お金の知識

高齢者を詐欺から守る!離れて暮らしている家族にできることとは?

高齢者を対象にした詐欺は、毎日のようにニュースで報道されています。

被害額も大きく手口も巧妙…『オレオレ詐欺』のように子どもを思う親心を利用するような悪質な詐欺は、社会的な問題といえるでしょう。

高齢者と同居しているのであれば多少は安心ですが、離れて暮らしている場合はとても心配なもの…。

そこでこの記事では、離れて暮らしている家族でも高齢者を詐欺から守ることができるポイントをご紹介します。

8割以上が高齢者!巧妙な詐欺の主な手口

警察庁の調査では、令和2年の特殊詐欺による被害額は285.2億円にのぼります。

特殊詐欺全体における65歳以上の高齢者が占める割合は、なんと85.7%と報告されているのです。

巧妙かつ悪質な特殊詐欺にはどのような手口があるのか、主な手口を4つご紹介します。

オレオレ詐欺

親族、警察官、弁護士等を装い、親族が起こした事件・事故に対する示談金等を名目に金銭等をだまし取る(脅し取る)手口です。

警察庁SOS47特殊詐欺対策ページ

息子や孫になりすまし、電話口で『オレだよ、オレ』と名乗らずに電話をすることから、オレオレ詐欺と言われている手口です。

声が違うと言われれば「風邪をひいている」、携帯の番号が違うと言われれば「番号が変わった」「携帯をなくした」などと信じさせるような嘘を平気でまくしたてます。

ATMからお金を振り込ませたり、実際に受け子と呼ばれる人間が関係者に成りすましてお金を受け取りに来たりするのが特徴です。

架空料金請求詐欺

未払いの料金があるなど架空の事実を口実とし金銭等をだまし取る(脅し取る)手口です。

警察庁SOS47特殊詐欺対策ページ

架空料金請求詐欺の悪質なところは、実際の事業者や裁判所、法務省などの名前を使ってSMSやハガキで連絡をしてくるところです。

きちんと確認をすればURLや電話番号が不自然なことがわかるのですが、実在する公的機関などからの連絡だと安易に信じてしまう傾向があります。

「コンビニで電子カードを購入して番号を教えて欲しい」「払わなければ裁判になる」などを常套句として使用することが多く見られます。

還付金詐欺

税金還付等に必要な手続きを装って被害者にATMを操作させ、口座間送金により財産上の不法の利益を得る手口です。

警察庁SOS47特殊詐欺対策ページ

税務署・自治体・年金事務所などの職員になりすまし、「受け取れるお金がある」という連絡をしてきます。

ATMで手続きをさせるのが特徴で、言われた通りに操作をすると犯人の口座へお金が振り込まれるように仕組まれているのです。

「お金が戻ってくる」という気持ちで安易に対応してしまうケースが多く、「期限がある」と急かされることですぐに行動してしまう傾向も見受けられます。

キャッシュカード詐欺盗

「キャッシュカード(銀行口座)が不正に利用されている」「預金を保護する手続をする」などとして、嘘の手続きを説明した上で、キャッシュカードをすり替えるなどして盗み取る手口です。

警察庁SOS47特殊詐欺対策ページ

私服警官や銀行協会の職員になりすまし、「キャッシュカードの確認に行く」と自宅まで押しかけ、目を離したすきにキャッシュカードをすり替えて預金を引き出されてしまう詐欺です。

キャッシュカード詐欺は近年被害が増加している詐欺の一つで、「特殊詐欺の被害に遭っている可能性がある」などもっともらしい理由をつけてきます。

すり替えられていることに気付かないうちに、預金が引き出されてしまうことがほとんどです。

高齢者が詐欺の被害に遭いやすい理由

高齢者が詐欺のターゲットになってしまうのには、理由があります。

どんな理由が考えられるのか、3つのケースをピックアップしてみましょう。

高齢者の抱える孤独感

高齢者…特に一人暮らしの方の場合は、孤独感を抱えていることが考えられます。

人と接することが少なく、コミュニケーションが不足していると、優しく話しかけられたり、親切に話を聞いてくれたりすることで心を許してしまう傾向があるのです。

オレオレ詐欺などはまさにこの孤独感に付け込んだ悪質な詐欺といえるでしょう。

おかしいと思っても相談できる相手がいないということも多く、だまされていることに気付けないということもあります。

判断力・理解力の低下

年齢を重ねると、判断力や理解力が低下してきます。

これは誰にでも起こり得ることで、声を聞き分ける・物事の状況を把握するという力が衰えてくるのです。

またITリテラシーの低さから、電話・メールなどのなりすましを見抜けないこともあります。

特に認知症を発症している方の場合は、被害に遭う傾向が大きくなるでしょう。

『自分だけは大丈夫』という思い込み

前項でご紹介した警察庁の調査では、被害に遭った高齢者のうち「自分は被害に遭わないと思っていた」「どちらかといえば遭わないと思っていた」と答えた人は95.2%にも上ることが報告されています。

