犬や猫などの動物は、なつくととても可愛く、日々の生活に癒しを与えてくれると思います。
もちろん、高齢者だけでなく、子どもであっても、障害のある人でも、精神的に安心することもあるでしょう。
しかし、可愛くて癒してくれるからといって安易に飼ってもいいのかと心配に思う人もいると思います。
今回は、高齢者がペットとして飼うことについての記事を書かせて頂きます。
高齢者にとってのペット生活
アニマルセラピーという療法がありますが、高齢者にとってペットはプラスに作用することには間違いありません。
高齢者がペットと生活を共にすることについては、高齢者にとって『幸せを感じる』との視点、動物愛護の視点を含め、さまざまな意見があります。
特に独居の高齢者については、孤独感の軽減や心の支えにつながる、規則正しい生活・健康維持をもたらすなど、多くの効用を重視する考え方があります。
一方で、施設入所や入院、死亡時のペットの世話や受け入れ先手配の困難さなど、動物愛護の視点から高齢者特有の課題を重視する意見もあることも事実です。
高齢者がペットを連れて散歩をしている姿をよく見かけますが、その中で、偶然の出会いが会話につながり、楽しい時間を創出しているようこともあるでしょう。
しかし、自身が高齢者となり一緒に暮らしていたペットが亡くなった際に、改めてペットを迎えることを「自分が亡くなった後を考えると可哀そうなので」との理由であきらめた独居高齢者の声を耳にすることもあります。
独居高齢者がペットと暮らすことのメリットとデメリットについては、人それぞれの考え方があるでしょう。
しかし、多くの効用が認められているのであれば、課題を直視してできる限りの対応をすることで、最善の選択の可能性を探っても良いのかもしれません。
ペット生活の効果
高齢者がペットと暮らすことで得られる意義については、様々な意見があります。
例えば・・・
■散歩による運動不足の解消
■認知機能の維持・向上
■孤独感の軽減と心理的安定
■周辺住民との交流
■住民との地域活動の参加
■生活のリズムの改善と規則正しい生活
特に独居高齢者の場合、ペットと暮らすことの効用は大きいと思われます。
独居高齢者の場合、家族や友人との交流機会の減少や社会とのつながりの希薄化から、日常的に目配り・気配り・声掛けをしてくれる人がいないため、適度な運動、人とのつながり、生活リズムの維持など、安心・安定した生活に必要なことが損なわれる可能性が高くなるでしょう。
これをペットと生活することで補うことができれば、独居高齢者が『幸せを感じる』生活を送る一助となり、また、心身の健康状態を良好に保てる可能性が増すことで、介護・認知症の予防につながることも期待できるでしょう。
ペット生活の課題
一人暮らしの高齢者がペットと暮らすことが、自立した生活を維持し、『幸せ』の向上につながることが期待されるでしょう。
しかし良いことばかりではなく、様々な課題も想定されます。
特に、経済的な負担や動物愛護の精神に抵触してしまう可能性が大きな問題につながるでしょう。
例えば、飼育に関係する経済的な負担について考えてみます。
■犬の場合・・・
月の支出が平均約1万4千円ともいわれ、生涯の支出は約245万円(平均寿命14.6歳)となります。
■猫の場合・・・
月の支出が平均約8千円ともいわれ、生涯の支出は約150万円(平均寿命15.79歳)となります。
このように、一人暮らしの高齢者の経済状況によっては決して無視できない負担があるのです。
経済面での課題では、高齢者自身の生活維持に支障をきたすような場合には、ペットの栄養・健康・衛生面などでも配慮が必要です。
ペットは民法上では『物』としての位置づけになってしまい、飼い主がペットを『所有物』として捉えてしまうこともあります。
体力的・経済的な部分で、自分の都合によって安易に放置したり、放棄や殺処分につながる可能性は否定できないでしょう。
