「できることなら認知症にはなりたくない」
「認知症になったとしても悪化したくない」
など思うことは誰しも自然なことでしょう。
「あれ・・おかしい・・・」「何か変だ・・・」と気が付いて病院に家族が連れていき、認知症が発見されるケースもあれば、病院を受診することなく症状だけが進行してしまうケースもあります。
認知症は早期発見で進行を遅らせることもできれば、種類によっては治るものもあります。
今回は、認知症の進行や予防に効果があり、薬物ではなく『コグニサイズ』という方法をご紹介します。
コグニサイズとは
認知症予防を目的とした取り組みの総称を表した造語です。
英語である・・・
■Cognition (認知)
■Exercise (運動)
を組み合わせてCognicise(コグニサイズ)と言い、国立長寿医療研究センターが開発した運動と認知課題(計算やしりとりなど)を組み合わせたものです。
Cognitionは脳に認知的な負荷がかかるような各種の認知課題が該当し、Exerciseは各種の運動課題が該当します。
コグニサイズの目的
コグニサイズの目的は・・・
①『運動で体の健康を促す』
②『脳の活動を活発にする機会を増やし、認知症の発症を遅延させる』
これら二つを同時に行うことです。
このように運動で体の健康を促すと同時に、脳の活動を活発にする機会を増やし、認知症の発症を延させること意識したプログラムにならないといけません。
ここで重要なのは、コグニサイズの課題自体がうまくなることではありません。
課題がうまくできるということは、脳への負担が少ないことを意味するからです。
課題に慣れ始めたら、どんどんと創意工夫によって内容を変えるようにする必要があります。
コグニサイズを実践するなかで、間違えて笑って、試行錯誤しながら楽しんで行っていくことが大切なポイントなのです。
コグニサイズで考慮されている課題
コグニサイズは、どんな運動や認知課題でもよいとされています。
しかし以下の2点が考慮された課題であることが前提となるのです。
①身体負荷のかかる運動
運動は全身を使った中強度程度の負荷(軽く息がはずむ程度)がかかるものであり、脈拍数が上昇する。
②難易度の高い認知課題
運動と同時に実施する認知課題によって、運動の方法や認知課題自体をたまに間違えてしまう程度の負荷がかかっている。
適度な負荷の運動と、思わず間違えてしまうような適度なストレスがかかる認知課題とを組み合わせたコグニサイズで楽しく脳を鍛えるのです。
コグニサイズと脳トレの違い
コグニサイズが脳トレと異なる点は、座ってじっくり頭を使う課題に取り組むことや体の一部を動かしながら考える課題を行うのではなく、全身を動かす運動と頭で考える課題とが組み合わさっていることです。
また、課題はあまり考えなくても簡単に達成できてしまうものではなく、注意を払わなければ達成できないような課題でなければなりません。
例えば・・・
右手をグー、チョキ、パーと動かしながらジャンケンで右手に勝つものを左手で出すなど、考えながら手を動かすような体操や、椅子に座って集団で取り組む計算やクイズなどの課題は、いわゆる脳トレと呼ばれるものになります。
コグニサイズの具体的内容
具体的内容を文字で表現してもなかなか伝わらないと思いますので、今回は二つの動画でお伝えしたいと思います。
高齢者など下肢筋力が低下している人は、椅子に座っても実施できると思います。
コグニサイズを実施できるところ
より専門的で力を入れている施設において実施することを希望するのであれば、『長寿医療研修センター』が指定する『コグニサイズ促進協力施設』というものが全国にあります。
上記の7施設は一部のものになります。
ネット検索で『コグニサイズ促進協力施設』で検索するとPDFファイルで閲覧することができます。
以下のようなものがヒットします。
促進協力施設以外でも実施は可能
上記では、『長寿医療研修センター』が指定する『コグニサイズ促進協力施設』をご紹介しましたが、それ以外の『デイサービス』や『デイケア』などでも実施してくれるところもあります。
その多くは、リハビリの専門家である理学療法士(PT)や作業療法士(OT)が中心となり行っています。
特に、デイケアではリハビリに力を入れている介護保険サービスになりますので、直接電話等で「コグニサイズは実施していますか?」などと問い合わせみるといいでしょう。