年齢を重ねてくると、医療機関への受診が増える傾向があります。
治療中の疾病はもちろん、ある日突然病気を発症することも少なくありません。
そういった状況の中で今一度確認しておきたいのが「リビングウィル」です。
この記事では、将来的に自分の身に何かが起こったとき、自分の意思を尊重した医療に対する考え方を示す「リビングウィル」についてご紹介します。
リビングウィルとは?

「リビングウィル」という言葉は、あまり浸透していないかもしれません。
はじめに「リビングウィル」とはどういったことなのか、定義や重要性についてご紹介します。
リビングウィルの定義
リビングウィルとは、将来、自分が医療行為を受ける際の希望や意思を事前に文書で明確に示すものです。
特に終末期医療や延命治療に関して、自身の意思を家族や医療従事者に伝えることを目的としています。
たとえば、「人工呼吸器や心肺蘇生などの延命措置を希望しない」や「痛みを和らげる治療を優先する」などの具体的な希望を残すことが可能です。
リビングウィルは本人が意識を失ったり、判断能力を失った場合に備えるためのもので、自分らしい最期を迎えるための重要な手段の一つ。
家族や医療従事者と共有し、意思を明確に伝えることで、家族の負担を軽減し、望む医療を受けるためのサポートとなります。
リビングウィルの重要性
リビングウィルは、終末期医療や延命措置に関する自分の意思を事前に明確に示すことで、本人とその家族に多くのメリットをもたらすことに重要な意味を持ちます。
意識を失ったり、判断能力がなくなった場合でも、自分が望む医療を受けることができるため、本人の尊厳を守ることが可能です。
また、家族にとってもリビングウィルは大きな助けになります。
本人の意思が明確でないと、医療の選択に迷いや負担が生じることがありますが、リビングウィルがあれば、家族が本人の希望に基づいて判断を下せるため、心の負担を軽減できるでしょう。
重要なのは、作成したリビングウィルを家族や主治医に共有し、意向を周知すること。
そうすることで、医療現場でも患者の意思を尊重した治療を進めることが可能になります。
アドバンス・ディレクティブとの違い
アドバンスディレクティブとは、リビングウィルを含むより広い概念で、将来の医療方針全般について事前に指示を出すものです。
延命措置の希望に加え、具体的な医療行為に関する指示や、治療を代わりに決定する代理人(医療代理人)を指定する「医療代理指示書」も含まれます。
リビングウィルが延命治療の選択に特化しているのに対し、アドバンスディレクティブは医療全般の意思を表すものです。
リビングウィルは延命措置や終末期医療に特化し、アドバンスディレクティブは医療全般に対応するという違いがあります。
リビングウィルを作成するメリット

終活の一環として注目されているリビングウィル。
リビングウィルを作成する主なメリットを3つご紹介します。
自分の意思を反映した医療を受けられる
リビングウィルを作成するメリットは、意識を失ったり判断能力がなくなった場合でも、自分の意思に基づいた医療を受けられることです。
希望を明確にすることで、自分らしい最期を迎えることができ、医療方針における不安を軽減できます。
医療現場でも患者の意思が共有されることで、適切な治療方針を迅速に決定する助けとなるでしょう。
家族の負担を軽減できる
リビングウィルがあれば、家族が終末期医療や延命措置について迷うことが少なくなります。
本人の意思が不明確だと、家族が判断を迫られる場面で心理的な負担が大きくなりますが、リビングウィルに希望が記載されていれば、それを基に判断を下せるため、迷いや葛藤を減らすことができるでしょう。
家族間の意見が分かれた場合でも、リビングウィルが意思の明確な証となり、無用な争いやトラブルを避けることができることもメリットです。
医療現場での対応がスムーズになる
リビングウィルを通じて、患者の希望が医療従事者に正確に伝わることで、治療方針の決定がスムーズになるメリットもあります。
特に、延命措置を行うか否かといった重要な決断が必要な場合、リビングウィルがあれば医療スタッフも迷わず本人の意思に沿った対応を取ることができるでしょう。
リビングウィルに記入すべき項目

リビングウィルを作成する際には、記入すべき項目があります。
- 延命治療の希望:人工呼吸器や心肺蘇生・人工栄養補給の使用の是非
- 疼痛管理の方針:痛みを和らげるための緩和ケアの希望
- 終末期医療の選択:回復の見込みがない場合の治療方針
- 臓器提供や献体の意思:臓器提供や献体に関する希望
- その他の医療行為への希望:血液透析や輸血などに関する具体的な要望
- 家族や医療従事者への伝言:医療方針に関する付加的なメッセージや注意事項
リビングウィルは、自分の価値観や医療への考えを具体的に反映するための重要な文書です。
特に延命治療の希望や疼痛管理の方針を明確にすることで、万が一のときに自分の意思を医療従事者や家族に伝えることができ、臓器提供や献体の意思を記載することで、社会貢献の意志を示すことも可能です。
具体的で簡潔な記述が信頼性を高めるポイントになるので、作成時には項目だけではなく、記述内容にも留意してください。
リビングウィル作成時に気をつけたいポイント

