みなさんは唾液の役割について深く考えたことはありますか?
「食べ物を口に運んだ時、唾液と混ざって食べやすくなる」と考える人が多いのではないでしょうか。
しかし、唾液の役割はそれだけではありません。
若い頃は気にしていなかった『唾液』の存在ですが、高齢になればなるほど大切な役割があることを意識して生活するようになることでしょう。
唾液とは何か
冒頭でお話しましたが、唾液の働きは「食べ物の消化を助ける」とイメージしている方が多いのではないでしょうか。
唾液に含まれている「アミラーゼ」という酵素によってデンプンの分解をサポートするなど、食事をするうえで欠かせませんが、他にもさまざまな役割を担っています。
例えば、「唾液が少なく口内が乾燥した状態では、細菌が繁殖して口臭トラブルのリスクが高くなる」などがあります。
唾液の仕組み
まずは唾液の仕組みについてご説明します。
唾液は口腔内にある「唾液腺」から分泌されており、成人の分泌量は1日あたり1.0~1.5リットルほどもあるとされています。
思った以上に多いと感じたのではないでしょうか?
夜眠っている間は日中に比べて分泌量が抑えられるため、口内の細菌が繁殖するなど唾液の働きが低下します。
また、ストレスや薬による影響など、さまざまな理由で唾液の分泌量は変化するのです。
唾液の6つの役割

この記事の中心である、唾液の役割について6つご紹介します。
1.消化を助ける
唾液には消化を助ける消化酵素という成分が含まれています。
唾液に含まれる消化酵素はアミラーゼといい、咀嚼(噛むこと)によって食べ物と混ざり合い、炭水化物(デンプン)を糖(麦芽糖)へと分解してくれます。
2.口腔内の清潔を保つ
唾液に含まれる抗菌物質や免疫グロブリンは、細菌やウイルスの増殖を抑制し、口腔内を清潔に保ちます。
これにより、虫歯や歯周病の予防にも役立ちます。
また、唾液には酸中和作用もあり、口腔内の酸性環境を中和することで歯のエナメル質を保護し、酸による歯の溶解を防ぎます。
3.味を感じやすくする
唾液が少なくなると、味を構成している物質が味蕾へ届きにくくなります。
さらに、口の中の潤いが少なくなることで、舌と物とこすれて炎症が起こってしまい、味蕾が働かなくなってしまったり、味蕾自体が無くなってしまったりするのです。

つまり、だ液が少なくなると食べ物の本来の味がわからなくなる『味覚障害』になってしまう可能性があるのです。
私たちは、主に
甘味
酸味
塩味
苦味
うま味
といった5つの味を複雑に感じながら食事をしています。
特に、舌の炎症により起こりやすい味覚障害は「塩味」で、「酸味」と混同しやすくなってしまいます。
唾液の量が少なくなる原因は、いろいろなケースが考えられますが、食事の時によく噛まないことも1つの原因として考えられます。
よく噛むことにより、食べ物が細かく砕かれるだけでなく、唾液の分泌が促進され、唾液の中に含まれる消化酵素のアミラーゼが糖質を分解し、より体内に吸収しやすい状態になります。
しっかりとした歯を保ち続けることは、唾液の分泌を促すことに繋がり、結果として、美味しい食事を味わえることになります。
4.飲み込みやすくする

