在宅介護はとても大きな労力を要します。
病院や施設とは違い、介護用品・タオルなどの備品が潤沢にあるわけでもありません。
ケアを行うときに少しでも介護を受ける方が安楽で、介護をする方の負担を減らせることが重要だと言えます。
そこでこの記事では、在宅介護のケアに役立つグッズを各シーンに分けてご紹介します。
100均で購入できる物・家にある物で十分ですので、ぜひ参考にしてください。
1・衛生・入浴編
在宅介護のケアの中でも最も労力を要するのが衛生・入浴です。
デイサービスなどの施設を利用されている方は入浴のサービスを受けているケースもありますが、在宅でケアをしなければいけないこともあります。
3つの便利グッズをご紹介しますので、活用できる物があればぜひ利用してみてください。
蒸しタオル
蒸しタオルは足湯替わりに利用することができます。
ベッドに座れる方は端座位(ベッドの端に座り両足を床に付ける姿勢)、寝たきりの方の場合はベッドに寝たままの状態でも可能です。
- 蒸しタオルで両足を包み大きめのビニール袋を被せる
- ゴム紐で足首の部分を締める
これだけで足湯の完成です。
特に冷え性の方や、冬の寒い時期などには大変喜ばれます。
蒸しタオルの温度と、ゴムの強さには注意してください。
水のいらないシャンプー
水のいらないシャンプーは、ドラッグストアで購入することができます。
洗髪は介護をする方にとってもされる方にとっても、負担になることが多いケアの1つ。
汗をかく夏場の暑い時期やかゆみがあるときなどに、すぐ対応できるとお互いに気持ちが良いものです。
水のいらないシャンプーは、髪に直接スプレーし、タオルでふき取るだけでOK。
短い時間で労力もかからずケアを提供できる優れものです。
ペットボトル
ペットボトルは在宅介護の必需品といっても過言ではありません。
ペットボトルの蓋に穴を開けて使用すれば、簡易シャワーの出来上がりです。
おむつ交換の際の洗浄や簡単な清拭には、ペットボトルが大活躍します。
100均にはペットボトルに取り付ける様々なキャップが販売されているので、用途に合ったキャップを付ければ更に利便性は向上します。
おむつを下に敷くことで片付けにも手間がかかりません。
2・食事編
毎日3回の食事は介護者にとって欠かせないケアの1つです。
介護される方の体調や状況によって、大きな負担になることも否めません。
毎日のことだからこそ、できるだけ負担を減らし、ケアに専念したいものです。
そんなときに役立つ便利グッズをご紹介しますので、ぜひ試してみてください。
古布
使い古したタオル・Tシャツ・下着などの古布は、食事のケアの際にとても役立ちます。
吸水性に優れていること、肌触りが柔らかいこと・濡れていても利用できることがメリットです。
小さく切った古布を何枚か用意し、乾いているものと濡らしたものを用意します。
ご自分でお食事を召し上がれる方の場合、乾いた古布は襟にかけることで汚れを防ぐことができますし、口の周りの汚れや手の汚れなどは、濡らした古布で簡単にふき取ることができます。
汚れた古布はそのまま捨ててしまうことができるので、洗う手間もありません。
ケアに合った大きさに切るだけなので、準備するのも簡単です。
スポンジ
ご自分でお食事を召し上がる方のケアにおすすめなのが、台所で利用するスポンジです。
拘縮が見られたり、握力が弱まってきたりしている場合には、スプーンやフォークの柄にスポンジを巻いてみましょう。
できれば厚みがなく、ざらざらしたたわしの部分がないものがおすすめ。
ずれないように輪ゴムなどで固定するだけで、格段に握りやすくなります。
紙コップ
介護者にとって最も注意しなければいけないのが、水分補給の際の誤嚥です。
とろみのついていない水分の場合は特にむせやすいので、介護用のコップなども販売されています。
介護用のコップの代替品として利用できるのが、紙コップです。
ご自身で水分補給をできる方の場合、コップを持って上を向きますが、この姿勢は気道確保がされてしまうので誤嚥が起きやすいと言われています。
その際、紙コップの飲み口の反対側を鼻に合わせて切り込みを入れることで、大きく上を向かなくても水分補給をすることができるのです。
100均には紙コップが豊富に取り揃えられています。
材質や大きさを選ぶことができるので、状況に合った紙コップを利用してみてください。
3・生活編
日々の生活の中でも、ちょっとした便利グッズを利用することで、ケアを格段に楽にすることができます。
準備で少々手間がかかるものもありますが、低コストでできるものばかりです。
筆者が実際に両親の介護で使用し、便利だったものを3つピックアップしますので、ぜひ試してみてください。
お薬カレンダー
飲み忘れや飲み間違いを防ぐことができるのが、お薬カレンダーです。
在宅介護を受けている方は、お薬を服用されている方が非常に多いです。
朝・昼・晩と服用する種類が異なったり、薬ごとに量が異なったりすることがほとんどといえるでしょう。
お薬カレンダーは日付と曜日が記載され、個別に薬を保管できるポケット式になっているのが特徴です。
近年では薬局でお薬をもらうときに、予め小袋に服用する薬を小分けにしてくれるサービスがあり、薬局によっては、お薬カレンダーを無償で提供してくれるところもあります。
小分けにされた薬をお薬カレンダーで保管することで、可視化できるのがメリットといえるでしょう。
使い捨て手袋
コロナ禍でも注目された使い捨て手袋は、介護のケアでも非常に使い勝手の良いアイテムです。
100均では100枚100円という驚きのコスパで販売されています。
サイズも選べるので、自分に合った使い捨て手袋を選べるのも嬉しいポイントです。
衛生面を考えたときに「素手ではちょっと…」と思うケアはたくさんあります。
そんなときに使えるのが使い捨て手袋といえるでしょう。
使い捨て手袋のメリットは、肌の感触がわかることです。
軍手などでは厚みがあるため、介護をされる方に痛みがあったり、介護者が感触を掴めなかったりします。
使った後はそのまま捨てることができるので、洗う手間も省けるのも大きなメリットです。
S字フック
S字フックも在宅介護には欠かせない便利グッズです。
ベッド柵などに2~3個かけておくだけで、さまざまな用途に利用することができます。
筆者の場合は、お薬カレンダー・ゴミ袋・介護に必要なグッズを足元のベッド柵にまとめてかけていました。
急にケアが必要になったときなど、ベッド周りに必需品を準備してあるだけでスムーズに行うことができるのです。
S字フックは接着の必要もなく、どこにでもかけておくことができるのがメリット。
100均では色や大きさが豊富に取り揃えられているので、好みに合った物を購入することができます。
4・まとめ
在宅介護は、介護者の方の状況に応じてさまざまな物品が必要になります。
費用もかなりかかるので、筆者は低コストで代用できるものがあれば、どんどん取り入れて試してみました。
介護者が楽なだけではなく、介護を受ける方が安楽であることを最優先に考えることが第一です。
ちょっとした工夫でお互いに心地よい介護ができるように、便利グッズは欠かせないものであるといえるでしょう。