一般的に加齢と伴に、身体面での様々な低下が起こります。
例えば・・・ 歩けなくなると『車椅子』という道具を使用して補います。また、新聞などが読めなくなると『老眼鏡』を使用して補います。 では、耳が遠くなると、『補聴器』などを使って不便さを補うことになります。
耳が遠くなると、コミュケーションに支障が出るばかりか、生活の質(QOL)の低下に繋がることになり、本人にとって面白くない生活を送ることになってしまいます。
補聴器を装着すれば、確かに良く聞こえるようになりますが、決して安価なものではありませんので、慎重に選んで後悔のないようにしなければなりません。
今回は、補聴器についてのある程度ご理解頂ける記事にしております。
そもそも補聴器とは何か
補聴器は、通常の大きさの声で話される会話が聞き取りにくくなったときに、はっきりと聞くための管理医療機器なのです。
遠く離れた音や、特別に小さな声を聞こえるようにするものではありません。
どの程度の聴力になったら補聴器を使えばよいかは、その人の生活によって違います。
自分で、「日常の会話で聞き取りにくくなったなぁ・・・」と感じることが多くなったり、あるいは重要な会話が正しく聞けないと感じたら補聴器の使用を検討する時期かもしれません。
補聴器の必要性を感じたら
自分自身や家族の判断で補聴器が必要なのか、効果があるかを正しく決めることはできないのです。
聴覚検査の結果と日常の音の環境とそれぞれの人にとって重要な会話の関係から総合的に判断することが必要となります。
聴力障害と補聴器の両方を熟知した日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定の補聴器相談医の診察を受けるようにして、しっかりと本人に適合したものをつくらないといけません。
補聴器と集音器の違い
新聞広告や通販で売っている商品の多くは、『集音器』に該当します。
補聴器と集音器の大きな違いは・・・
■補聴器は医療機器や補装具
■集音器は音響機器
なのです。
具体的な違いについては、補聴器は、聴力に合わせて補正し、聞き取りやすくするのですが、その一方で集音器は、入ってくる音をそのまま大きくするのです。
補聴器の特徴
補聴器は人の声と雑音を区別してくれて、尚且つ、その補聴器についている機能(雑音抑制や指向性など)を使うことにより、会話が快適に聞こえるようになります。
そして、聴力に変化があれば、その聴力に合わせた調整ができます。
集音器の特徴
集音器は、本体についているボリュームコントロールで、音の大きさを調節します。ボリュームコントロールで音を大きくしたら、聞き取りやすくなったと感じると思いますが、元々聞こえていた音は、強大な音になってしまいます。
また、全体的に音が大きくなるので、雑音が気になってしまい会話の内容がわかりづらくなる場合があります。
眼鏡で例えるならば、補聴器が自分の目の状態に合わせた遠近両用眼鏡。集音器は、既製老眼鏡といったところでしょうか。
補聴器と集音器、両方とも聞こえを補助する器械ですが、自分の聴力に合わせるか合わせないか・・・これが最大の違いだと思います。
補聴器・集音器の価格について
先にも述べましたが、補聴器はより聞きとりやすくするための機能や快適に使うための機能など、多くの機能があります。
同じ形状の補聴器でも、搭載されている機能が多いほど価格が高くなります。
また、聴力に合わせる調整の細かさも聞こえに影響し、細かく調整できる補聴器ほど価格が高くなります。
今回、価格の参考にさせて頂くのは、『リオネット補聴器』様です。
【商品概要】品番:HI-C7DA
リオネット初のAI搭載モデルとなった商品です。
デジタル機能向上で暮らしと、私に溶け込む。クリアで最適な「聞こえ」を追求されています。
電池交換が不要な充電式で、夜まで快適な聞こえが続きます。
リオネットホームページからの希望小売価格(※執筆時点)は、
両耳:852,000円
片耳:560,000円
実際の購入価格はこれよりも安価になると思いますが、決して安い買い物ではないことがお分かり頂けるでしょう。
※こちらのブログでは、当補聴器やメーカーの利用を一方的に推奨するものでは、ありません。個人に合わせた補聴器選びを行って下さい。
では、集音器の金額はいくらぐらいかが気になると思います。
こちらは、Amazonからの集音器になります。
価格は4,599円と、やっぱり補聴器に比べると随分安価です。
(※執筆時点)
他にも商品を調べてみたのですが、高くても15,000円もあれば購入できそうでした。
補聴器の種類は主に5つ
①耳穴型
耳穴に収まるタイプの補聴器です。
メーカーによってフィット感は違いますが、タイプによって耳に隠れるデザインもあるため、メガネやマスクを耳にかけても、補聴器が邪魔にならないのがメリットです。
よりベストなフィット感にしたい場合は、オーダーメイドによる注文も可能なので、既製品で合わないものがあれば補聴器専門店で調整するといいでしょう。
②耳掛け型
耳の上に引っ掛けるタイプの補聴器です。
目立ちやすいデザインですが、機器によっておしゃれなデザインのものがあるので、アクセサリー感覚で装着できるものもあります。
③ポケット型
小型の本体にイヤホンを繋いで聞くタイプの補聴器です。
小型ラジオのような機器を携帯しなければなりませんが、スイッチが大きく操作が簡単なので、補聴器初心者の方でもすぐに使いこなせるようになります。
④メガネ一体型
メガネのツルに補聴器が備わったタイプの補聴器です。
メガネと一体型になっているため、メガネと補聴器を別々に付けたくない方におすすめのアイテムです。
⑤骨伝導型
骨伝導の仕組みを利用した補聴器です。
周囲の音を振動として頭蓋骨や骨を介して聴覚に届けるため、重度の聴覚障害でもしっかり音が聞き取れます。
特に外耳道閉鎖症や耳硬化症などの耳の障害を抱えている方におすすめです。
骨伝導とは
耳の穴や鼓膜を使わず、耳周辺の骨を振動させて、その振動が蝸牛へと届く仕組みです。
私たちは鼓膜ではなく、蝸牛で音を聞いています。
人が音を聞くとき、鼓膜を使っても骨伝導であっても、蝸牛に適切な振動が届けば、音は聞こえます。
購入後も調整を
一度購入したからといって、それがずっとそのまま使用できるわけではありません。
補聴器は『調整』が必要なのです。
補聴器の調整とは
補聴器の『調整』とは、個人に合わせて聞こえやすいように、補聴器を調整していく作業のことをいいます。
難聴の種類や聴力のレベルによって、装着する補聴器を勘案し、個々の使用環境に合わせて、理想の聞こえを追求するために、カウンセリングをしながら、聴こえの調整をするのです。
3つの調整
補聴器の調整は大きく3つあります。
①利得調整
難聴の聞こえは進行すればするほど、小さい音が聞き取れなくなります。
この小さい音を聞き取ることができるように、音を大きくするために調整が必要になるのです。
②最大出力制限
音を大きくすると、今まで聞こえていなかった雑音がうるさく感じたり、音が響いたりして、かえって聞き取りが悪くなることがあります。
また、その人が不快に感じる音の大きさよりも大きい音が補聴器から出力されると、とても不快に感じます。
そこで、必要以上に大きい音が出ないようにする調整が必要になるのです。
③音質調整
コミュニケーションを取るうえで、言葉の聞き取りは一番重要と言われています。
補聴器を使用される方の言葉の聞き取りが良くなるように音のバランスを揃える調整が必要になるのです。