自宅から介護施設に移動することになったとき、施設側から『準備物一覧』等をもらい、衣類やタオルなどを施設に持っていく必要があります。
施設側が示した『準備物一覧』には、最低限持参して欲しいものを書いているだけなので、利用者個々の状況に合わせて持って来ても良いものもあります。
今回は追加で持ち込むと便利なもの、逆に多くの施設で持ち込み禁止とされているものもご紹介します。
基本的な持ち込み物品
全利用者に対して共通している、基本的な持ち込み物品として・・・
①普段着
②パジャマ
③フェイスタオル
④ブランケット
⑤口腔ケア用の歯ブラシ・コップ
⑥自分の義歯
⑦タオルケットや毛布
このようなものがあります。
施設側から依頼される可能性があるもの
施設によって異なりますが、施設には準備がなく、ご家族の負担として持参して欲しいといわれる物品もあります。
①布団(グループホームに多いようです)
②シャンプーや石鹸(グループホームや介護療養院に多いようです)
③飲用のコップ
④箸・スプーン
このようなものがあります。
※入所を希望をする段階で施設に尋ねるといいでしょう。
あると便利な6つのモノ
あえて施設側から持ち込みを依頼されることはありませんが、介護を受けながら生活するなかであると便利なものを5つ紹介します。
1 スマホやタブレット
80代、90代でもスマホやタブレットを施設に持ち込んで生活されている人は少なくはありません。
通話やラインでのやりとりは勿論のこと、孫の写真を送信してもらい、いつでも家族の温かさを感じている人もいます。
中には、スマホからネットショップをして、施設まで配達を依頼している人もいます。
高齢だからと、スマホやタブレットの取り扱いに抵抗を持っている人が少なくなっていることを実感すると同時に、これからの時代を考えると、高齢者にとってもスマホやタブレットは必須アイテムになっていきそうなイメージを持っています。
2 イヤフォン
テレビやラジオを聞くときに必要なあのイヤフォンです。
入院を経験したことがある人はイメージできるかもしれませんが、自分以外の人に迷惑をかけてはいけませんので、そのような観点からイヤフォンを利用しなければなりません。
とはいっても、個室なら必要ないのでは?と考える人もいるかもしれません。
しかし、高齢者の多くは耳が遠く、大音量にして聴いている人も多いです。
施設にもよりますが、壁が薄ければ隣の居室に音漏れする可能性があるため、事前に配慮する方がいいでしょう。
また、個室を利用していたとしても、居室変更(特に特養や老健)も行われます。
個室から多床室に移動となったとしても、イヤフォンを持っていれば慌てる必要はありません。
3 ウエットティッシュ
自室に洗面台があればいいのですが、そうでないこともありますし、ベッドから離れて洗面台までいくのが思った以上に煩わしかったりします。
床頭台や枕元にウエットティッシュを常備しておけば、わざわざ洗面台まで行かなくても、その都度清潔を保てるというメリットがあります。
活動性の高い人なら、その都度ベッドから離れることは面倒に思わないかもしれませんが、移動が車椅子の人や、半身麻痺などで寝たきりの人はなるべく自分の手の届く範囲で活動したいと思います。
4 カレンダー
冬は暖かく、夏や涼しい施設での快適な生活・・・
確かに、一定の体調を維持するためには室温はとても重要ですが、それが逆に弊害になることもあります。
それは、季節感を失くすことです。
冬は寒い
夏は暑い
この感覚は当たり前のことですが、施設の設備が充実している現代、が何月何日なのか鈍感になってしまい、自分が入る入浴の曜日だけを気にするようになる人も少なくはありません。
そんな時、壁掛けや卓上カレンダーを置いて、今が何月何日なのか理解することによって、認知機能低下も防ぐことができますし、計画性を持って日々過ごすことができるようになります。
5 メモ帳
メモ帳に加えてボールペンや鉛筆などもあれば便利です。
ちょっとしたことをメモするだけではなく、できればその日にあった出来事などを書くように習慣化すれば頭の体操にもなります。
例えば・・・
・食事はどのようなおかずだったか
・担当してもらったスタッフは誰だったか
・排便の有無や量
・レクリエーションの感想など
加齢に伴い、字を書く機会が減ってきますので、自分から意識して字を書く習慣を維持するためにもメモ帳一式はあれば便利です。
6 時計(温度計・湿度計付き)
できれば正確に時間を表示してくれる電波時計がお勧めです。
上記でも触れましたが、施設の中では温度管理ができているため、「暑い」「寒い」をあまり感じなくなっています。
また、カーテンを閉め切っていたりすると、時間の感覚も分からなくなり、今が朝なのか夕方なのか一瞬分からなくなるとケースも珍しくありません。
夕食が提供される際に食堂に出てこられ、「おはようございます。今日もお願いします。」とスタッフに挨拶される方もいらっしゃいます。
あまり神経質になる必要はありませんが、何かを行う時に『今は何時なのか?』と気にすることによって認知機能の低下にも繋がりますし、一日の日課を考えながら生活することができるメリットがあります。
番外編 こんなモノを持ち込まれる人も!
施設での生活をなるべく快適に過ごされるために、みなさん色々考えていらっしゃいます。
マジックハンド
手の動きがスムーズに行うことが出来る人が持ち込まれることがあります。
上記のイラストのようなマジックハンドです。
ベッド上で寝たまま、座ったままの状態でリモコン、新聞や雑誌を自在に移動させたり、引き寄せたりします。
なかには、右手・左手両方に持たれて器用に使いこなす人もいらっしゃいます。
最初の方は操作がなかなか難しいかもしれませんが、慣れると便利になることは間違いありませんし、手の運動にもなりますので、自然とリハビリしているような感じになります。
ホームセンターでも販売していますが、介護専門の便利グッズとしても専門店で販売されています。
スマホスタンド(スマホホルダー)
「時代は本当に進んだなぁ~」と実感するものです。
上記のイラストのようなスマホスタンドです。
「今の時代、TVを観るよりスマホを観る時間の方が長い!」という若者は多いかもしれませんが、高齢者においてもそのように考える人がおられます。
施設内にWi-Fi環境が整っていれば、動画を観て楽しむことができます。
動画を観る際に、ずっと手に持って観ることに疲れる人が、スマホスタンドやホルダーがあれば便利だと考え使用しています。
枕元にアーム型のスタンドを設置し楽な態勢で動画を楽しまれる人もいらっしゃいます。
※施設内のWi-Fi環境は、無料か有料か事前に確認しておきましょう。
持ち込む際に気を付ける事
施設に入所したらといって、自由に持ち込めるわけではありません。
特養や老健の場合だと、ハサミやカッターの持ち込みは難しいと考えておきましょう。
使っているうちに、誤って怪我をする可能性もありますし、もし紛失した際に職員全員で探さないといけない事態に発展する可能性があるからです。
施設によっては、爪切りも禁止され、施設用のもので爪は切るようにしているところも珍しくありません。
洗濯機を使用して傷む可能性のある衣類(ウール100%等)、高級な指輪や宝石など紛失した場合に施設が責任を求められるようなものも禁止されることが多いです。
現金に関しては、サ高住や有料老人では持ち込み可能である施設も多いですが、特養や老健は禁止されているケースが多いので注意しておきましょう。
ただし『精神的に安定する』という観点から、あまり多くない金額での持ち込みが認められることもあります。施設の職員に直接相談してみましょう。