関して、関わるのであればケアマネジャーと相談しながら、後にどのようなサービスを受けたいのか、施設を探しているか、費用面から相談しておくことが大切です。

介護破産しないために、今できること

まず、大切なことは自分達の収支の把握をして、年金生活になればどれほどの生活水準になるのかを想定しておくことです。

年金生活は裕福とは言えない生活が現実でしょう。

先にも述べましたが、現役時代の時と比べて生活水準を下げるくらいの考え方が望ましくなります。

基本的に自炊を心がけ、光熱水費の節約、必要なものだけを買う、このように節約意識をしっかりもった生活を営むようにしましょう。

また、60代、70代になると、介護サービスがどれくらいの費用で受けられるか、だいたいの金額の理解もしておく必要があります。

日本での要介護者は年々増加傾向にあります。

図表1-3-3-1 要介護度別高齢者数の推移
要支援・介護認定高齢者は平成19年度末で約438万人、年々増加傾向

画像引用

国の財源はひっ迫しており、介護保険料の増額は勿論のこと、介護を受けるサービス費用も増額されることが今後予想されます。

わが国では、Wワークの推進が行われています。

これは、逆にいうと一つの職場に依存して収入を得るのではなく、副業などもしながら老後に備えて欲しいというメッセージでもあるのです。

余裕があれば積極的な貯蓄を

財形貯蓄制度

この制度は給与から天引きで行う貯蓄であり、『一般財形貯蓄』と『財形年金貯蓄』『財形住宅貯蓄』の3種類があります。

職場を通して、各種金融機関に申し込むことができ、550万円までは利子が非課税となっているのが嬉しいです。

つみたてニーサ

画像引用

投資をすると、利益の20%前後が税金として引かれますが、このつみたてニーサ(NISA)は原則、利益に税金がかかりません。

現時点で投資上限額は年間40万円、2042年まで投資ができるようになっています。

年金を増額させる

年金といえば、「頼りにならない」「期待できるの?」「少額なんでしょう?」そのような声が聞こえてきそうです・・・。

確かに、公的年金では限界がありますので『確定拠出型年金』『国民年金基金』など、私的年金に加入する方法もあります。

結局は健康第一

収入がない→働く→収入を得る→介護に備える

この流が理想的ですが、そうしたくても出来ないこともあります。

それは、健康が維持できない状態であることです。

若い頃に一生懸命仕事をして、高齢になって腰痛や膝痛が発症したという人もいるでしょう。

そのようなケースでは、健康的に働くことができず、貯蓄へと結びつかないかもしれません。

しかし、生活習慣を正すことによって、脳梗塞、高血圧症、心臓病、糖尿病などのリスクを減少させることもできるのです。

今、誰にでもできることは、自分の健康に気を付けて、大切なカラダのケアをすることなのです。

職場の健康診断で再検査の指示が出たら、放置するのではなく積極的に精密検査等を受けるようにしましょう。

介護破産にならない最終手段

介護を受ける人、介護をする人(家族)が共に健康で文化的な最低限度の生活を送るために、生活保護制度がありますが、その手前の制度に『生活困窮者自立支援制度』があります。

この制度は、平成27年4月から生活全般にわたる困りごとの相談窓口が各地域に設置されました。

働きたくても働けない、住む所がない、家族のことで悩んでいるなど、まずは地域の相談窓口へ相談するといいでしょう。

相談窓口では、一人ひとりの状況に合わせた支援プランを作成し、支援員が相談者に寄り添いながら、関係機関と連携して解決に向けた支援を行ってくれるでしょう。

生活保護を受けるようになれば、各種の介護保険サービスは生活保護(介護扶助等)が適用され、自己負担も軽くなってくるので適切に利用しましょう。

生活保護制度とは

資産や能力などのすべてを活用しても生活に困窮する人に対して、国が経済的な援助を行うことを生活保護制度といいます。

生活保護制度の原理と原則を定めた生活保護法に基づいて保護の必要性が認定され、運用が行われます。

生活保護の原理・原則とは

国家責任の原理

生活保護法は、日本国憲法第25条の理念により、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度により、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長します。

無差別平等の原理

すべて国民は、生活保護法に定める要件を満たす限り、この法律の保護を、無差別平等に受けることができます。

最低生活保障の原理

生活保護法は、健康で文化的な生活水準を維持できる最低限度の生活を保障します。

補足性の原理

保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件とします。
民法に定める扶養義務者の扶養および他の法律に定める扶助は、すべて生活保護法の保護に優先して行われます。
急迫した事由がある場合は、必要な保護を行うことができます。

法律の解釈及び運用

前4項目の規定は、生活保護法の基本原理であって、この法律の解釈および運用は、すべてこの原理に基いて行います。

申請保護の原則

保護は、要保護者、その扶養義務者またはその他の同居の親族の申請により開始します。ただし、要保護者が急迫した状況の場合は、保護の申請がなくても、必要な保護を行います。

基準および程度の原則

保護は、厚生労働大臣が定める基準で測定した要保護者の需要を基とし、そのうち、その者の金銭または物品で満たすことのできない不足分を補う程度で行います。
 保護の基準は、要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他保護の種類により必要な事情を考えた最低限度の生活の需要を満たすに十分で、かつ、これを超えてはいけません。

必要即応の原則

保護は、要保護者の年齢別、性別、健康状態等その個人または世帯の事情を考えて、有効かつ適切に行います。

世帯単位の原則

保護は、世帯を単位にその要否および程度を定めます。ただし、これが適さないときは、個人を単位として定めることができます。

参考:松山市くらしのサイトより

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