咀嚼は、口の中で食べ物を飲み込みやすいように唾液と混ぜながら、食べ物の塊を作る工程です。
食塊が形成されると飲み込みの反射(嚥下反射)が起こり、食塊が咽を通過します。
これが飲み込む、すなわち嚥下(えんげ)です。
そこに唾液が自然に分泌されると、食塊混じって食道まで入りやすい水分を含んだ状態となり、胃まで円滑に運ばれる役割がありのです。
5.口腔内の健康を保つ
実は唾液自体には、以下のような作用があります。
①抗菌物質や免疫グロブリンが含まれており、細菌やウイルスの増殖を抑える
② 酸中和作用があり、歯のエナメル質を保護する
③ 食べ物のカスを洗い流し、口内を清潔に保つ
④ 粘膜を保護し、口の中の動きを滑らかにする
いかがですか?
唾液自体がこのような役割を果たしていると考えたことは無かったと思います。
一般的に食事をするときには、唾液の分泌が多ければ多いほど良いとされています。
そのためには出来ることは下記の通りです。
① よく噛んで食べる
② ガムを噛む
③ 水分を補給する
④ 鼻呼吸を心がける
⑤ 唾液腺マッサージをする
⑥ レモンや梅干しなどのすっぱいものを食べる
⑦ 昆布や納豆、セロリ、ニンジン、アーモンドなどを食べる
⑧ 歯ブラシなどで唾液腺を刺激する
しかし、実際には高齢者が出来る事は限られるでしょう。
ガムを噛むことが出来れば良いのです、義歯や歯が無い状態でガムを噛むのは難しいでしょう。
一番お勧めなのは、唾液のマッサージです。
顎のしたをゆっくり上に向かって押してみて下さい。じわっと唾液が出てくるのが分かります。
食事の前に刺激をすると、分泌量が増えるでしょう。
6.全身の健康状態を保つ
こららのように、一定の唾液が分泌されれば、口腔内だけでなく全身の健康状態を良好に保つことができるのです。
例えば、不衛生な口腔内にある唾液が肺に流れ込んでしまうと『誤嚥性肺炎』を引き起こします。
引き起こしてしまうと全身状態は低下し、食事が食べられなくなり点滴などに治療に入ります。
唾液がしっかり分泌されており、口腔内も清潔であればこのようなことは起こらず、全身の健康状態を維持できることになるでしょう。
唾液が少ない(ドライマウス)対策
唾液は人間の健康状態を維持するために、必須であることがご理解して頂けたと思います。
しかし、唾液の分泌が減少して『ドライマウス』が起きてしまうケースもあります。
年齢を重ねるにつれて、周りの筋肉や歯の衰えなどから咀嚼力が低下するため、唾液の分泌量が少なくなります。
加齢と共に分泌能力も低下するというわけです。
また、女性ホルモンの低下も関係します。
女性の場合、更年期になると女性ホルモンの分泌が低下すると言われています。
それに伴って唾液の分泌量も減少するというわけです。
私たちがよく問題視する『ストレス』も関係します。
唾液腺は自律神経に支配されているので、ストレスがあると交感神経が強く働いて、唾液の分泌が抑制されます。
その他として、生活習慣的なところで、早食い、よく噛まない、喫煙などの影響で唾液の分泌が減少します。
病気では糖尿病や甲状腺関連疾患でも減少します。
ドライマウス対策
■食べ物をよく噛んで食べる
ドライマウスの人は、口の中の潤いが少ないため食べ物が飲み込みづらいことから、軟らかく噛まずにすむ物を食べる傾向にあります。
しかし、軟らかい物ばかり食べていると益々唾液の分泌量が減ってしまうので悪循環になります。
唾液をたくさん出すためには、よく噛んでゆっくり食べることが必要です。
■唾液分泌を促すものを摂る
レモンやミカンなどの柑橘類、梅干しなどを食べて唾液の分泌を促しましょう。
ガムも効果がありますので、砂糖の入っていないタイプのガムが良いでしょう。
■保湿ケア保湿ケア製品を使って口の中の乾燥を予防します。
お茶や水を時々口に含ませることでも乾燥からガードできますし、乾燥が酷い場合は、歯科や歯科口腔外科に相談しましょう。
■部屋が乾燥しないようにする
乾燥した部屋にいると益々、口の中が乾きます。
冷暖房の効かせすぎに注意し、加湿器などを使って部屋が乾燥しないように注意が必要です。
高齢者が気をつけること
唾液は身体にとって必要不可欠であることが分かりました。
さらに、ドライマウスを予防していく必要性もあることをご理解頂けたと思います。
高齢者の場合、唾液が減少傾向となるため、積極的に分泌を目指さないといけません。
しかし、ここで取り組むのはなかなか難しいと思います。
そこでお勧めするのが、介護保険サービスを利用する場合や地域で開催されるサロンに参加し、口腔体操を集団で実施することです。
口の中のリハビリの専門職として、言語聴覚士があります。
言語聴覚士が直接指導してくれる場合もありますが、代わって介護スタッフなどが指導してみんなが一緒になって口腔体操を行なってくれます。
家の中に閉じ困らず、積極的に参加してみてはいかがでしょうか。

