ふとした事で「認知症のかも?」と思うのは、高齢者本人やその家族の心配事のひとつであると思います。
認知症は初期の段階での対応が大切で、病院等に行かずにタイミングを逃すとあっという間に悪化するケースも珍しくありません。
また、軽度認知症や若年者認知症などは、周囲の人が気付きにくいことがあり、対応が遅れることもあります。
「もしかして・・・」と感じた場合に気軽に対応してくれるのが、今回ご紹介する『脳の健康ダイヤル』です。
それ以外の簡易検査もご紹介いたしますので是非、参考になさって下さい。
認知症が疑われるケース

認知症は、記憶力の低下などによって日常生活や社会生活が困難になる状態を言います。
認知症は数年をかけて徐々に進行するため、早期発見による対策が欠かせません。
まずは代表的な6つの変化から見られる初期症状をご紹介します。
記憶障害
(例)
■ 何度も同じことを繰り返し尋ねてくる
■ モノを紛失することが多くよく何かを探している
■ 冷蔵庫にあるものを繰り返し購入する
■ 貴重な財布やカギをなくす
■ 新しいことが覚えられない
■ 予定を忘れやすくなる
見当識障害
(例)
■ 季節感がなく今日の日にちが分からない
■ 自分の年齢を忘れる
■ 休みの日に仕事に出かける
■ 気温や季節に適した服を選べない
■ 自分の住む地域で迷う
実行機能障害
(例)
■ 複数のことを同時並行で進められない
■ 料理の手順が分からなくなる
■ 家具・家電の操作が出来なくなる
■ 買い物で予算オーバーしてしまう
■ 薬の飲み忘れがあり、指示のある用量・用法を間違える
理解力・判断力・集中力の低下
(例)
■ 会話していても内容を理解できない
■ テレビやラジオの内容が分からない
■ 道路の信号機を見ても対応するタイミングが分からない
■ 自動車の運転中の操作ミスが増えた
■ 必要のない高額な商品をよく購入する
■ 悪徳商法に騙されやすい
■ ATMの操作が遅くなったり分からなくなる
■ 何事も集中が出来ず最後まで出来ない
感情の変化
(例)
■ 疲れやすくなる
■ 意欲が出ない
■ 自分の服装やメイクなどに無関心になる
■ 今までしていた趣味に取り組まなくなる
■ 食事への興味が低下し、食に関する喜びを感じにくくなる
性格が変化する
(例)
■ 極端なことを言うようになる (頑固になる)
■ 温厚な性格だったのに怒りやすくなる
■ 周囲の人たちへの配慮が出来なくなる
■ 自分がミスをしても受け入れられず人のせいにする
■ 人との関りが希薄になる
このような症状があれば「もしかしたら…?」と考えてみましょう。
脳の健康チェックダイヤルについて
ダイヤルの概要

「もしかしたら認知症かも?」と感じた人が直接電話をします。
直接、人間と会話するのではなく、ガイダンスに従い複数の質問に回答していくという流れです。
このダイヤルのメリットとして、電話越しですぐに結果が返ってくることが挙げられます。
脳の健康状態の判別はAIが行い、回答内容や発話中の沈黙、声の高さなどに基づき複合的に認知機能をチェックできるのです。
気軽に電話しても大丈夫?
結論から言えば、気軽に電話しても大丈夫です。
『NTT Com』と『株式会社 日本テクトシステムズ』で共同開発した認知機能みまもりAI「M-KENSA」を利用しています。
先述した通り・・・
■回答発話中の沈黙や声の高さ
■時間見当識
■即時記憶
■ワーキングメモリ
などをチェックすることで、5段階で認知機能の状態が確認でき、認知症の一歩手前の段階も把握することができるのです。
利用方法について
■提供開始日
2024年4月4日から
最近開始されたばかりのサービスです。
■利用料金・利用料金
NTTCOMの営業担当の方までご相談下さい。
ご利用頂いている電話会社によっては利用できないこともあります。
他の簡易的な認知症チェックは?

認知症は早期発見・早期対応が重要です。
これまでご説明したダイヤル以外に、病院に行かずに簡易的な認知症チェック方法がありますのでいくつかご紹介します。
自分で出来る気づきチェックリスト
スマホやパソコンで気軽に実施できるもので、東京都福祉局のホームページにあります。
「ひょっしたら認知症かな?」と思った本人やその家族が無料で利用することが出来ます。
10項目のチェックを行い、サイト上で結果を教えてくれます。
実際に筆者も実施してみましたが、難しい質問項目はなく3分程度で出来ました。
もし、認知症の疑いがあれば最後に相談窓口を案内してくれる仕組みになっています。
サイトはこちら↓
自分でできる認知症の気づきチェックリスト | 東京都の認知症ポータルサイト とうきょう認知症ナビ (tokyo.lg.jp)
兵庫県版認知症チェックシート
認知症の可能性について、本人やその家族などの身近な方がチェックすることができます。
このチェックシートの結果はあくまでもおおよその目安(参考値)で、医学的診断に代わるものではありません。
相談・受診をされる際には以下のものを持参されることをお勧めします。
①実施した認知症チェックシート
②状態や変化などを記載したメモ(おかしいなと思った症状がいつ頃からあったのか、どのような症状がどのように変化したのか、普段気になっている事など)
こちらから用紙をダウンロード↓
介護保険サービス利用中に実施する方法
デイサービスやショートステイをご利用されている場合だと、所属するスタッフに相談することによって、無料で実施してくれることもできます。
詳しくは、現在利用されているサービス提供事業所にお問い合わせください。
長谷川式スケールを用いて実施
医療機関や介護施設等で用いられて、認知症チェックの一つ手段として活用されています。
1974年に長谷川氏が開発し、1991年に「改訂長谷川式簡易知能評価スケール」として質問項目と採点基準等を改訂、現在の評価項目となりました。
この簡易検査は,認知症の鑑別の補助的検査として使用されることが多く、見当識や様々な質的に異なる記憶に関する項目で構成されています。
それらの情報が必ずしも実際の場面や介護支援の場面に活用されているとはいえませんが、この検査の存在を覚えていて損はないでしょう。
こちらから用紙をダウンロード↓
日本老年学会から出ているものなので安心してご活用下さい。
認知症を疑う結果が出た場合
まずは、主治医(かかりつけ医)もしくは、脳神経外科を受診しましょう。
認知症には様々な種類がありますが、治るものもあります。
そのため、早期発見、早期治療が重要になります。
仮に、治らないものだとしても、進行を遅らせる薬もありますので、積極的な受診をお勧めします。

上記の図解のように、病院では画像検査を行うことがありますが、認知症の種類を特定できる器械を設置していないこともありますので、そのようなケースは大きな病院を紹介してもらうこともあります。

