要支援や要介護1や2ぐらいだと、在宅介護で支援等を受けることによって生活を成り立たせることができることが多いです。
しかし、要介護3ぐらいになると同居する家族に介護が負担だと感じることも増えてきて、施設への入所を検討するようなケースも出てくるでしょう。
とはいっても、施設を探す時期は家族の介護力や環境(住環境を含む)、住んでいる地域などによっても変わってくるのが実情です。
今回は、具体的に施設探しのタイミングについて解説したいと思います。
介護はいつ訪れるかわからない!
まず、一番押させておきたいことですが、介護はいつ必要になるか分かりません。
これは、若い人が交通事故などにより障害になる以上に確率が高いと考えておく方がいいでしょう。
例えば、80歳を超えても自分のことは自分で出来て、介護保険サービスを利用したことがない人でも、転倒・転落により『骨折⇒入院⇒手術⇒車椅子生活』このような経過を辿ることも決して珍しくありません。
そして、入院してリハビリなどを行っている途中で介護保険利用の申請を行い、退院と同時にサービスの利用開始となるのです。
家族は勿論、本人の介護のことについて深く考えたことがなく、急に『介護』の必要性が高まり、色々なことに影響を及ぼすことになるのです。
どんなに元気で活動的な生活を送っていたとしても、急に介護が必要になる可能性は加齢と伴に増していくイメージしておきましょう。
スムーズに介護施設に入所する方法
なるべくスムーズに介護施設に入所するお勧めの方法を解説します。
それは、介護保険を利用できるようになった段階で、入所したい施設を決めておくことです。
「そんなに早い段階で?」と思われる人もいるかもしれませんが、在宅介護サービスと施設入所は密接に関係しているのです。
例えば、85歳の男性、要介護3、家族の支援を受けながらもなんとか自宅で生活をしているケースで考えてみます。
家族の支援を受けると同時に、介護保険サービスを利用するのです。
この時、大切なこと・理想は『入りたい施設の在宅介護サービスを利用しておく』というものです。
要介護3でしたら、自宅に訪問して介護をしてくれる『訪問系サービス』だけでなく、自ら施設に出向いてサービスを受ける『通所系サービス』も十分利用できます。
通所系サービスの中にデイサービス(デイケア)やショートステイがありますが、在宅介護を受けている段階でそれらのサービスを受けておきます。
そして要介護4や5になり、介護度が重くなったタイミングで入所申込みを出すと、比較的スムーズな入所になるのです。
入所がスムーズになる理由
サービスを受ける人(利用者)もサービスを提供する人(施設側)も、お互いのことを理解・把握しており、入所にあたり『0(ゼロ)』からのスタートにならず、全くの新規利用申込みの人よりスムーズな利用に結び付けることができるということです。
同一法人内での連携の期待ができるため、希望する特別養護老人ホームがあるなら在宅介護の段階でそちらのショートステイを週に2回ほど利用しておけばいいでしょう。(2回という数字は例えばです)
※介護保険サービスを利用の回数や日数については、担当のケアマネジャーに相談してから利用するようにしましょう。
老人保健施設を上手く利用する
老人保健施設(老健)とは
介護保険施設のなかに、老人保健施設という施設があるのをご存じでしょうか?
