老後の生活の場として、様々な施設や老人ホームがたくさんあります。
そのなかで、『高級老人ホーム』と呼ばれるところがあり、富裕層に人気となっています。
では、その高級老人ホーム、他の施設と比べて何か違うのでしょうか?
また、費用や設備についても気になるところです。
今回は、高級老人ホームについて具体的にどのような施設なのかを解説していきます。
高級老人ホームの概要
高級老人ホームとは、介護保険制度上の名前ではなく、民間企業等が名付けている名称です。
一般的な老人ホームと比較すると、
食事
生活空間
設備
サービスなど
あらゆる面でレベルが高いです。
また「コンシェルジュ」を配置している高級老人ホームも多くあり、 ホテルの様に充実した空間の中で、自分らしい生活を楽しむことができます。
高級老人ホームの特徴
①立地環境が良い
高級老人ホームは、交通の利便性がよい都市部を中心に建てられていることが多いです。
主要駅から近く、周辺には生活に必要な商業施設が多いといった便利な環境を備えた施設もあります。
それらとは逆に、あえて都心から離れ、人込みを避ける人気のリゾート地に施設を展開するものもあります。
都心を離れて、のんびりと老後の生活を送りたい人にはこちらも魅力的だといえるでしょう。
入居を希望する人は、交通利便性を重視するのか、自然環境を重視するのか、それぞれの希望に合わせて施設を選ぶことができるのです。
②建物
高級老人ホームの大きな特徴の1つが建物や家具・インテリアに高級感があるということでしょう。
高級ホテルのような立派な外観や上品な内装のほか、調度品や家具なども豪華でハイセンスなものが使用されている場合が多いです。
また、室内はユニバーサルデザインになっており、部屋の間取りにも十分なスペースが確保されていたりと、安全面でも使い勝手がよい傾向があります。
③共有スペース
施設内の共用設備が充実していることも高級老人ホームならではの魅力といえます。
例えば・・・
・カラオケ
・フィットネスの専用ルーム
・プール
・ダンスホール
・シアタールーム
・図書館
・理美容室
などがあります。
一般的な老人ホームでは見られないような設備が充実しています。
④食事
食事面でも大きな特徴があります。
フレンチや寿司など、有名なホテルやレストランの監修による健康に配慮した多彩なメニューが楽しめたり、予約不要で複数のメニューやアラカルトから選択できる施設もあります。
また、イベントの際に提供される特別なメニューや高級店の出張サービスにも対応するなど、バリエーション豊富な食事が楽しめます。
⑤余暇活動
趣味の時間をより楽しめる環境が整った施設も多くあります。
ヨガやフィットネス、陶芸、英会話など、専門の講師を招いてカルチャースクールのように趣味を楽しめる施設もあります。
また、国内外の観光ツアーやクルーズ旅行、プロの音楽家を招いたイベントを定期的に開催するなど、余暇を充実させる魅力的なプログラムが用意されているところが多いです。
⑥医療体制
外部の医療機関と連携する、クリニックを内部に併設するなどして、毎日24時間の医療体制を整えています。
そこに在籍する医師をかかりつけ医としておくと、万が一の時でも安心です。
⑦介護体制
在籍するスタッフが、介護保険制度の元、介護をしてくれることはありません。
よって、介護が必要になれば、外部から事業所であり訪問介護や、デイサービなどを利用することになるでしょう。
もしくは、介護に特化した施設に移ることも選択肢の一つになってくるでしょう。
高級老人ホームの費用
高級老人ホームは、一般的な老人ホームと比べてサービスやサポート体制が充実していることから、入居一時金や月額利用料が高額です。
では高級老人ホームへの入居には、いったいいくらの費用が、どんなタイミングで必要になるのでしょうか?かかる費用の目安や支払方法についてご紹介します。
入居一時金
入居一時金とは、老人ホームに入居する際に必要になる前払い金のことです。一定期間の家賃を前払いします。
多くの老人ホームで、この入居一時金を支払う方式が採用されています。
ただし、入居一時金の額は施設によって異なり、数千万~1億円以上まで幅があります。
なお、入居一時金を採用している多くの老人ホームが、償却期間内に退去した場合に入居一時金の一部を返還する返還金制度を設けています。
初期償却の割合や償却期間によって、返還金に大きな差が生じるので、事前に内容を確認する必要があります。
月額利用料
月額利用料は、家賃や管理運営費・食費・光熱費など、老人ホームでの暮らしに毎月必要となる費用です。
また、介護サービスや医療サービスについての費用は、別途支払うことになります。
高級老人ホームの月額利用料は、一般的に20~50万円くらいが目安です。
これはあくまでも平均値であり、なかにはそれ以上かかる施設もあります。
気になるホームを見つけた場合は、その都度費用を確認するとよいでしょう。
支払いの方法
高級老人ホームでは、施設によって費用の支払い方法がいくつかありすます。
それぞれどのような特徴があるか、具体的にご紹介します。
入居一時金
全額を入居時に支払うケースと、一部を支払うケースがあります。
全額を支払う場合、賃料を最初に支払うため、毎月の支払い額が抑えられるというメリットがあります。
ただし、初期費用の負担が大きいので資金が潤沢にある人でないと難しいでしょう。
一部を支払う場合、月払いよりも月額利用料が抑えられるというメリットがあります。
その反面、全額払いほどではありませんが初期費用の負担は出てきますので、資金に余裕のある人に向いています。
月々の支払
入居の際に入居一時金を支払わずに、月ごとに賃料や必要な経費を支払う方法です。
前払い金がかからないため、初期費用を抑えられるというメリットがあります。
一方で、月額利用料としてかかる費用は、入居一時金を支払うよりも多くなります。
高級老人ホームの入居条件
健康状態
高級老人ホームでは、入居受け入れ可能な健康状態の基準が施設ごとに設定されています。
例えば、入居条件を自立して生活できる人に限っている施設もあれば、軽度の介護状態であれば受け入れる施設もあります。
要支援、要介護、認知症、医療行為の受け入れができるかどうかは、施設によって違います。
また、入居時には基準にかなう健康状態であったとしても、入居後に健康状態が変化することがあるので、それを視野に入れて検討する必要があります。
介護が必要になってしまうと、介護居室に移動になる場合があるため、入居を決める前に、介護が必要になった場合の対応についても施設に確認しておくことをおすすめします。
身元保証
高級老人ホームに限りませんが、ほとんどの老人ホームでは、入居の際に身元引受人や保証人が必要です。
一般的には、身元引受人や保証人は入居希望者の家族が任されることになります。
もし、家族や親族がいない場合には、民間の保証会社や成年後見制度の利用が可能な施設もあります。
支払い能力
高級老人ホームの入居では、入居者の支払い能力の有無も条件の対象となります。
そのため、入居希望者の収入や資産の状態を事前審査として確認されることがあります。
ただし、入居の審査基準については、施設によって異なるため、1つの施設で入居を断られたからといって別の施設への入居もできないとは限りません。
高級老人ホームを申し込むときは、複数のホームを検討してもよいかもしれません。
まとめ
制度上『高級老人ホーム』というものはなく、民間企業などが運営する「有料老人ホーム」や「サービス付き高齢者向け住宅」に分類される施設です。
一般的な有料老人ホームでも十分豊かな暮らしを送れますが、ワンランク上の高級老人ホームなら、さらに充実したサービスを利用でき、より豊かな生活を送れることができるでしょう。
その分、費用も高額になるので、契約の前に十分説明を聞いて、納得しておくことが必要となります。