リハビリ

高齢者の『ニワトリ歩き』とは?介護予防の心得3選!

歩くことは、日常の最も基本的な動作であることは多くの人がご存じでしょう。

そのためウォーキングを趣味にしている人も多いのではないでしょうか?

しかし、間違った歩行姿勢は膝関節などの痛みを招き、場合によっては筋力や生活の質の低下にもつながってしまいます。

ここでは『ニワトリ歩き』という歩行状態を例にとり、高齢になってもウォーキングを楽しむためには、どのような点に留意すれば良いのかを解説します。

ニワトリ歩きとは?

前傾姿勢で頭を前後に振りながら歩く歩き方を『ニワトリ歩き』と呼びます。

スマホを見るとき、パソコン作業をするときなど、私達の姿勢は常に前傾気味になり、頭が前に出てしまいがちです。

重たい頭が前に出ると、背骨の自然なS字カーブが失われます。

その状態で体重を支えるために、連動して骨盤が後ろに傾き、やがてはO脚になっていくのです。

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O脚になるとなぜいけないのか

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両足の踵とつま先をくっつけて立った時に、両膝の間に隙間ができてしまう状態を『O脚』といいます。

見た目がアルファベットの【O】に見えるのでそのように表現します。

さて、O脚になると何がいけないのでしょうか?

