病気・症状

高齢者のめまいが生活にもたらす悪影響とは?

今回の記事は、介護現場で起きている実際の経験談をもとに書かせて頂きます。

めまいの症状はいろいろありますが、本人はとても辛く「なんとかしたい!」「あれがやりたい!」と思っていても、それが実践に起こせないのが最大の悪影響でしょう。

さらに高齢者の場合は足腰が弱り、本来なら身体を動かして適切な運動により現状維持したいところですが、それさえできないことが、体力低下に拍車をかけることになります。

めまいのある高齢者に対して、どのようにアプローチして生活の質を維持しているか解説していきます。

めまいがあることを前提で老健受け入れ

今回のケースのめまいの高齢者は、「ふらふらする」「雲の上にのっている」「めが回るように感じる」というようなものではなく、「頭がグルグル回る」「天井が回る」という表現をされている人で、時には嘔吐もしています。

しかし、いつまでも地域包括ケア病棟で入院することができず、老健に移ってこられたのです。

※地域包括ケア病棟とは、急性期の治療を終えて病状が安定しているものの、すぐの退院が難しい患者や、何らかの理由で一時的な入院を余儀なくされた患者に対して、在宅復帰に向けた支援や準備を目的とした病棟です。

具体的には、以下のような患者さんが地域包括ケア病棟の対象になります。

◇急性期病棟で治療を終えたが、経過観察や療養が必要な患者
◇在宅・生活復帰のために支援が必要な患者
◇在宅療養していたが、急性疾患により入院が必要になった患者
◇家族の事情で、在宅療養が一時的に難しくなった患者

職員達ともしっかりコミュケーションを取ることができ、認知症は極軽度でした。

だから、なおさらめまいの辛さを訴えていました。

しかも、病院から老健までの車での移動も慎重に行い、嘔吐に万全の注意を払いました。

老健はリハビリ施設なのにできない現実

冒頭でもお話しましたが、リハビリ等の意欲はあります。

でも、めまいが邪魔をして出来ないのです・・・。

「大きな病院に行って原因を突き止めて治療をしては?」と考える人も少なくは無いでしょう。

しかし、『めまい』という症状の原因は非常に多岐に渡ります。

大きな病院に行って待ち時間をかけて受診したところで、「こちらでははっきりした原因は分かりません」と言われ、「次は〇〇科を受診してください」と予約を取り直して再受診することが想定できます。

もちろん、本人は酷いめまいがいつ来るのか分からない状態です・・・。

比較的めまいが落ち着いていれば、ベッド上でできるリハビリ(リラクゼーションや関節可動域訓練)はできますが、本人が求めている『歩けるようになりたい!』に向かって実施ができない現実もあるのです。

めまいのある高齢者の生活

生活といっても老健に入所中でしたので、ある程度の支援は受けることができます。

しかし今回のケースにおいては、かなり酷いめまいであったため、生活の質も著しく低下しました。

例えば、尿意や便意もあるのにトイレで排泄ができないため、終日オムツ着用です。

トイレに行こうと頭を枕から挙げるとめまいが出るのです。

食事については特に驚きました。

入院しているときから、ベッドは床と並行なままでお膳を枕の横において起用にスプーンと箸で口まで運んでいたというのです。

医学的に、人間が食事をとる姿勢というのは椅子に座って顎を引いて食べると安全です。

それは誤嚥を起こしにくいからです。

しかし、今回はそれと真逆のことをすることになり、誤嚥のリスクは極めて高い状態だったのです。

このままでは誤嚥のリスクがあるからとお話ししても「枕から一切頭を挙げられない」と言います。

これに関しては、調子が良い時に本人にベッドのリモコンを操作してもらい、15~20分かけて上半身をやっと35度程度起こしてもらうように対応しました。

お風呂に関しても、調子がいい時なら自分のリモコン操作で少しずつ角度を付けることができますが、そうでない日は入浴もできない日があるのです・・・。

もう一度大きな病院で精密検査?

繰り返しになりますが、めまいで病院にも行けないのが普通の状態です。

調子の良いときもありますが、その日は本人は勿論、だれもに分からないのです。

それでは、一応受診の予約だけ・・・と考えるのですが、本人にすればそれ自体が『ストレス』になり、意欲さえ低下させてしまう状態でした。

施設内のことなら、職員が「今日は調子が良さそうね・・・少し頭挙げてみますか?」「タイミングがあえばリクライニング車椅子で起きることもできますよ」と声掛けができるのですが、タクシーに揺られて数分もの道のりを行くのはかなり苦痛を伴うことになります。

やっと病院に着いたとしても待ち時間や移動が大変です。

それに加えて大勢の患者さんのなかにいるわけですから、なかなか大きな病院で精密検査を受けるようなところまで辿り着けないのが現状でした。

やっと診断がついたが・・・

結局、老健から5分ほどで行くことができる、協力医療機関でもある総合病院で診断がでました。

『良性発作性頭位めまい症』とのこと・・・。

医療従事者ではないので、なぜそのような診断に至ったかはここではお伝え出来ませんが、この病気は、内耳の障害が原因で生じるめまいのひとつとされています。

画像引用

耳は外側から、外耳、中耳、内耳に分けられ、いちばん奥にある内耳には、「聴覚」と「平衡感覚」の情報を電気信号に変えて脳に送るという働きがあります。

体を動かしていないのに内耳から「動いている」という信号が送られてきたときなど、内耳からの動きを伝える信号と目や筋肉からの信号が一致しないとき、めまいが起こるのです。

内耳の卵形嚢は、垂直方向を感知する器官です。

この中には炭酸カルシウムでできた耳石があり、頭の傾きに応じて耳石が動くと、「傾いている」という信号が脳に送られます。

耳石は常に代謝していて、はがれた細かいカスが卵形嚢に溜まっていきます。

これは浮遊耳石ともいわれ、何かの拍子で三半規管の中に入り込んでしまうことがあります。

すると、三半規管内のリンパ液の流れが誘発され、実際には頭は動いていないのに、内耳から「動いている」という信号が脳に送られます。

これにより生じるめまいでした。

今後の老健での過ごし方

良くなったり、悪くなったりを繰り返しながら4ケ月が過ぎています。

今では車椅子に座って食事ができる日もありますが、直接的な治療をしたわけではありません。

老健に入所すれば主治医はその老健の医師(施設長)になります。

高齢者の特徴のひとつとして、多く疾患を併せ持って治療をしていますので、それらに合わせて処方等が行われます。

よって病院ではないで専門的な診断や治療を行えず、どうしても現状を維持するような対応になるのです。

老健に入所して出来ることといえば、その時々の様子を見ながらそれに合わせた介護・看護を受けることです。

一つの症状(疾患)に対して、徹底的に検査できないということは抑えておかなければならないでしょう。

それが『医療』と『介護』の違いだと言えます。

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