病気・症状

酷暑の置き土産・注意したい暑さ負債の症状と対策

暑さ負債(あつさふさい)という言葉をご存知でしょうか?

2023年の日本列島は、猛暑どころか酷暑に見舞われていて、各地で『観測史上初』の高い気温をたたき出しています。

本来夏は暑いものですが、体温越えの気温となると、身体もなかなか慣れないもの…熱中症などのトラブルを引き起こす可能性があるばかりではなく、さらに深刻なダメージを受けることもあるのです。

この記事では、暑さ負債といわれる症状についてくわしくご紹介します。

『夏の疲れが残っている』『何となく体調が良くない』という方、それは暑さ負債からくる症状かもしれませんよ?

暑さ負債とは?

暑さ負債(あつさふさい)…負債とは、本来企業の会計用語で『借入金や買掛金などの返済しなければいけないマイナスの財産』という意味です。

暑さ負債とは、猛暑・酷暑が続いた状態で体力が消耗し、疲労が蓄積した状態のことを言います。

暑さ負債に関する基礎的な情報をご紹介しましょう。

非労作性熱中症と労作性熱中症

この夏に何度も耳にした『熱中症』というワード。

厳密に言うと熱中症には2つの種類があります。

  • 非労作性熱中症:暑さによる疲労・不眠による体調不良・慢性的な脱水状態が蓄積して屋内作業・通常の家事・就寝中などの日常生活で発症する
  • 労作性熱中症:暑い時間帯に激しい運動や労働作業を行うことで起こる急激な脱水から意識低下や臓器不全を発症する

一般的に熱中症と認識されているのは、労作性熱中症ということになります。

暑さ負債とは、非労作性熱中症の原因

これまでの暑さで体内に溜まった疲労が爆発して、涼しい部屋で過ごしていたとしても熱中症を引き起こす恐ろしい状態のことです。

熱中症を引き起こすだけではなく、後遺症が残るような深刻な病状に陥ることもあります。

免疫力の低下で悪影響が

暑さ負債の恐ろしいところは、本来持っている免疫力が低下することです。

免疫力が低下することで影響があるのは、食中毒やコロナウイルスなどの発症や感染。

新型コロナウイルスが5類へ移行したとはいえ、免疫力が低下した状態で感染してしまえば、重症化するおそれがあり、特に高齢の方は注意が必要です。

また入院加療が必要なほどの熱中症を発症してしまった場合、長く寝たきりの状態になることで認知機能の低下や脳血管系・循環器系の疾患を誘発する可能性があります。

異常な暑さが身体に及ぼす影響は深刻だということを理解し、まずは暑さ負債を溜めないことが大切です。

あなたはいくつあてはまる?こんな症状が出たら注意

この夏は連日熱中症に関するニュースが報道されていました。

『部屋の中にいるから大丈夫』『寝ているから心配ない』と考えていても、暑さ負債を抱えた体では急に熱中症を発症して悪化することも考えられます。

普段とは違う…こんな症状が出たら、暑さ負債が溜まっているのかもしれませんので、チェックしてみてください。

頭痛

普段とは違う頭痛…熱中症の中等症の症状には、熱中症頭痛と呼ばれる頭痛があります。

脳・消化管・肝臓への血流低下や、重要臓器自体の温度上昇により、頭痛や倦怠感といった症状が出るので、注意が必要です。

食欲不振

熱中症を引き起こす脱水症状が発症すると、全身に血液が行き届かなくなり、臓器の機能が低下して食欲不振を起こす可能性があります。

いつもより食欲がない・固形物を食べる気がしないなどの症状も食欲不振に含まれるので、食事の量が極端に減った場合などは、熱中症の初期症状を疑いましょう。

めまい・立ちくらみ

めまいや立ちくらみは、熱中症の初期症状です。

暑さによって体内に熱がこもり、脳への血流が減ること・脳の温度が上昇することで引き起こされます。

一時的に意識を失う熱失神を発症する可能性もあるため、軽く見てはいけません。

吐き気・嘔吐

急な吐き気や嘔吐は、中等症の熱中症の症状です。

頭痛やめまいなどが同時に起こることもあり、一時的な意識障害を引き起こすこともあります。

暑い中での活動で吐き気や嘔吐があった場合は、速やかに対応が必要です。

手足のしびれ・けいれん

手足のしびれやけいれんが起きた場合は、熱けいれんの発症が考えられます。

筋肉が固くなったり痛みを伴ったりすることもあり、部分的に起きることが特徴です。

熱けいれんは熱中症の初期症状のため、高体温になっていないこともあります。

暑さ負債を返済する方法はある?

自分では意識していなくても、暑さ負債によって身体が深刻なダメージを受けることもあります。

非労作性熱中症を引き起こすまえに対処できる方法をご紹介しますので、ぜひ心がけるようにしてください。

生活リズムを整える

暑さ負債を解消するために重要なのは、生活リズムを整えることです。

『早寝・早起き・朝ごはん』というスローガンのように、規則正しい生活を行いましょう。

  • 涼しい時間帯にできることは早めに済ませておく
  • 食事は少量でも3食必ず食べる
  • 夜更かしをしない

ちょっと心がけることですぐに改善できることばかりです。

暑さで身体がまいっていると感じている人は、生活リズムを見直してみてください。

十分な睡眠をとる

睡眠不足は熱中症を引き起こす原因ともいわれています。

  • 暑くて眠れない
  • 夜中に目が覚めてしまう
  • 朝起きても疲れが残っている

などという場合は、睡眠をしっかりととる工夫をしなければいけません。

寝る前に腹式呼吸をして、自律神経を整えるのが有効です。

クーラーを適切に使用するなど、暑くてもゆっくりと眠れる環境づくりを行いましょう。

汗をかく習慣をつける

暑いからと言ってクーラーの効いた部屋にずっといる…というのは、かえって身体の不調を引き起こします。

一番暑い時間は避けて、比較的涼しい時間帯に身体を動かして汗をかく習慣をつけましょう。

汗を上手にかけないと、暑さが身体にこもってしまい熱中症を引き起こしてしまいます。

水分補給をしながら、汗ばむくらいの運動を日課にすることがおすすめです。

水分補給を十分に行う

水分補給を十分に行うことは熱中症予防の重要なポイントです。

喉が渇いた…と感じる前に、少しずつ水分を摂ることがコツ。

コーヒーや緑茶などカフェインを含む飲み物は利尿作用があるので、できるだけノンカフェインの飲み物を飲むようにしましょう。

また食事から摂取できる水分も非常に大切です。

水分補給だけではなく、食事をしっかりと摂ることも心がけてください。

食べ物にも工夫を

暑さ負債を返済するのに効果的な食べ物は、血行を促進する効果がある食べ物です。

  • 生姜(しょうが)
  • 唐辛子
  • アーモンド(ビタミンEを多く含むもの)

などがおすすめ。

また自律神経を整える働きのある発酵食品や根菜類なども有効です。

一度に摂取するのではなく、毎日の食事に少しずつ取り入れてみるようにしましょう。

まとめ

暑さ負債は、自分で気が付かないうちに身体にダメージを与えています。

『いつもと違う』という異変を感じたら、我慢せずに医療機関を受診することもポイントです。

猛暑どころか酷暑だった2023年、これからもまだまだ暑い日は続きますが、できることから少しずつ身体を労わってあげるように心がけましょう。

~参考~

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