介護施設

せっかく入居できたのに…施設を退去しなければいけないことがある?

需要が高いこともあり、近年では多くの高齢者施設が新設されています。

グループホーム・有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅…

特に民間の施設は非常に多く、郊外には大規模な施設も少なくありません。

一般的には在宅での介護が難しい場合などに施設に入所をしますが、中にはせっかく入所できた施設を退去しなければいけなくなる事例があることをご存知でしょうか?

この記事では、施設を退去しなければいけなくなる理由や、退去を勧告されたときの対処法などについてご紹介します。

施設に入居中の方も、これから施設入所を検討されている方も、ぜひ参考にしてください。

施設を退去しなければいけなくなる原因とは?

どんな施設でも、入居の際には契約を交わし、双方内容を理解した上で入居を決定します。

しかし、いくつかの理由によっては退去しなければいけなくなることも…。

退去を勧告される理由にはどのようなケースがあるのか、主な理由をご紹介しましょう。

費用の滞納

施設の利用料を滞納した場合は、退去を勧告されます。

ただし、すぐに退去勧告を受けるわけではなく、何度も督促を行っても支払いに対応しなかった場合、支払う意思がないと見なされて「退去してください」と言われるのです。

本人に支払い能力がなければ、保証人や身元引受人に連絡が行きます。

それでも支払いが行われなかった場合には、やむを得ず退去勧告が行われます。

身体状況の変化

身体の状況の変化によっては、退去を勧告されることがあります。

心身の状態が悪化して医療依存度が高くなった場合や、認知症が進行して周辺症状が顕著な場合などは、施設内で対応することが難しくなるからです。

反対に、状態が改善して施設の入居条件に該当しなくなった場合なども、退去勧告を受けることがあります。

長期の不在

ケガや病気で長期の入院が必要となり、不在の状態が続く場合も退去勧告の対象となります。

不在の期間は施設によって異なりますが、多くは3ヶ月~6ヶ月と定めているところが多いでしょう。

長期不在の場合の対応については、契約書や重要事項説明書に明記されていますので、契約時にきちんと確認をしてください。

周囲とのトラブル

他の入居者や職員などとのトラブルや、施設の設備・機器の破損、暴言や暴力などが顕著な場合は、退去を命じられてしまうことがあります。

認知症の周辺症状などの場合でも、施設側が対応できない状態=サポートできる範囲を超えていると、他の入居者や職員の安全が確保できないからです。

入居前に問題行動が見受けられる場合には、入居時にあらかじめ相談しておくことをおすすめします。

虚偽の申し込み

入居申し込みの際に、虚偽の書類を提出したり、内容に事実と異なることがあった場合などは、退去を求められることがあります。

どんな事情があれ、虚偽の内容で申し込みをすると、不正入居と見なされるからです。

何か気になることや困ったコトがある場合は、必ず施設側に相談し、間違っても虚偽の内容で申し込みをすることがないように注意しましょう。

施設側の事情

民間施設の場合、施設を運営する企業が倒産して施設を閉鎖するなど、施設側の事情で退去を求められることが稀にあります。

一般的には、仮に運営する企業が倒産をしても別の事業者が引き継ぐことが多いため、いきなり閉鎖ということは少ないですが、新しい事業者と再度契約を行うため、継続して入居することはできても利用料が変更になることなどは考えられます。

新しくできた施設などの場合は、運営企業がどのような事業を行っているのか、企業規模はどのくらいなのかなどを事前にリサーチしておくと良いでしょう。

退去を求められたときに確認したい3つのコト

やむを得ない事情で退去を求められてしまった場合には、確認すべきことがあります。

事情によっては相談機関の利用が必要になることもあるため、下記の3点については必ず確認を行ってください。

1・退去までの期間

まずは退去までの期間がどのくらいなのかを確認しましょう。

入居者側の事情で退去を求められた場合は、契約書や重要事項説明書などに記載されていますので、施設側の要求と契約の内容が合っているかどうかを見てください。

一般的には、退去勧告を受けてから90日以内と定められている施設が多いです。

退去事由に該当している場合は、次の施設を探さなければいけませんので、必ず確認しましょう。

2・返還される費用の有無

次に、返還される費用があるかを確認する必要があります。

入居時に一時金を支払っている場合は、返還が行われることがほとんどです。

ただし、入居一時金がない施設の場合などは返還される費用がないことが多いため、入居時の支払い額などをきちんと確認してください。

3・支払うべき費用の有無

退去時に支払うべき費用があるのかも確認したいポイントの一つ。

個室に入居していた場合などは、一般的な不動産物件のように原状回復を行う費用を負担する必要があります。

また、入居者の故意・過失による設備の故障・損壊などがある場合は、別途請求されることもあるため、施設側に確認するようにしましょう。

退去を求められたときの対処法

せっかく入居できたのに退去を求められた…家族にとっても入居者本人にとっても、非常にショックなことです。

ただし、退去勧告を受けた場合の対処法がありますので、事前に知っておきましょう。

1・退去理由を確認する

退去勧告を受けた場合は、必ず退去を求める理由を確認してください。

その理由が契約上正当と認められる場合は、退去に従わなくてはいけません。

ただし、改善の余地がある場合は提案することも可能です。

退去理由によりますが、その理由が正当なものであるかどうか、家族や入居者本人が納得できるものであるかどうかを見極めましょう。

2・公的機関に相談する

納得のいかない理由での退去勧告を受けた場合は、公的機関に相談することをおすすめします。

一番身近な相談機関は、地域包括支援センターです。

地域包括支援センターとは、高齢者やその家族が住み慣れた地域で安心して生活できるように支援するための機関で、主に市町村や指定された社会福祉法人などによって運営され、日本全国に設置されています。

また、担当のケアマネージャーがいる場合には、ケアマネージャーに相談し、一番適した相談先を紹介してもらうこともできます。

退去後に在宅介護を行う場合などは、居宅介護支援事業所なども力になってくれますので、相談してみましょう。

3・退去事由に対応できる施設を探す

認知症の周辺症状に対応できない・必要とする医療行為ができないなどという理由の場合は、次の施設を探すときに、退去事由に対応できる施設を探しましょう。

認知症の周辺症状や医療行為への対応は、施設によって差があるのが現実です。

中には認知症専門の施設や、看護師が常駐して医療行為に対応してくれる施設も存在します。

入居者の状況はいつどう変化するかわかりませんので、対応できる施設を探しましょう。

まとめ

施設に入居する際には『終の棲家』という認識を持つ方が多いはずです。

しかし、施設側は条件に則って退去勧告が出せるということを覚えておきましょう。

身体状況の変化による入院や、医療依存度が上がってしまった場合などは致し方ないですが、費用の面については家族が対応できる問題の一つです。

入居時に十分な情報を収集し、契約書などもしっかりと目を通しておかなければいけません。

何か不安なことがある場合は、必ず入居前に相談することも大切です。

また入居後は施設のスタッフや管理者と密な連絡をとることもポイント。

何かあったときに相談し合える関係性を構築することも必要なのかもしれません。

  • LINEで送る