リビングウィルを作成する際には、注意しなければならないポイントがあります。
作成する際の注意点を5つご紹介しましょう。
自分の価値観や希望を明確にする
リビングウィルを作成する際、自分がどのような医療を望むかを具体的に考えることが重要です。
「延命治療を望まない」「緩和ケアを優先する」など、自分の価値観に基づいた希望を明確に記載することで、医療従事者や家族に自分の意思を正確に伝えることができます。
医療行為に関する知識が不十分な場合は、医師や専門家に相談して理解を深めましょう。
家族や信頼できる人と話し合う
リビングウィルを作成する前に、家族や信頼できる人と話し合い、意思を共有することが大切です。
作成者の意思を知っておくことで、実際に意思を代弁する場面が来た際にスムーズに対応できます。
また、家族の間で意見の食い違いを防ぐため、事前に自分の希望を説明しておくことが必要です。
医療従事者や法律専門家に相談する
リビングウィルを作成する際、医師や看護師、法律専門家に相談すると、内容の正確性や妥当性を確認できます。
医療行為に関する項目では、専門的な助言を受けることで現実的な選択肢を把握できるでしょう。
また、法律の観点からアドバイスを受けることで、リビングウィルが適切に活用される可能性が高まります。
定期的に内容を見直す
リビングウィルは、一度作成したら終わりではなく、定期的に内容を見直すことがポイントです。
人生の状況や健康状態、価値観が変化することがありますので、その変化に合わせて内容を更新することで、常に自分の意思が正確に反映されます。
見直しを怠ると、現状にそぐわない内容のまま利用されるリスクがあるので、注意が必要です。
文書の保管場所と共有を徹底する
作成したリビングウィルは、家族や医療関係者がすぐに確認できる場所に保管し、必要に応じてコピーを配布しておくことが重要です。
特に、主治医や家族には必ず内容を共有しておきましょう。
文書が適切に保管されていないと、緊急時に意思が反映されない可能性があります。
リビングウィルを作成する際の主なサポート先

リビングウィルを作成する際には、専門家の適切な助言を受けることが大切です。
どんなところに相談できるのか、主な相談先をご紹介しますので、参考にしてください。
医療機関(主治医や病院)
医療機関はリビングウィル作成時の重要なサポート先です。
医師は、治療方法や延命措置に関する専門知識を持っているため、リビングウィルに記載する内容を現実的に理解するための助言を提供してくれます。
具体的な治療方法や医療方針についての理解を深めることができるため、医療現場で実際に自分の希望を尊重してもらうことが可能です。
病院によっては、リビングウィル作成をサポートする専門スタッフがいる場合もあります。
介護施設・ケアマネジャー
介護施設やケアマネジャーも、リビングウィル作成時のサポートを提供できます。
在宅介護や施設での介護が関わる場合、ケアマネジャーは患者の状況に合わせたアドバイスを行い、リビングウィルに含めるべき項目を考慮することが可能です。
介護の現場での実務に精通しているため、患者の希望をどのように医療・介護サービスに反映させるかを具体的に提案してくれるでしょう。
弁護士
弁護士はリビングウィルの法的な側面をサポートしてくれます。
リビングウィル自体は法的効力を持たない場合がありますが、法律の専門家に相談することで、法的な観点から有効性を高める方法を教えてもらうことが可能です。
また、医療代理人を指定する際や意思決定の代理に関する事項についても、法律的に適切な記載方法をアドバイスしてくれます。
市区町村の福祉相談窓口
市区町村の福祉相談窓口は、リビングウィル作成のための情報提供を行っています。
地域によっては、リビングウィルや終末期医療に関する講座を開いたり、書式や記入ガイドラインを提供したりしているケースも。
特に高齢者向けのサービスを提供している役所の窓口では、リビングウィル作成に関するサポートを積極的に行っているところもあり、多くの場合は無料で利用できるため、手軽に利用できるでしょう。
まとめ

リビングウィルは、将来の医療や終末期の治療に関する個人の意思を事前に示すための重要な文書です。
事前に作成しておくことで、意識を失ったり判断能力が低下した際に、自分の希望が医療現場や家族に伝わり、尊重されることができます。
特に、自分が望む医療を明確にし、家族や医療従事者と事前に共有することが重要です。
作成時には専門家からアドバイスを受けることで、内容の実現可能性や法的効力を確認することができ、より信頼性の高いリビングウィルを作成することができます。
リビングウィルは、家族や医療関係者の負担を軽減し、自己決定権を尊重するための重要な手段です
自分の意思を確実に反映させるために、しっかりとした準備と情報収集を行いましょう。