毎日のように報道されるニュースなどを見ていても、「自分だけは大丈夫」「詐欺などに騙されるわけがない」と思い込んでいるケースがほとんどなのです。

息子の声を聞き分けられないはずがない…と思っていても、気が動転するような状況に追い込まれれば、信じて被害に遭ってしまう可能性は高くなります。

自分だけは大丈夫と思い込む危機感のなさも、高齢者がターゲットにされやすい理由の一つといえるでしょう。

高齢者を詐欺から守る!家族ができる4つのこと

同居していればおかしな電話や訪問などに家族が対応することもできますが、離れて暮らしている場合はそうもいきません。

家族が高齢者を詐欺から守るためにできることを4つご紹介します。

すぐに取り組めることばかりですので、対応を急いで行いましょう。

迷惑電話防止の機能がある電話に交換する

自宅に電話がある場合は、迷惑電話防止機能が搭載されている電話に交換してください。

自治体によっては無料で貸し出しをしてくれるところもあります。

迷惑電話防止機能の付いた電話は、受電する前にアナウンスが流れ、会話が録音されることが相手に通知されます。

電話での詐欺を行うケースでは、迷惑電話防止装置は大きな効果を発揮しますので、すぐにでも交換することがおすすめです。

また常に留守電にしておき、必要な電話だけ折り返すという習慣を身に付けておくことも大切。

携帯電話などの場合も同じ対応をするように家族で決めておくことも効果的です。

ATMの利用限度額を下げる

キャッシュカードで1日に引き出せる限度額を下げることも有効な方法です。

近年の詐欺被害の状況を受け、金融機関では独自の制限を設けているところも多くなっています。

万が一限度額以上の金額を引き出したい場合は、窓口で本人確認などを行えば対応は可能です。

20万円・50万円など設定金額を選べる金融機関もありますので、メインバンクだけではなくキャッシュカードや預金額のある金融機関には、家族が確認し限度額を下げる手続きを行いましょう。

家族と連携する

頻繁に家族と行き来ができない場合は、定期的に連絡を取ることが大切です。

  • 家族の声を聞かせることで不審な電話を見抜くことができる
  • 近況を伝え合い情報共有することでお互いの状況がわかる
  • 合言葉の設定を行うことで詐欺の被害に遭いにくくなる

時間があれば家に訪問をして不審なことがないか確認ができるのがベストです。

高齢者に孤独感を持たせてしまわないよう、家族と常に繋がっているという安心を与えてあげてください。

成年後見制度の活用

成年後見制度とは、知的障害・精神障害・認知症などによってひとりで決めることに不安や心配のある人が、いろいろな契約や手続をする際にお手伝いする制度です。

成年後見人等は、ご本人のためにどのような保護・支援が必要かなどの事情に応じて、家庭裁判所が選任することになります。ご本人の親族以外にも、法律・福祉の専門家その他の第三者や、福祉関係の公益法人その他の法人が選ばれる場合があります。

成年後見はやわかり|厚生労働省

成年後見制度を利用することで、一人暮らしの方や認知症などで不安を抱えている方が詐欺の被害に遭うことを最小限に抑えることができます。

成年後見制度には、

  • よくわからずにした契約の取り消し
  • 定期的な訪問や状況の確認
  • 保険料や税金の支払やお金の出し入れの お手伝い

なども含まれます。

家族がなることもできますが、離れて暮らしている場合などは地域で選任することもできるので、家族の代わりに生活の支援を行ってもらうことも検討してみましょう。

まとめ

高齢者の詐欺被害は非常に深刻です。

「自分は大丈夫」と思っていても、詐欺を行う側はどんどん手口を巧妙化させ、警察とはいたちごっこになっているともいわれています。

家族が離れて暮らしていても、高齢者を守る方法は複数あります。

自分たちのできることから少しずつでも対策することで、高齢者を詐欺の被害から守ることができるのです。

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