高齢者に関わらず、肩凝りで悩んでいる人は少なくありません。
肩凝りになると首が凝り、やがて頭痛にまでなることもあり、ここまでくると生活に薬に頼るようになることも少なくありません。
このような高齢者の肩凝りですが、どのようにして対応するのがベストなのでしょうか?
今回は健康的な観点でどのようにすれば良いかを解説します。
まずは復習 肩凝りのメカニズム
肩凝りは、肩周辺の筋が緊張(収縮)した状態が続き、血流が悪くなることで生じることがほとんどです。
筋の緊張が起きる部位や原因は人によって違います。
例えば・・・
パソコンの操作などで首が前に出る悪い姿勢が多い人は、僧帽筋が緊張しやすく、首の横~肩口にかけて凝りを感じやすくなります。

また、猫背など肩甲骨が離れた(肩甲骨外転)悪い姿勢が多い人は、菱形筋が伸長的拘縮(伸びたまま硬くなること)を起こしやすく、肩甲骨の内側あたりにこりを感じやすくなります。
肩こりのメカニズムは同じですが、姿勢や動きのくせなど人によって肩凝りの原因は異なります。
最初にすることは『受診』

上記で解説した通り、肩凝りの原因はそれぞれ違います。
その原因を知るためにはやはり整形外科を受診することをお勧めします。
危険な肩凝りについて
痛みは軽度、中等度、重度の3段階に分けられますが、以下のような症状が出ればそれは『重度』に該当するので、医師にその旨をしっかり伝えることが大切です。
重度な肩凝りになると・・・
■頭痛
■めまい
■吐き気
■しびれ
■手の冷え
■字が書きにくい
■脱力感
■腕が重い
■不眠
■食欲低下
■抑うつ
などがあります。
高齢者に多い肩凝りの原因

高齢者に多い肩凝りの原因として、『頸部脊椎症』と『五十肩』等があります。
頸部脊椎症が原因肩凝り

加齢変化による頚椎症(椎間板の膨隆・骨のとげの形成)の変化によって、頚椎の脊柱管(骨の孔)の中にある脊髄が圧迫されて症状が出ます。
日本人は脊柱管の大きさが欧米人に比較して小さく、「脊髄症」の症状が生じやすくなっています。
症状として・・・
■ボタンのはめ外しが難しくなる
■箸の使用が困難になる
■字を書くことなどが不器用になる
■歩行で脚がもつれる
■階段で手すりを持つようになる
などが症状があります。
頚椎症は骨や骨の間をつないでいるクッションである椎間板が変形することなどで起こり、首のこりや痛みといった症状を引き起こすのです。
五十肩が原因の肩凝り
五十肩は肩関節の炎症ですので、痛みだけでなく肩関節の運動制限を伴います。
軽症の場合は髪をとかす動作や後ろ手に帯を締めるなどの動作がつらくなってきますが、悪化すると痛みのために寝返りがうてない、眠れないなどの症状が出る人もいます。
多くの人は、半年から1年で自然に治りますが、まれに放置してしまい肩関節拘縮を起こしてしまう人もいます。
ひどい拘縮になってしまうとリハビリで元に戻すことは非常に困難で、手術が必要になることもあります。
このような状態になれば、肩周辺の運動が出来ず血流が悪くなり、肩凝りを引き起こすことになるのです。
肩凝りの対処法
肩が凝るとついつい自分でその部位を揉んだりすることがありますが、高齢者の場合も本当にこれで良いのでしょうか?
肩凝りの対処で留意すること
若い人であれば、叩いたり揉みほぐしたりしても健康への影響は少ないですが、高齢者の場合には『皮膚の状態』と『骨の状態』に留意して対処する必要があります。
まずは皮膚の状態から解説します。高齢者の皮膚はとても脆弱で皮下出血をしたり、皮膚がめくれたり(皮膚剝離)することがあります。
そのため、叩いたり揉んだりすることによって皮膚を傷つけてしまうことがあるので、慎重にしなければなりません。
また、脳梗塞の既往歴などがあり、血液をサラサラにする薬を飲んでいると皮下出血しやすくなるので注意が必要です。
次に骨の状態です。
高齢者の骨と言えば、『骨粗鬆祖』を連想する人も多いと思います。
骨粗鬆祖は骨がもろくなる状態であり、少しでも圧が掛かると骨折につながることもあります。
よって、強く揉むことは禁忌です。
高齢者自信が「もっと強く揉んで」と言われたとしても、力任せに揉んだすることは避けて下さい。
肩凝りは運動で対処する
ここまでの解説で、肩に強い圧を掛けることは良くないことをお分かり頂けたと思います。
では、どのような方法で対処するのが良いのでしょうか?
それは運動です。
先述した通り、『頸部脊椎症』と『五十肩』等により肩凝りを引き起こすことがありますので、整形外科を受診した後、医師のコメントを聞いてまずは自分で運動するのが良いでしょう。
簡単にできる肩凝り体操の動画を2つ載せていますので、参考にしていただければ幸いです。
介護保険サービスを利用する
リハビリテーションに関するサービスを利用するのも一つの方法です。
例えば、通所リハビリや訪問リハビリがあります。
理学療法士や作業療法士または柔道整復師などによって、マッサージを受けるのです。
実際に実施してもらう時間は短いかもしれませんが、どのようにすれば肩凝りを解消できるかなどのアドバイスもしてもらいます。
ケアマネジャーと相談してプランに入れてもらうのもよいでしょう。

