世界規模の異常気象が毎日のようにニュースで報道されています。
ゲリラ雷雨・線状降水帯・地震による津波…日本のどこかで警報が発令されている状況を目にすることが増えました。
今までは災害に縁のなかった土地でも『数十年に一度の~』と形容されるような災害に見舞われることがあります。
在宅介護をされている方にとっては、自然災害による避難指示が出されてもすぐに対応できないということが考えられます。
そこでこの記事では、在宅介護をされている方向けに、もしもの時に備えておきたい防災グッズをご紹介します。
備えあれば憂いなし…できる範囲で災害に備えることを考えてみてください。
思いがけない災害・考えられる弊害は?
災害は目に見える被害だけではなく、思わぬ弊害を生むことが考えられます。
在宅介護をされている方にとってどんな弊害が生まれる可能性があるのか、5つの深刻なケースをご紹介しましょう。
避難ができない
自然災害が発生して避難の指示が出ても、介護を必要とする人の避難は難しいものになります。
車椅子の利用者や寝たきりの人々にとって、避難施設や適切な介護が提供されない場合、安全な避難は非常に困難です。
電力や通信の寸断
自然災害による電力や通信の寸断は、在宅介護を受けている人にとって非常に重大なトラブルです。
特に要介護者が電力を必要とする医療機器や通信システムを使用している場合、電気が寸断してしまうことは生命の危険を引き起こす可能性があります。
食糧・医薬品の不足
自然災害の影響としては、食料や医薬品の供給が不足することが考えられます。
在宅介護を受けている人が特別な食事療法や薬物療法を必要とする場合、その供給が不足したり途絶えたりすることで、健康上のリスクが高まってしまうでしょう。
心理的ストレス
自然災害による避難や緊急事態は、要介護者とその家族に多大な精神的ストレスをもたらすことがあります。
不安・恐怖・孤独感などが増加し、メンタルヘルスの問題を引き起こす可能性があることも考えなければいけません。
住環境の損傷
自然災害による洪水・地震・風水害などは、在宅介護を受けている人の住環境を損傷させることがあります。
バリアフリーの設備などが破壊され、安全な住環境が失われる可能性もあるでしょう。
在宅介護をしている方が備えておきたい防災グッズ
在宅介護を受けている人は、備えておきたい防災グッズも個々に合わせる必要があります。
実際にどんなものを備えておくべきなのか、リストアップしてご紹介しましょう。
非常食と飲料水
非常食品として長期保存が可能な非常時の食料は、多めに用意しておきましょう。
介護食を必要とされている場合は、レトルトパウチなどで保存ができるタイプのものを用意しておくことが大切です。
また在宅介護の場合は、飲料水はもちろん、水の備蓄は重要です。
ペットボトル入りの水などを多めに常備しておくと良いでしょう。
医薬品と医療用具
在宅介護の方がいるご家庭では、必要な医薬品・医療用具などの予備を準備しておかなくてはいけません。
避難時にすぐに持ち出せるように管理をしておきましょう。
服薬スケジュール・処方箋のコピー・必要な医療用具(包帯、絆創膏、血圧計)など、健康状態に応じた医療用具も準備しておくと安心です。
電力が確保できるもの
医療機器の使用などで電力を必要としている場合は、電力が確保できるものを多めに用意しておきましょう。
- 携帯用充電器:スマートフォンや医療機器の充電が可能な携帯用バッテリー充電器
- 電池式のラジオ:情報収集のための手動充電式ラジオ
携帯用の充電器は、他の電気機器の充電や電力供給に非常に役立ちます。
比較的リーズナブルな金額で入手できるので、複数用意しておくことがおすすめです。
防寒具
寒暖差のある季節や寒い時期の災害に備えて、防寒対策のできるグッズも準備しておくと良いでしょう。
電力が使えない可能性があるので、保温性の高い下着・毛布・暖房ブランケット・防寒服・帽子・手袋・マフラーなどがおすすめ!
特に寝たきりの人の場合は、着脱がしやすい暖かいパジャマなどを用意しておくと安心です。
重要文書・連絡先
介護に関する重要文書や関係各所の連絡先は、持ち出せるようにまとめておくことをおすすめします。
身分証明書・保険証・医療記録などのコピーを防水袋に収納し、かかりつけの病院・ケアマネージャー・地域の福祉課など、日頃連絡を取っている関係各所の連絡先も一緒に控えておきましょう。
万が一被災してしまった場合はどうすれば良いのか、日頃から情報収集を行い、ケアマネージャーに相談しておくことも大切です。
在宅介護で注意したい防災対策とは?
在宅介護を受けている家族がいるご家庭では、通常の防災対策に加えて入念な準備が必要になります。
実際に行うべき防災対策をご紹介しましょう。
避難経路を確認する
要介護者を安全に避難させる避難場所までの経路を確認する必要があります。
特に車椅子を利用している方・歩行に不安がある方の場合は、事前に安全な経路や搬送の可否について調べておくと良いでしょう。
地域で指定された避難所が、要介護者のADLに適しているとは限りません。
万が一のことを考えて、日頃から準備をしておくことがポイントです。
家具の倒壊などを防ぐ
寝たきりの方の介護を行っている場合は、他の部屋よりも入念に要介護者の部屋の家具の倒壊防止対策をしなければいけません。
在宅介護で必要な備品などが多くある場合、タンスなどがベッドの周りに置いてあるということも少なくないでしょう。
実際にベッドに寝た状態で、倒れてくる家具や電化製品などがないかどうかを確認することをおすすめします。
福祉避難所の利用を検討する
福祉避難所とは、一般の避難所で生活をすることが困難な人が避難できる避難所のことで、配慮が必要な人たちが安心して避難し、生活ができる環境を整えた避難所を指します。
高齢者・障がいのある人・妊産婦・乳幼児・傷病者など、特別な配慮が必要な人を要配慮者と定義づけ、公共施設以外にも協定を結んだ特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・障害者支援施設などを福祉避難所として利用することが可能です。
福祉避難所は、障害者用トイレ・スロープ・手すり・文字放送対応テレビ・筆談用具・車いす・歩行器・杖・補聴器・ストーマ装具・酸素ボンベなどの設備・環境が整っています。
自分の住んでいる自治体で福祉避難所の設置はどのようになっているのか、必ず確認をしておきましょう。
停電対策ができればBEST
医療機器を常時使用されている方のいるご家庭では、停電の対策ができるとBESTです。
携帯用のバッテリーやポータブル電源、蓄電池など電気を確保できる方法を考えておきましょう。
避難所へ避難ができなかった場合は、2~3日自宅で過ごさなければいけない事態も…。
医療機器を使用できなくなることは命に関わりますので、最優先で対策をとることが求められます。
まとめ
自然災害はいつどこで起きてもおかしくありません。
近年の異常気象や地震の頻発などを考えると、在宅介護を行っている方は十分な防災対策が求められます。
医薬品・医療用具を常時使用されている方の場合は、すぐに持ち出せる場所に必要なものをまとめておきましょう。
通常のご家庭よりも必要な防災グッズが多くなりますので、日頃から準備をしておくことが最大のポイントです。