O脚になってしまうと、膝の変形や痛みを引き起こす『変形性膝関節症』の原因となる可能性があります。

また、足底や足首に負担がかかることで、『足底筋膜炎』や『外反母趾』などの変形や障害が起こることもあるのです。

そして身体のバランスまでも悪くなり、さらに身体全体の歪みを強くしてしまいます。

変形性膝関節症

変形性膝関節症は膝関節に痛みが生じる高齢者の代表的な病気で、女性に多いという特徴があります

膝関節表面の軟骨が月単位、年単位という長い年月をかけて少しずつすり減ることで、関節の変形や症状が徐々に出現します。

一度すり減った軟骨は自然に治ることはありません。

足底筋膜炎

足底筋膜炎とは、足裏のかかと~足指の付け根の足底筋膜で炎症・痛みが起こる疾患です。

朝起きてから、あるいはしばらく休んでからの第一歩目など、安静後の始動時に痛みが出やすいという点が特徴です。

マラソンなどの足裏に負担のかかる運動、長時間の立ち仕事などが主な原因となります。若い世代よりも、中高年での発症が目立ちます。

外反母趾

外反母趾のイラスト

外反母趾はよく耳にする言葉だと思います。

健常な足には縦のアーチだけでなく横のアーチがあります。

外反母趾ではこれらのアーチが崩れて扁平足になると、母指の中足骨が扇状に内側に開き、それから先の指は逆に靴で外側に圧迫されておこります。

外反母趾は40代以降に発症する女性も多く、健康のための運動ができないという高齢者にとって良くないことが起こります。

高齢者にとって、歩行は健康維持にとって歩くことは大変重要なことです。

それが難しくなると、活動量が低下してしまいます。

気持ちも落ち込みがちになり、認知症発症の心配も出てくるでしょう。

高齢者の歩行の特徴

高齢になると歩くことがだんだん大変になってきます。

これは下肢の筋力の低下や、関節の可動域が狭くなることで起きる現象です。

「なんだか歩きにくい」と感じて歩く回数が減っていくと、ますます筋力が弱くなります。

すると姿勢も悪くなり、それに伴ってまた歩きにくくなってしまうのです。

このように高齢者の歩行は悪い循環が起こってしまう傾向にあります。

それでは、その傾向があるかを確かめてみましょう。

高齢者の方に共通する『ニワトリ歩』以外の歩き方の特徴のうち、わかりやすいものを以下にまとめました。

歩くスピードが遅くなる

以前と比べて歩く速度が遅くなっていることが多くなります。

個人差はありますが、正常な歩行速度は1秒あたり1.37mと言われています。

リハビリの現場で多く活用されている歩行評価の指標(1秒で1m進む)を目安に測ってみると良いでしょう。10mを10秒で歩ければ大丈夫です。

歩幅が短くなる

筋力の低下や関節の可動域の減少によって、歩幅が短くなることがあります。

歩幅が短くなると自然と歩く速度も遅くなるという仕組みです。

体が前に倒れ猫背になる

高齢になると、関節を動かせる範囲(関節可動域)が狭くなっていきます。

背中や股関節、膝関節をまっすぐ伸ばしきれず、自然と前かがみになることがあるのです。

下肢が上がりにくくなる

筋力の低下によって下肢が以前ほど上がらず、ちょっとした段差でつまずきやすくなることもあります。

両足の幅が広くなり、体が左右に揺れるようになる

体のバランスを取りやすくするために、両足の幅が広くなることもあります。

足が地面についている時間が長くなる

バランスを取るために、片足で地面に立つ時間が減り、両足が地面についている時間が長くなってしまいます。

介護予防の心得

上記の高齢者の歩き方の特徴を踏まえて、今以上に歩行状態が悪くならないようにどうすればよいか解説します。

ここでは、比較的元気で、杖や歩行器を使用しないで歩ける高齢者を想定します。

①介護予防の第一歩はウォーキング!

歩くことはとても良いことです。

単に身体の機能的な側面でメリットになるだけでなく、心もリフレッシュすることができます。

特に太陽が出て間もない、朝散歩は幸せホルモンである『セロトニン』が多く分泌されるメリットもあります。

幸せホルモン『セロトニン』とは

セロトニンは、人間の精神面に大きな影響を与える神経伝達物質であり

■レアルアドレナリン

■ドーパミン

この二つに並び体内で特に重要な役割を果たす三大神経物質の一つなのです。

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セロトニンが不足すると精神のバランスが崩れ、暴力的になったり、うつ病を発症する原因ともなりますので、高齢になっても意識した生活が必要です。

また、脳内に存在する神経伝達物質のひとつであり必須アミノ酸である『トリプトファン』から作られ、主に大脳基底核や延髄の縫線核、視床下部などにあります。

『怖い』という意識に影響する神経伝達物質の『ノルアドレナリン』や『快楽』に関連する神経伝達物質の『ドーパミン』などを制御し、精神状態を安定にする働きがあるのです。

朝散歩をする理由として、セロトニンは朝日を浴びることで分泌が促されます。

そのため、起床したらカーテンを開け、しっかり日差しを浴びて脳を起こすことも大切です。

また、セロトニンは日中に分泌量が多くなるため、規則正しい生活をすることも大切です。

セロトニンの分泌を促せるように、早寝早起きをすることもお勧めします。

②メリハリのある生活をする

夜になれば眠って、朝になれば起床し活動する・・・

若い頃には当たり前にできていたことですが、加齢に伴いこのような生活のリズムが整わない傾向にあります。

田舎暮らしで、農作業をする人は日中に活動する習慣があるかもしれませんが、会社勤めをしていた人は定年退職後には時間を持て余してしまうケースもあると思います。

夜には休んで、日中は活動する。

若い頃と同じような生活リズムでメリハリのある生活をすることは介護予防の第一歩です。

そのためには・・・

・趣味の時間をつくる

・散歩やウォーキングをする習慣をつける

・TVばかり観ない

・決まった時間に起きるようにする

などを心がけるようにしましょう。

③自炊を心がける

独居生活や夫婦二人暮らしになると、少ない人数分の食事を作り食べることが億劫になります。

しかし『食事を作る』までには様々な過程があり・・・

食べたいものを考える

買い物に行く

作る(調理する)

食べる

片づける

といった過程があります。

文字で書くと単純なようにも見えますが、自炊は意外と脳を多く使わないといけませんので、いつまでも脳を働かせるためには有効なのです。

もちろん、栄養のあるものを食べるという意味でも価値のある行為といえるでしょう。

とはいっても、毎日、毎食の自炊が大変だと感じる場合には無理する必要はありません。

時には配食サービスなどを利用するのもひとつの方法です。

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