ワセリンを聞いたことはありますか?
ワセリンはとても身近に手に入り、しかも多くの場面で利用することができ、介護や医療の現場ではとても活用される頻度が多いものです。
今回は、この『ワセリン』に絞って、家庭で利用できる方法や場面をご紹介します。
ワセリンとは

ワセリンは石油から精製されたもので、よく保湿剤として利用されています。肌に薄い膜を作り、肌から水分が蒸発するのを防いでくれます。
石油・・・なんだかこの言葉を耳にすると不安に思う人がいるかもしれません。
しかし、実際はそのような心配はいりません。
石油が原料だというだけであって、天然成分である石油を高純度に精製することで、肌に刺激の強い不純物はほとんど取り除かれています。
よって刺激性が少なく、赤ちゃんから大人まで利用することができるのです。
ワセリンは、精製度によって色が違います。
一般的に、純度の低いものは黄色味を帯びています。そして、純度が高くなるほど白色になります。
精製度の高い『白色ワセリン』は医療機関でも扱われているほか、薬局・ドラッグストアでも購入可能です。
白色ワセリンの中でも特に高純度の製品は、不純物の含有率が低いため刺激が弱く、アトピー性皮膚炎の方や、肌がデリケートな赤ちゃんにも使用できます。
ワセリンの種類

先ほども解説しましが、ワセリンは精製度によって色が違います。
純度の低い順から紹介します。
■黄色ワセリン
■白色ワセリン
■白色ワセリンソフト
などに分けられます。
基本的には、比較的精製度が低いものが黄色ワセリンです。
それをさらに精製して、できるだけ不純物を取り除いたものが白色ワセリン、さらに純度を高めたものがソフトタイプと呼ばれています。
ワセリンの中でも、比較的純度の高い白色ワセリンは、薬局などで手軽に購入できる保湿ケアアイテムとしても利用されます。
一般的には純度が高くなるほど、ワセリンの色が白くなり、肌に対する刺激も少ないといわれていますが、その分金額が上がっていきます。
赤ちゃん用の『ベビーワセリン』は白色ワセリンで出来ています。
これは酸を使わない精製方法でつくられています。そのため、白色ワセリンよりも不純物が少ないです。
使用感については、白色ワセリンよりもやわらかくて伸びがいいとされています。
そのため、赤ちゃんのおしりかぶれや乾燥肌の予防にも役立ちます。
ワセリンの金額の目安
通常の保湿として利用するワセリンなら、60gあたり400円前後で販売されています。
ただ、市販されているハンドクリームよりも少量でも十分保湿されるので、多くの量を使用せず保湿できるので安心です。
逆に言えば、付けすぎるとベトベトになり、不快感があるので気をつけましょう。
参考として、楽天市場で販売されているページを貼り付けておきますので、金額の確認でどうぞ。
ワセリンの副作用

ワセリンは副作用はほとんど無いと考えておいて大丈夫です。
ワセリンの使用によるアレルギーの心配もほとんどないと考えられています。
繰り返しになりますが、石油が原料ですが、精製の段階で肌に刺激の強い不純物はほとんど取り除かれているため、赤ちゃんから大人まで、年齢を問わず安心して使用できるのです。
ただしワセリンは製品(純度)によって精製度が異なり、アトピー性皮膚炎や敏感肌の人が精製度の低い製品を使用すると、かぶれやかゆみ、発疹などの接触性皮膚炎を引き起こす事例もあります。
万が一このような症状が現れた場合は、ただちに使用を中止し、医療機関を受診するか、薬剤師に相談してください。
ワセリンは褥瘡予防に使える
褥瘡の好発部位のひとつに『仙骨部』があります。

仙骨部やその周辺のワセリンを塗ることによって、褥瘡を予防することができます。
褥瘡になってないけれど、予防として塗る場合と、少し皮膚が赤くなってしまっている場合に有効的です。
褥瘡予防にワセリンが有効的な理由として・・・
①排泄物などの汚れを皮膚から守ることができる
②清潔を保つことができる
③摩擦が掛かりにくなる
などがあります。
褥瘡になってからもワセリンを活用することはありますが、医療的なことになるのでここではご説明は避けさせて頂きます。
傷になっていない部位に塗る分には、それほど心配せずに塗ってもいいでしょう。
すでに褥瘡が出来てしまった場合の処置・対応については、医師や看護師に尋ねるようにしましょう。
ワセリンは保湿に使える
ワセリンはとにかく、保湿に良いのです。
例えば、ガザガザした踵に塗って靴下を履いて寝てみて下さい。
1週間ほどでしっとりします。
高齢者の場合だと、皮膚搔痒症という状態になりやすく、保湿を必要とする人が多いです。

※皮膚搔痒症とは、皮膚の水分や皮脂の分泌が少なくなるため、特に冬季に皮膚が乾燥してかゆみが起こることをいう
乾燥すると、痒くなるだけでなくちょっとした刺激によっても、皮膚に傷がついてしまいます。
傷が付いたまま適切な処置をしないと、感染症になることもあるので痒みがある段階での早期対応が重要になります。
勿論、ドラッグストアで購入できる保湿剤でも構いませんし、医師から処方してもらう医薬品でも構いません。
ワセリンは、安価であるため常備しておいたら、気軽に使いたいタイミングでいつでも利用できるメリットがあります。
専用の保湿剤が今すぐにない場合の代用品として利用できます。
ワセリンは皮下出血に使える
ワセリンを使用することによって皮膚の水分が確保され、皮膚に柔軟性ができます。
その結果、への摩擦を軽減でき、皮下出血の予防になります。
外から皮膚への摩擦が加わっても、皮膚の柔軟性があれば皮下出血が起こりにくくなるのです。
※皮下出血とは、打撲や捻挫などによって、皮下の血管が破けてしまうことを指します。皮膚に赤や青、紫のような色のあざができます。少しずつ黄色っぽくなり消えていく。

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少し専門的なお話になるのですが、ワセリンの効果を増大させる使い方としては、ヘパリン類似物質(非常に高い保湿効果をもつ成分)や尿素を配合したクリームなどを先に塗ります。
ヘパリンクリームはドラッグストやネットショップでも購入できます。また、医師から処方されることもできます。
ヘパリンを塗った後、コーティングするようにワセリンを塗ると、先に塗った保湿剤の蒸発を防ぐ効果があります。
ワセリンは軽い傷の処置に使える
軽い擦り傷や、切り傷の処置にもワセリンが使えます。
また、ワセリンで傷口を覆って保湿することで傷口の乾燥を防ぐことができます。
それにより、細胞の再生を促す液の滲出が促進されるため、早くきれいに傷を治すことができると考えられているのです。
まず、傷口をきれいに洗ってワセリンを薄く塗り、その上から絆創膏を貼って保護します。
痛みがある場合は、傷口よりやや大きめに切ったラップを用意し、ラップにワセリンを塗って傷口に当ててから絆創膏を貼るとよいでしょう。

高齢者に対して処置を行う場合、医師や看護師に相談しながら進めていくようにして下さい。
おわりに

ワセリンを塗っても、一般的に副作用はほとんどないとされています。
しかも、ドラッグストなどで販売されていて安価で購入できるのが嬉しいです。
特に使う予定がなくても、購入して常備しておくと”いざ”という時に安心だと思います。