介護のはじまり

介護スタッフが私服である意味とは?

介護に限らず、仕事をする上で『制服』や『ユニフォーム』が存在し、皆がそれを着用して業務を行う場合が多いでしょう。

介護施設の職種をイメージしてみて下さい。

例えば看護師・・・

看護師・看護婦・ナースのイラスト

次に理学療法士・・・

理学療法士のイラスト

では、介護福祉士は?

このよに問われると『ピン』と来ない人もいるかもしれませんが、制服を採用して業務にあたっている施設も沢山あります。

その一方で、私服を採用して業務にあたっている施設もあるのです。

今回は、その理由と私服のメリットやデメリットを解説していきます。

介護という仕事の背景

『介護』という仕事が日本に浸透して、『プロの仕事』と認識されるようになったのは、実は最近のことでなのです。

介護福祉士の資格試験が最初の行われたのは、平成元年のことであり、昭和25年に行わた看護師国家資格と比べると、まだまだ歴史が浅いことが分かります。

では平成元年までは、どのような人が介護をやっていたのでしょうか?

結論から言えば、特別な専門的知識を有しない、一般の主婦等が行っていました。

とはいっても、介護を行う上で必要なことはその都度、看護師から指導を受けて行っていたのです。

このような歴史的背景があるので、介護福祉士の制服がイメージしにくいのが一般的かもしれません。

介護の制服について

介護士のイラスト(女性)

グループホーム、特養や老健では、私服を採用して業務にあったっているところが多いです。

突然ですが『ユニットケア』という言葉を聞いたことはありませんか?

ユニットケアとは、多くの高齢者が暮らす高齢者施設にあって、建物の特徴を活かしながら自宅のような空間の中で、高齢者が自分の行動を自ら決定できるよう自立支援を行いながら、利用者との関係性を強固にしていくものです。

『自宅のような空間』=『家庭的な雰囲気』

と解釈し、家庭では制服なんて着用しないよね?という考えで、『介護の仕事は私服で行おう』という考えが浸透したのです。

私服のメリット

「メリットのイラスト文字」

上記でも解説した通りですが、私服にすることによって『家庭的な雰囲気』が生まれることは間違いなく、利用者との心の距離も近くなることが考えられます。

また、私服のことが利用者同士の話題となり、普段無口の利用者から・・・

「その色いいね!」

「今日の服は明るいね」

「かわいい服着てるね」

「どこで買ったの?」

等の声掛けをもらうこともあります。

利用者と職員との会話のきっかけにもなるのです。

私服のデメリット

「デメリット」のイラスト文字

最大のデメリットは利用者やその家族が、『この施設の職員』という判断をつけられないことです。

キーパーソンや馴染みのある家族なら、職員かどうかは顔を見れば分かるでしょう。

しかし、そうでない利用者や家族は、誰が職員でどんなことをする人(職種)か分かりません。

これが最大のデメリットで、家族が困惑する原因となります。

私服から制服にする施設も・・・

はてなマーク・クエスチョンマーク

メリットだけが重視され、ユニットケアの一環として私服を採用した施設でも、実は制服にする施設も増えています。

その理由として、先ほどのデメリットを改善する他にも・・・

■業務で使う私服をそのまま家から着用してきて、清潔・不潔の区別がつかない

■業務とプライベートのメリハリが付きにくい

■私服にすることでそれに必要な費用が支給されない事の職員からの不満がある

■私服は個人の価値観によって全く違い、介護に相応しくないこともある

などがあります。

私服には家庭的な雰囲気に馴染めるメリットがある一方で、デメリットが存在し廃止する施設もあるのです。

本当の意味での私服なのか疑問に思うことも

お調子者のイラスト

先ほど『私服は個人の価値観によって全く違う』と述べましたが、施設によっては一定のルールを作り、それを私服と定義しているところもあるようです。

例えば・・・

NG私服として

■ジーンズはダメ

■原色のシャツはダメ

■ヒョウ柄はダメ

■ベルトはしてはいけない

など・・・

私服にする意義って、個性を出せるから私服にするのではないかと考えます。

しかし、一定のルールを作ってしまうと、それはもはや私服ではなく、『単なる自前の服』というイメージとして捉えられて仕方がないのかもしれません。

結局は、『それぞれの職種に相応しい服装をしなさい!』という方針に変わりがなければ、私服にする意味はないのかもしれませんね。

家族はスタッフが私服であることをどう捉えればいいか

このような流れから、私服を採用していることをご理解頂けたと思います。

しかし、私服のデメリットに目を向けた時、利用者や家族は困惑することもあるでしょう。

統一された制服にするか、私服にするかは、利用者や家族が積極的に関与できる範囲ではありませんが、家族会や意見交換会、投書箱などに『家族の意見』として問いかけるぐらいはいいでしょう。

私服で業務を継続するなかで、例えば・・・

■名札をつけることを提案する

■玄関やフロアの出入り口に名前と顔写真を貼ることを提案する

■主任やリーダーは目印になるものを付けてもらうことを提案する

など、可能な範囲で意見を述べることはできます。

おわりに

何事もメリットがあればデメリットもあります。

制服か私服か考えた場合、施設側はこの両方を天秤にかけ、それでも『私服がいい』『いやいや制服にしよう』と決めるのです。

利用者や家族の立場から、デメリットの方が大きいと感じたら、相談するのも一つの方法かもしれません。