アゴは発声したり食べたり(咀嚼)したりする大切な関節です。
そんなアゴですが、加齢により機能が衰えてしまう部位のひとつなのです。
アゴの機能の衰え・・・
考えただけでも生活に支障がでることが容易に予測できます。
今回はそんな高齢者のアゴについて解説したいと思います。
加齢がアゴに与える影響
加齢による姿勢の変化として、全身の筋力の低下があり、さまざまな全身各所の加齢変化を伴っている可能性があります。
その一つとして、呼吸・嚥下機能を担う喉頭の位置の変化とアゴの位置の変化があるのです。
姿勢も悪くなり、頭部の位置が前方へ変化することにより、若い頃とは違う状態になると、舌骨の位置変化なども加わり、そのすべてがアゴの位置に影響を与えている可能性があります。
そのアゴの位置の要となる顎関節にも、高齢者特有の器質的な変化がみられ、アゴの位置は不安定になっていきます。
90歳、100歳にもなった高齢者の顔を見ると、アゴが何だか不自然になっているのを見かけることがあります。

それは、このようなことが原因だったりします。
顎関節症に注意
口を開け閉めするときに
「あごが痛い」
「あごが鳴る」
「口が開けづらい」
などの症状があれば、それは顎関節症(がくかんせつしょう)の可能性が高いです。
そのまま放置しておいても自然に治ることもあります。
必ず悪化していくというものではないですが、重症になると手術が必要となったり、開口障害により食事の摂取が困難になったりする人もいます。
顎関節症で悩んでいる人は、ここ十数年で何倍にも増加したとも言われます。
子供から高齢者まで幅広くみられる病気ですが、年齢性別では10代半ばから増え始め20~30代の女性に多いのが特徴ですが、高齢者がこの病気になると、栄養状態が不良になるので注意が必要です。
大きく口を開けたときに耳の前1センチくらいに動くところがあります。これが顎関節なのです。
口を大きく開けたときにいつもここが痛んだり、いつも音がしたり、口が開けにくくなってきた場合は一度歯科医院で診てもらうことをおすすめします。
顎関節症が与える影響

顎関節症はアゴの関節や顎の筋肉の病気で、顎を動かすことで痛みを感じます。
先述しましたが、口が開けづらい、顎が痛い、顎の関節がカクカクなる・・・
といった自覚症状がある他にも、身体の与える影響はさらに広がり・・・
■頭痛
■首凝り
■肩凝り
■腰痛
■めまい
■耳鳴り
■耳が詰まった感じがする
■手足のしびれ
などの全身症状とも関連が深いと考えられています。
さらに酷くなると・・・
■いびきをかく
■日中も眠い
■疲れが取れない
このような症状も出ることから、『睡眠時無呼吸症候群』とも関連があるのではないかと言われています。
個人差があるものの、さまざまな全身症状を同時に複数伴うことも少なくなく、若い人だけでなく高齢者も長年にわたって深刻な症状に悩んでいる人も少なくはありません。
顎関節症は放置で大丈夫?
そのまま放っておくと顎関節症は進行するケースが多いです。
高齢者の場合、さらに口が開けづらくなって・・・
■食事が食べにくくなる
■硬い食べ物が噛めない
■噛むと顎が疲れる
など日常生活での食事や会話に不便を感じるばかりか、栄養摂取状態も悪くなるので、深刻な状態となります。
高齢者の場合だとそれを放置し続けると・・・
■口がほんの少ししか開けられない
■歯並びが悪くなる
■慢性的な痛みが生じる
■頭痛やめまい
■睡眠障害
など顎関節症に起因して起こる症状もひどくなることが考えられます。
一般的に、指を3本立てた幅の分だけ縦に口が開けば問題ないとされています。
指2本分も口に入らず、日常生活で不便を感じているようであれば、早期に病院を受診するようにしましょう。
自分でできる顎関節症の治療方法
まずはセルフケアがおすすめです。
セルフケア
まずは自分で治療を行う方法がありますが、これは初期段階に限られるものですので、受診の結果、病院での治療をすすめられたら、そちらを優先しましょう。
①痛みがある場合は硬いものは避け、やわらかいものを食べる
②痛みを軽減させるためにアイスノン等で冷やす
③肩・首・あごのストレッチや、マッサージをしてみる
④就寝時など歯科医師の指示に従いマウスピースを装着する(スプリント療法)
⑤生活習慣や癖を見直してみる
これらについては、誰でも簡単に実施できると思います。
しかし、継続しないと効果が出ないことがデメリットでもあります。
痛みが落ち着いている場合は、以下のようなセルフケアもしてみましょう。
1⃣ 1日に20分間ほど蒸しタオルを当てて温める
2⃣ 口を開けた時に痛む場所を、手のひらまたは2~3本そろえた指先で優しく円を描くようにマッサージする
3⃣ 開口訓練をする
マウスピースについて

マウスピースをすることで症状が軽減する事はありますが、歯ぎしりなどがなくなるわけではなく、やめてしまうと症状が戻るため長期的に使用していくことが大切です。
マウスピースは歯科でつくることができますので、相談するとよいでしょう。
使用する治療期間は、一般的に半年から1年ほどです。
治療開始から2週間経過しても改善傾向がない場合は、担当医に申し入れて専門医へ紹介してもらうとよいでしょう。
また、マウスピースを使用すると、起床時に顎関節や顎周辺に痛みやだるさを感じることがあります。これは、普段とは異なる位置での固定が原因です。
就寝前や起床時に顎関節周辺を優しくマッサージしたり、歯科医院でマウスピースの調整を受けることで対処するといいでしょう。
顎関節症だけでないアゴのトラブル
高齢者は、下顎頭の吸収や関節窩の浅化などが変形をして、脱臼が発症しやすくなるといわれます。
また、脳血管疾患のある高齢者やパーキンソン症候群の高齢者では咀嚼筋の協調運動がスムーズにおこなわれずに、脱臼を起こしやすくなるといわれています。
一度脱臼を起こすと再発しやすく、何度も脱臼してしまう場合は特に習慣性顎関節脱臼と呼びますが、高齢者にはこの症状が多いです。
脱臼した本人は勿論、痛みを感じます。
しかし、それと同等に大変なことが起こります。
それは、『食べる』という行為ができないことです。
顎を閉じたり閉めたりして『食べる』という行為が行われますが、口が開いたままになるので食べ物の摂取が出来なくなって、栄養不足に陥ることも考えられます。
介護施設などにおいて、介護や看護の専門家が脱臼に気付く場合はありますが、家庭ですとなかなかそれに気が付かない場合もあるようです。

