『低血糖』という言葉は医療的な用語ですが、一般的にもよく耳にする言葉だと思います。
糖尿病から低血糖を連想する人も多いと思います。
しかし実は糖尿病だけが低血糖を引き起こすとは限らないのです。
今回の記事は、低血糖について解説し、どのようなときに低血糖状態になるのかを解説していきいます。
高齢者も低血糖状態になることがありますので、是非参考にして頂ければと思います。
そもそも低血糖とは何か
低血糖とは、血液中のブドウ糖(グルコース)が少なくなりすぎる状態のことをいいます。
一般的には血糖値が70mg/dL未満になった場合のことを指し、以下のような症状が出た場合、低血糖の可能性が考えられます。
ブドウ糖とは何か
ブドウ糖は、自然界に最も多く存在する糖です。
ぶどうなどの果実やはちみつに多く含まれる単糖類(ブドウ糖、果糖、ガラクトース)の1つであり、血液中にも、血糖(ブドウ糖)として0.1g程度が含まれます。
また、ブドウ糖は私たちが食べたご飯やパンからも作られます。
食事として摂取した炭水化物は、体内の消化酵素によって細かく分解・消化されて最終的にブドウ糖となり、腸で吸収され様々な生理活動に利用されています。
ブドウ糖が不足すると
低血糖にはブドウ糖が深く関わることが分かりました。
ブドウ糖が不足すると、脳はエネルギーを作ることがません。
そのため、思考能力が低下してしまい、集中力が欠け、やる気も出ず、イライラするなど仕事や勉強がはかどらないという状態になります。
ダイエット等で炭水化物抜きの食事ばかり摂っていると、脳はエネルギー不足になり頭がボーっとしてしまいます。
以下は、ブドウ糖が不足して低血糖状態になった時の症状です。
■異常な空腹感
■体がだるい
■動悸
■冷や汗が止まらない
■めまいや悪心がある
■ふるえがある
■不安になる
■眠気や強い脱力感がある
■目がかすむ
■集中力が低下する
■意識がもうろうとする
酷くなるとこれらに加えて、痙攣や昏睡状態になることもあります。
【低血糖になる要因①】アルコール
アルコールは肝臓の働きを抑える働きがあります。
そして、血糖値が下がってきても肝臓から『ブドウ糖』が放出されず、『低血糖』になりやすするのです。
そして低血糖からの回復も遅らせてしまうのです。
さらに、アルコールによって肝臓の働きが抑えられると、血糖降下薬の成分が体内に滞りがちになるという影響もあります。
これらに加えてアルコールに酔っていると、ふだんは低血糖症状にすぐに気付く人でも気付きにくなり、発見が遅れてしまいます。
この状態が継続してしまうと、意識を失っているとしても周囲の人は酩酊しているのだと勘違いして、対処が遅れる原因になります。
【低血糖になる要因②】重症の疾患
例えば・・・
■肝不全
肝臓の機能が大幅に低下した状態です。
肝臓に損傷が起きる病気や物質により発症します。
■腎不全
腎臓が体内の老廃物や、余分な水分を尿として体外へ出す機能を十分に果たせなくなる疾患です。
■心不全
心臓のポンプ機能が低下して、十分な量の血液を全身に送り出せなくなる疾患です。
■敗血症
血液中に病原体が入り込むことで引き起こされる、重篤な全身感染症です。
細菌などの病原微生物に感染し、体がその微生物に対抗することで起こるさまざまな状態を指します。
これらの病気が重症化すると、糖分が体内で上手に作れなくなったり、消費が増えてしまうことにより低血糖になりやすいとされています。
【低血糖になる要因③】栄養失調
低栄養状態には意識して行うダイエットと、食べたいけど食べることができない理由で起こしてしまうケースがあります。
多くの若い女性が、『痩せたい!』という願望やダイエット指向があるようです。
偏った食生活を続けたり、極端なダイエットを繰り返していと、健康問題のリスクを高めるとともに、低血糖を引き起こす可能性を高めてしまいます。
このように無理なダイエットによって痩せてしまうと、エネルギー不足から低血糖状態に陥ることがあるのです。
それでは、高齢者の場合はどうでしょうか?
やはり、低栄養になる方は少なくはありません。
その理由として・・・
■料理を作るのが面倒くさい
■そもそも食欲がない
■食欲はあるが作ってくれる人がいない
■歯がなく噛み砕けない(歯科的治療の欠如)
■食べる機能や能力がない
などがあります。
低栄養状態かどうかは、体重と身長から割り出す、BMIが一つの基準になります。
施設や病院に入院・入所した際にはBMIを参考に食事が提供されることになり、低血糖の予防にも繋がっています。
【低血糖になる要因④】コルチゾール不足
コルチゾールとは血糖値を安定させるという役割があります。
副腎が疲労(副腎疲労)の状態になってしまうと、副腎からのコルチゾールの分泌が低くなるために、血糖値を安定化することができなくなってしまいます。
そのため、低血糖になるのです。
副腎疲労について
副腎とは
ホルモンという物質を産生する「内分泌腺」の一種です。
ホルモンとは、微少でも体内でとても大切な働きをする物質のことですが、腎臓とはまったく別の働きをしています。
先にも述べましたが、副腎の働きは・・・
■コルチゾール
■アルドステロン
■アドレナリン
など生命維持に必要不可欠なさまざまなホルモンを分泌することです。
副腎ホルモンの中でも最も重要なものは、副腎皮質から分泌される『コルチゾール』であり、副腎疲労はコルチゾールの分泌が低下した状態のことを指すのです。
副腎疲労の改善方法
『21世紀のストレスシンドローム』この言葉を耳にしたことはありますか?
これは、副腎疲労の原因をイメージしたものです。
100年間ほどで、私たちをとり巻く環境は劇的に変化し、自覚がある、無自覚にかかわらず、私たちは慢性的なストレスにさらされています。
それが、副腎という地味ですが重要な臓器に、負担を強いているのです。
よって、副腎に負担を掛けないようにするには、ストレスを解消できるように働きかけてあげることが大切なのです。
精神的なストレスだけを意識するのではなく・・・
■食物アレルギー
■花粉症
■感染症
■有害物質による汚染
■不規則な生活
■時差などの身体的なストレス
これらも副腎疲労に関係しているのです。
【低血糖になる要因⑤】胃の切除
本来、胃は、食物と胃液を混ぜて粥状にし、食物を貯めて、徐々に小腸に送り出す働きをしています。
しかし、なんからの疾患により、胃を切除した場合には、摂取した食物が急速に小腸に流入するために低血糖が起こります。
この低血糖は・・・
■食事中や直後の30分程度にみられる早期タイプ
■食後2~3時間たってみられる後期(晩期)タイプ
に分けられます。
胃を切除した場合に留意すること
低血糖にならないためには、以下のようなことに留意して生活を送りましょう。
★食べ過ぎに注意し、一回量は控えめにする
★間食を上手に利用する
★よく噛んでゆっくり食べる
★少量でも栄養価の高い食材を選びする
★バランスのとれた食事を心がける
★早期ダンピング症候群の予防には、糖質の少ない食事をとり、食事中の水分摂取も控える
★後期(晩期)ダンピング症候群の低血糖症状がみられたときは、あめや氷砂糖などを摂る
「食べると苦しくなる」
「食べる義務」
と強く意識し、焦ったりせずに、気持ちにゆとりをもって食事をする習慣をつけると良いでしょう。