この施設は、介護を必要とする高齢者の自立を支援し、自宅(家庭)への復帰を目指すために、医師による医学的管理の下、看護・介護といったケアは勿論のこと、作業療法士や理学療法士等によるリハビリテーション、また、栄養管理・食事・入浴などの日常サービスまで併せて提供する施設です。
個々の利用者の状態や目標に合わせたケアサービスを、医師をはじめとする専門スタッフが行い、夜間でも安心できる体制を整えており、『病院と自宅の間の中間施設』と位置付けられています。
中間施設だからこそできること
介護老人保健施設(以下老健)は中間的な位置付けとされている施設ですが、中間施設だからこそできることがあります。
それは、『とりあえず入所してみる』ということです。
老健は特養等と違い、あまり待機期間がありません。
その理由としては、一方的に入所してもらうのでなく、退所(主に在宅復帰)も積極的に支援しているためです。
入所も退所も積極的に行い、なおかつベッドの稼働率も一定数維持させないといけないので、比較的入所しやすい仕組みになっています。
多少の期間なら待機することもあるかもしれませんが、申込みをして最短で2週間ほどで入所できるケースも珍しくありません。
入所後してからのその後
上記で解説した通り、入所するとリハビリや看護・介護を受けながら在宅復帰を目指します。
しかし、実際には在宅(自宅)に戻ることできない人もいるのです。
そんな時は、老健の担当スタッフが次の施設探しをしてくれます。
老健に入所した段階で、希望する具体的な施設などがあれば、担当スタッフに早目に伝えておきましょう。
すると、老健を退所する頃にはスムーズに次の施設に入所できるようになります。
老健は看取りも行ってくれる
身体状況が著しく不安定で、身体状況の移動が困難であると判断された場合、家族の希望があれば看取りケアを行ってくれます。
よって、老健の退所期間が迫っていても、看取り期であれば施設を移動することなく、そのまま利用させてくれるという特徴もあります。
特別養護老人ホームを探すタイミング
特別養護老人ホーム(以下特養)は、全国的にみると待機期間が長いという傾向にあります。
国の施策としては、なるべく待期期間を短くするという取り組みがなされていますが、老健とは違い『お亡くなりになって退所』というケースが主で、空きのタイミングも分かりにくいので現状です。
しかし、地方によっては待機期間が全くないという特養もありますので、気になる老人ホームを探すときは直接電話で問い合わせるといいでしょう。
インターネットで空き情報を確認するのは有り?
結論からいうと、インターネットだけで空き情報を確認するのはNGです。
施設の公式ホームページを閲覧して、空き情報を把握するのは構いませんが、民間の会社が施設を斡旋するために開設しているホームページの空き情報は、最新情報がリアルタイムに更新されているところが少なく、古い空き情報がいつまでもそのままにされていることが多いのです。
例えば『○○○特別養護老人ホームの待機人数は100人』となっていても、実際にはそれ以下、あるいは以上になっている可能性があります。
正確な空き情報を知るには、直接電話や訪問で希望する施設に尋ねるのが一番です。
気になる特養があればすぐに申し込みを!
介護保険施設の3施設の中で、最も人気の高い特養の場合、気になる施設があればすぐに申し込みを提出することをお勧めします。
申込みは一か所のだけではないといけない規則はありません。
複数でも可能であり、一番早く空いた施特養に入所するという方法を取っている人も沢山います。
介護施設に希望しても入所できなケース
コツコツと介護保険料を納めて、実際に介護が必要になっても、自分の希望する施設に入所することができないこともあります。
ここでは、介護保険施設(介護医療院・特別養護老人ホーム・老人保健施設)に分けて解説したいと思います。
介護医療院
この介護施設は、介護より医療を重視した施設(病院)になります。
よって、『介護<医療』を重点的にケアする必要性が高い人が対象になるため、医療的にケアの必要性が高い人は入所を断られることがあります。
介護医療院に関しては、家庭(自宅)から直接的に入所(入院)するのではなく、別の医療機関から転院する形で移動することが多いです。
特別養護老人ホーム
この介護施設は、主として介護をしてくれる施設です。しかし、生活を営む上でどうしても医療的な対応が必要となることがあります。
例えば、家庭で例えるなら・・・
■手足を擦りむいた⇒消毒してガーゼ保護
■日頃から血圧が高い⇒血圧測定
■急に熱が出た⇒解熱剤を飲む
このように、当然といえば当然である対応をすることになりますが、特養で行っていくれる医療的な行為はこのような健康管理・健康チェック等になります。
中には、インシュリン注射、点滴、酸素吸入、経管栄養等の受け入れをしてくれ施設もあり、法律的に特別取り決めがされているわけではありません。
医療依存度が高いと判断された場合には、入所を断られることもあります。
老人保健施設
この施設は、家庭と病院の中間的な存在として位置づけられており、基本的には特養のように終身に渡って利用できるものではありません。
よって、最初から在宅復帰する予定がない人や、他の施設に移動する気持ちがない人は、入所を断られて、その方に合う、適切な施設を紹介してもらうこともあります。
老健の最大の目的は、リハビリをして機能の維持・向上を図り、状態が落ち着いたタイミングで次の場所に移るのです。