介護のはじまり

高齢者の孤食問題とは?孤食対策3つをお伝えします!

衣・食・住は人間が生きていく上でとても大切なことです。

食事に関しては、10代と80代では食べる内容や嗜好が違うかもしれませんが、一日の中で楽しみのひとつでしょう。

しかし、高齢になると楽しく食事ができる環境にない人がいるのも事実です。

今回は食事の『孤食問題』にスポットを当てて、対策をお伝えしていきます。

孤食とは何か

食事をしているお婆さんのイラスト

『孤食』とはその名の通り、一人だけでご飯を食べることです。

一方で、『共食』という言葉もあり、家族や友達などと一緒にご飯を食べることを指します。

残業で遅くなった父親だけが、夜間に1人で食べる食事も『孤食』に該当することになります。

最近では、高齢者の孤食が問題視されています。

農林水産省が実施した「一人で食べる頻度の調査」において、70歳以上の男性の15.3%、女性は23.4%が「ほとんど毎日一人で食べている」と回答しています。

今後も高齢者の孤食の割合は増加傾向にあるようです。

孤食の背景

孤食が増加している背景には、高齢者の一人暮らしが年々増加していることがあげられます。

1980年には65歳以上の一人暮らしの男性の割合は11.2%・女性は4.3%でしたが、2020年には男性が22.4%・女性が15.5%まで増加していることが分かりました。

※農林水産省の調査

現代の世帯構造の変化が「仕方なく孤食になってしまう」状況を作ってしまっているのです。

共食のメリット

楽しそうに食事をする家族のイラスト

共食のメリットは、栄養バランスの整った食事ができることだけではありません。

多くの人と楽しく食事をすることで、家族・友人とコミュニケーションをとる機会ができたり、安心感や会話の楽しさが食事をさらに美味しく感じさせてくれます。

また、満足感につながったりなどのメリットも考えられます。

また、会話を楽しみながらゆっくり噛んで食事をすることは、消化吸収を促す効果があったりもします。

特に高齢者の場合、誤嚥を防ぐためにあまり噛まないで食べることはお勧めできません。

ゆっくり食べることで唾液の分泌も促されて、誤嚥性肺炎予防にもなるのです。

水分は誤って器官(肺)の方に流れこむリスクもあるので、やはり時間をかけて食べることが大切です。

孤食の3つのデメリット

「デメリット」のイラスト文字

高齢者の孤食は健康を大きく左右させるデメリットが存在します。

デメリット①孤独を感じる

人は加齢に伴って、寂しさを感じやすくなります。

近所の人や友人が亡くなってしまい、家族以外で会話できる人が減少したりするのも一つの原因です。

そんな中、食事を一人で食べるということは、『大きな孤独』を感じることになるでしょう。

孤独を感じると精神的に不安定になり、家族に頻繁に電話をするようになったり、気を引こうとして不適切な行動を起こすようなことも考えられます。

やはり、食事は何人かで楽しく食べたいものです。

デメリット②栄養のバランスが崩れる

自分だけの食事しか作らなくなると、食事内容がおろそかになる傾向にあります。

一人暮らし20代独身男性の退勤後の夕食をイメージしてみて下さい。

仕事で疲れてクタクタになったあと、栄養満点の調理をしようとはなかなか思わいでしょう。

そんな日が継続すると、若い人でも栄養のバランスが崩れ、体調を崩しやすくなります。

高齢者だと、免疫力が低い状態でなお栄養のバランスが崩れると、すぐに体調を崩しやすくなる原因になります。

デメリット③摂取量が低下する

わざわざ一食分を作ったり、買ったりするのが面倒になり、ついつい少量の食事しか食べなくなる可能性があります。

一般的に高齢者は栄養失調になりやすいとされています。

食が細くなり、必要とされる分の栄養が摂取できなくなるためです。

一人で会話もなく、静かな雰囲気で食べる食事は決して食欲をそそる環境とはいえないでしょう。

孤食の3つの対策

麺類を食べる家族のイラスト(蕎麦)

対策①介護保険サービスの利用

2人以上の人たちと一緒に食事を食べられるようにするには、介護保険サービスであるデイサービスやデイケア等を利用して、そこで食事を食べるようにするとよいでしょう。

もちろん、メニューは管理栄養士や栄養士が作成しますので、バランスの良い食事を摂取することができます。

また、食事を通して、友達などを作るきっかけになるので、人間関係の構築も図ることができるようになります。

毎日サービスを利用するのが負担であれば、例えば、月・水・金を計画に入れるなどし、定期的に大勢の人たちと食事をするようにするとよいかもしれません。

自宅にお弁当を配達してくれる『配食サービス』は、栄養的な観点で言えばよいかもしれませんが、やはり一人で食べることになることが多いです。

孤独に一人で食べていると、結局は食が進まず、十分に食べることができない恐れがあるので、配食サービスを利用する場合には、積極的にそのお弁当を持って外部と接触する(例えば友人の家に出向く等)工夫をしましょう。

対策②一食でも家族と食べる時間を作る

三食全てを家族と食べるのは難しいと思います。

これは、高齢者でなくても一般的に難しい時代であり、残業や受験勉強、学校の部活などがあり、家族がそろって食事をすることは簡単なことではありません。

しかし、一食だけでも家族で食事を食べられる工夫をしてみることを提案します。

朝は慌ただしくなるので、夕食がお勧めです。

平日はデイサービス等を利用する機会が増えると思いますので、土曜日や日曜日など日を合わせて食べるようにしてはいかがでしょうか。

対策③オンライン食事会に参加する

コロナ禍において『オンライン〇〇』というものが浸透しました。

代表的なものとして・・・

■オンライン会議

■オンライン飲み会

■オンライン講座(習い事)

などがあります。

今回ご紹介するのは『オンライン食事会』です。

とはいっても、仲間を見つけることが難しいと思います。

そんな時はネットで『オンライン食事会 高齢者』で検索してみて下さい。

孤食に不安を持っている人は全国に大勢おり、同じようになんとか対策がないか考えている人も少なくはありません。

オンライン食事会は『zoom』などを活用し、パソコンやスマホ・タブレットを使用して、自分以外の人と一緒に顔を見ながら食事を摂るというもので、無料か有料で仲介してくれるサイトがあります。

勿論、高齢者という枠にとらわれず、いろいろな世代の人と食事をしたいのであれば、それはそれで構わないと思います。

とにかく、会話をしながら相手の顔をみて食事をすると、自然に食欲も出てきますし、生活の質を向上させるきっかけにもなるでしょう。

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