介護のはじまり

親の介護は子供の義務?家庭崩壊しないための方法とは

田舎では根強く残っている「親の介護は子供が行う」という考え。

今まで育ててくれて、大人になってもいつも気にかけてくれている『親』は誰にとっても大切な存在です。

親もやがて高齢になり、足腰が弱ったり認知症になれば、なんらかの支援や介護が必要になってくるでしょう。

そんな時に、一番頼りになるのが子供の存在ではないでしょか?

なるべく親の世話をしたいけれど、仕事や家族の関係で、そのような環境にない人もいるかと思います。

しかし、周囲の目はそれをすんなり認めてもらえず「親の介護もしないで、あそこの子供は何をしているんだ」と白い目見られることがあることもあるかもしれません。

地域で差がある考え方

先述しましたが、田舎になればなるほど「親の介護は子供、特に長男がするものである」と考える人も多いのが現実です。

近くに住む次男よりも、田舎を離れて都会で生活している長男が物事を決定するという家庭もあるようです。

田舎になるほど新しい考え方が入りにくい環境にもありますし、「隣の家でも長男が介護をしているから」など、体裁を考えて不本意ながら介護をしている人もいるのは確かです。

それぞれの家庭で差がある考え方

お爺さんを介護している女性のイラスト

「あなたの人生、あなたが好きなようにすれば良いよ」

「折角上京して成功したのだから、私達(親)のことは心配しなくても良いよ」

など、親の方から話してくることもあり、親は子に心配を掛けたくなくて、子供に介護をしてもらうことを遠慮することもあります。

このような場合、子供は「親自身がそう言うのならそうしようかな」と思う子もいれば、「そうはいっても自分の親。自分が介護するのが当たり前だ」と考える子もいるでしょう。

いずれにしても、家庭内で十分に話し合いがなされるのであれば、介護をしても、しなくてもどちらでも良いと思います。

大切なことは、考え方は家庭・個人で違っており、話し合いをしてまとまったら、それでOKだということです。

身体を動かすことだけが『介護』じゃない

親が高齢になり、介護を必要となる場合には主に・・・

①身体介護

家事援助介護

契約書関係の介護

の3種類があります。

よって、『介護が必要になる』というのは、このようなことをする必要があるのです。

①身体介護について

多くの人がイメージするのが身体介護でしょう。

・身体を支えて入浴し、背中を流す

・車椅子に乗せて移動する

・排泄後拭き取りを行う

・食事を食べさせる

・体位の向きを変える

・薬を飲ませる

・痛みのあるところをマッサージする

このようなものがあります。

②家事援助介護

ここまで連想する人は少ないですが、とても重要なことです。

本人に代わり生活しやすいように家事全般の手伝いを行い、生活しやすい環境を整えるのです。

・ベッド周辺の掃除

・生活スペースの掃除

・冷蔵庫の中の管理

・ベッドメイキング

・洗濯や片づけ

・買い物

このようなものがあります。

③契約書関係の介護

一番ピントこないかもしれません。

介護が必要になり、介護保険サービスを利用するようになれば、事業所と本人(家族)で契約書を締結する必要があります。

認知症もなく、要介護1や2であれば自分の書面にサインや押印も可能でしょう。

しかし、それが出来なければ家族が変わって契約書関係の手続きを行う必要があるのです。

施設に入所するようになり、もう介護をしなくても良いと安易に考えるのは危険で、身元引受人や身元保証人、キーパーソンという形で関りを継続しなけばなりません。

誰が介護をするかで揉めることも

子供が一人だけなら、その子が介護を放棄しない限りは家庭崩壊するケースは少ないかもしれません。

しかし、子供が複数おり、誰が介護をするかで揉めることも多々あります。

揉める原因となる大きなものとして『お金』があります。

少し生々しいお話になるので申し訳ないのですが、現実としてお金が絡んでトラブルになるケースがあるのです。

親の財産をアテにして、遺産等は自分で頂こうと考えるのです。

介護という形で関わることによって、財産にもタッチすることになり、どれぐらい保有しているか分かるようになります。

「介護はしないが、法定相続分はしっかり頂く!」

「必死に介護をしたのだから、少し多めに貰いたい!」

「親は遺言書を残しているのか!?」

口には出さなくても、心に思うことによりそれが行動として現れ、それまで良好だった関係が崩れるのです。

家庭崩壊しないために今できること

親であれば、役割分担をはっきりと子供たちに伝えておくことが重要です。

話し合いをしないまま、何となく雰囲気で・・・というようなことは無いようにする必要があります。

例えば、本当は長男に介護をしてもらいたいけれど、遠方に住んでいるので隣に住んでいる次男にしてもらえるかなぁ・・・と勝手に考えていたらいけません。

次男からすれば、介護が必要になれば長男が戻ってくるだろうと思っているかもしれません。

「・・・・だろう」

「・・・・と思う」

「自分は〇〇という考えだが、子供たちはどう思っているか・・・」

このように曖昧にしておくことは、リスクが高いのです。

長男の嫁などが介護をするケースも・・・

嫌煙家と愛煙家のイラスト

こちらも田舎などでよくある話ですが、子供(長男)が生まれた時点で「親の介護はあなたがするもの・・・」「墓守も任すよ・・・」等、言葉に出す、出さないは別としてもこのような文化があります。

さらには、長男だけに留まらずその嫁も介護を行うケースもあります。

『嫁』とはいっても、血が繋がっているわけではないので、身体介護に抵抗を感じる人も多いはずです。

嫁の立場として、「若い頃色々助けてもらったから、少しでも義理親の役に立ちたい」と考える場合だと良いのですが、無理やり介護を強いられる場合だと家庭が崩壊する原因になるかもしれません。

子供がいない場合には、その兄弟(姉妹)が介護をするケースもあります。

さらには、子供でなく『親』が介護をすることもあるのです。

例えば、独身男性が70歳で脳梗塞を発症し片麻痺になり、介護なしに日常生活を営むことができなくなれば、90歳の比較的元気な親が身の回りのことをするという場合もあるのです。

まとめ

脳梗塞などにより、突然介護が必要になることもあれば、加齢に伴い筋力低下などにより徐々に介護が必要になることもあります。

いずれにしても、誰かに頼って生活をしていくしかないのです。

それを実際に行うのは、子供かもしれませんし、そうでないかもしれません。

「介護をしてもらって当たり前」という気持ちがあれば、そうでない時のショックは大きいでしょう。

今は2000年から施行された介護保険制度を上手く利用して、家庭崩壊に繋がらないようにすることも大切な考えになってきています。

介護を家族だけで行うには限界があります。

できるところまで介護をするのも一つの方法ですが、介護保険サービスを上手く利用して、家庭崩壊しないようにしましょう。

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