それが、高齢者がペットと生活することに対して、「ペットの生涯にわたり自分で十分な世話ができないのに、ペットを飼うのは無責任だ!」との批判がなされる理由の1つでもあります。
ペットの障がいや病気等の対応
障がいや病気になるのは、人間だけではありません。
『老老介護』『認認介護』という言葉がありますが、動物(ペット)と人間との間においても、このような状況になる可能性は十分あります。
例えば犬の病気の場合・・・
■第1位:皮膚炎
■第2位:外耳炎
■第3位:胃腸炎
■ 第4位:下痢
などがあります。
他にも感染性のものとして・・・
■フィラリア症
■狂犬病
■ケンネルコフ
■犬ジステンパーウイルス感染症
■犬パルボウイルス感染症
■犬コロナウイルス感染症
■レプトスピラ症
■破傷風
などがあります。
事故による骨折や病気が引き金になり、障がいになることも考えられます。

そのような状況になった場合、それらのペットを最期まで支援できるのか?というのも飼い主の責任としてと問われるでしょう。
近年、猫をペットとして飼うことが増えています。
猫の場合には繫殖力もあるので、避妊手術をしないでいると知らぬ間に子猫が増えていくと事態も考えられます。
増えた子猫の飼育も、勿論飼い主の責任であり、それが高齢者であっても同じ『命』の重さを持つのです。
少し古いデータにはなるのですが、平成30年度の全国の犬猫殺処分数は約38000頭という報告が出ています。
そのうち、猫の殺処分数は30000頭ともいわれています。
全体的に減少傾向にはありますが、犬ほどではなく、現実に数万頭の猫が処分されていることも意識しないといけないでしょう。
高齢者でも安心してペットを飼うために
高齢者のペットとの生活はプラス面もかなり大きいですが、その一方で気を付けないといけないことも多いことが分かりました。
良い面・悪い面、全てをことを理解してそれでもペットとの生活を選択した場合のことについてお話します。
年齢的に考えて、飼い主の方がペットより先に亡くなる可能性がある場合は、『飼い主が亡くなった後のペットの生活をどうするのか』飼い主が元気なうちから考えていく必要があります。
それは時間と労力が非常にかかるため、飼い主自身の体調が悪くなってからでは遅いので注意が必要です。
飼い主がペットのためにできる対策をいくつかご紹介いたします。
①ペットの里親を見つける
②NPO法人に里親が見つかるまで預かってもらう
③ペット信託を利用する
④ペットのために遺言を作成する
⑤ペット専用のホームを利用する
一番ペットのためになるのは、知人や遠戚でペットを預かってくれる人を見つけておくことです。
事前に大切なペットを預ける人のことを知っていれば、安心して託すことができるからです。
飼い主と里親が、あまり面識がないと飼い主としても不安は大きくなりますので、何とか身近に頼れる人がいいのですが、それが難しいのが現実問題なのかもしれません・・・。
動物愛護センターが関わって対応してくれる場合もあるかもしれません。
しかしそれは、全てが上手くいってやがては優しい里親の元に行ってくれたら嬉しいですが、そのようにならないケースがあることも理解しておきましょう。
高齢者のペットに最適な動物は?
やはり、犬や猫が飼育しやすいと思います。
熱帯魚や金魚が好きな人もおり、泳いでいる姿を観て癒しを感じる高齢者もいるかもしれません。
しかし、水質管理のほか、水槽の掃除が意外と重労働となり、身体的な負担が大きくなるでしょう。
一部の人は、爬虫類なども好んで飼育する人もいます。
十分にそのペットのお世話ができず、自宅から脱走してしまった場合などは、警察や近隣住民への迷惑をかけることも考えてよく検討しましょう。
犬や猫以外なら、うさぎもいいと思います。
うさぎはトイレも覚えますし、外で散歩の必要もありません。
それでいて、飼い主になついてくれますのでとても可愛い動物のひとつだと言えるでしょう。

