これまでの記事で老健と特養の違いについては解説してきました。
今回は冒頭でその違いに少しだけ触れて、実際にそれぞれの施設において生活する場合に、どのような違いがあるのかを解説いたします。
「こんなはずではなかった・・・」などと入所してから後悔のないようにするために、施設選びの際は是非参考にして頂きたいと思います。
【おさらい】制度的な老健と特養の違い

両方とも同じ介護保険施設ですが、それぞれに違いがあります。
まず入所要件ですが、老健は要介護1以上に対して特養は原則要介護3以上となっています。
よって、施設全体の平均要介護度は老健の方が軽度で、特養の方が重度となります。
重度ということはそれだけ、職員の支援が必要な人が多いということです。
さらに大きな違いとして、『リハビリ施設』である老健に対して、特養にはリハビリはなく『生活の場』と言われています。
もし、「特養にもリハビリがある」ということを耳にした場合、多くの場合は生活の中で残存能力や潜在能力を引き出すものとなります。
入所期間に関しては、老健は3ヶ月毎に話し合いが行われ、継続して入所が必要かどうか検討されます。
一方、特養は多くの場合、本人や家族が希望しない限り終身に渡り利用することができます。
両者の違い①レクリエーションの充実度

施設の方針にもよると思いますが、レクリエーションの充実度は老健より特養の方が高い傾向にあります。
季節に応じた外出はイベント、夏祭り・納涼祭、バザーやバイキング食事会などもありますが、利用者が流動的でない特養の方が頻繁に実施されています。
老健においては、全くレクリエーションが実施されていないというわけではありませんが、日中はリハビリ等が行われるため、そこまで充実してはいないようです。
両者の違い②医療と看護

ご存じの人も多いと思いますが、老健の最大の特徴として施設長が医師でなければなりません。
そのため、医師を委託しているのではなく、常勤として雇用・勤務しているため、大きな病気の治療以外は老健内で治療を受けることができます。
では、大きな病気とは何を意味するかですか?
ひとつの考え方として『特別な薬や点滴を投与し、画像検査等により経過の確認をするような治療や手術』と考えるとわかりやすいでしょう。
よって、軽度である褥瘡(床ずれ)や誤嚥性肺炎、蜂窩織炎などの治療は老健の医師の指示で治療が行われることになります。
一方、特養は常勤で医師がいません。
そのため、多くの施設では嘱託雇用として医療に関する指示を出しています。
例えば、週に1回往診で施設内に来てもらい、一人ひとりの健康状態を確認したり、身体的な異常があれば病院への受診をお願いすることとなります。
病院ほどではありませんが、『老健は医療的な対応は早い』『特養は医療的に時間がかかる』と考えます。
両者の違い③看取り支援

特養は生活の場であり、多くの方が終の棲家として最期まで・・・と考えています。
その為、『退所=死亡』なのです。
よって、特養では施設で亡くなられた数だけ看取り介護を行っています。(急変して死亡するケースは看取り介護ではありません)
一方、老健はリハビリをして在宅復帰するための施設なので、利用者の入退所が流動的なのです。
老健の役割として、看取り介護も担っていますので、まったく実施していないということではありませんが、件数は少ないのが一般的です。
両者の違い④生活の柔軟性

老健はどちらかいうと病院寄りの考え方が多いようです。
例えば、おやつなど飲食物の差し入れが禁止されていたり、外出や外泊もなかなか自由に出かけることができません。
一方、特養は家族と一緒におやつも食べることができますし、ある程度差し入れも可能な場合が多いです。
もしご自分で食べられない人は、介護職員が介助をして食べさせたりもできます。
両者が違う理由は、やはり老健は医師が常勤でいますので、口に入るものの制限は少し厳しいです。
医師が在籍しているのに、努力を怠って血液検査をした場合に異常値を出すわけにはいかないのです。
さらに、値がひどい場合には処方も行わないといけませんので、食に関してはシビアになっています。
両者の違い⑤雰囲気が違う

老健は要介護1~5で、短期入所も含めると要支援1~の利用ができます。
特養の場合は原則要介護3~になっていますので、全体的な雰囲気として老健は活動性が高い(元気)、特養な活動性が低い(元気でない)というイメージです。
元気でカラオケをしている人もいれば、自分でトコトコと歩いてトイレに行って汚れた場合のみ支援をすることがあるのが老健で、多くの利用者が車椅子かリクライニング車椅子を使用しており、ベッド上でのオムツ交換が多いのが特養です。
両者の違い⑥持参できるもの

老健は入所したらリハビリをして退所することが原則です。
そのため、持参物(持ち込むもの)に制限がありますし、衣類等は季節ごとに持ち帰らなればならないのが一般的です。
ある程度の趣味のモノを持ち込むことは可能だと思いますが、自宅の一室のような雰囲気にすることまでは出来ないのが老健です。
特養は生活の場ですので、本人に合わせた住環境をつくるとより本人のためになります。
自宅での趣味の道具、家族写真、絵画、小物、なかには位牌を持ち込む方もいらっしゃいます。
ここで説明した内容については、施設によって方針や考え方がありますので、実際には直接確認することをお勧めします。
【まとめ】決まりが厳しいのは・・・
利用者がそれぞれの場所において、生活に窮屈さを感じるのは特養よりも老健の方が多いようです。
しかし、それは施設の性質上仕方がないのかもしれません・・・。
上記には書いていませんが、特養は住所を置ける(住民票を置く)ことができますが、多くの老健では難しいことが多いようです。
よって、すでに自宅を処分して郵便物の行き場がない場合は、家族の家に住民票を置くケースもあります。

