リハビリ

介護施設でのリハビリとは?病院でのリハビリと何が違うの?

リハビリと聞いてどんなことを連想するでしょうか?
ニュースでは『怪我をしたスポーツ選手が手術後リハビリに取り組み、前のようにパフォーマンスができるようになった』と取り上げられていたりしますね。

ここでは、高齢者が利用する介護施設ではどのようなリハビリを行っているのか?
また病院で行うリハビリと何が違うのかを解説します。

まずは整理!リハビリの専門職について

介護施設や病院ではどのような専門職が働いているか、主なものを3種類ご紹介します。

①理学療法士(PT)

歩く、立つ、座る、横になる、などの人間が生活する上での基本的な動作能力を維持・改善する専門職です。
利用者や患者の身体に直接触れてリハビリを行う以外にも、生活の中でどのようなことをすればいいかなどの指導も行います。

②作業療法士(OT)

手芸や工作、音楽や絵画などの作業を通して、日常を生きるためのリハビリを行います。
例えば脳梗塞で手術した後自宅に戻って、食事や料理、掃除や読書など、以前と同じような生活に戻れるようリハビリを行います。

③言語聴覚士(ST)

理学療法士と作業療法士は似たようなイメージかもしれませんが、言語聴覚士は違います。
言語に関するリハビリを行い、言葉に遅れがある場合や言語障害のある人などに対してリハビリを行います。
また食事に関する噛む、呑み込むなどのリハビリも行います。

介護施設におけるリハビリ

基本は身体機能維持・低下防止

特別養護老人ホームや介護老人保健施設などのリハビリで、今まで行えなかったことが飛躍的にできるようにはなりません。

介護施設でのリハビリの目的は加齢によって少しずつ衰えた機能をそれ以上低下させないようにすることです。
そのため理学療法士などが直接関わるだけではなく、生活の中で介護職員が関わっていくことが多いのが特徴です。

勿論、一度失われた機能に回復の可能性があると判断されれば、それを目的としたリハビリも行われ、今まで出来なかったことが出来るようになる事例もあります。

リハビリはプランによって実施される

全てのリハビリは個々に合わせて作成されたプランに沿って実施されます。そのため、誰一人同じリハビリをすることはありません。

例えば実施する内容の他、頻度や時間、関わるスタッフ、期間などが設定されて、それに向けてチームとして実施していくのです。

多職種連携で行うのが施設のリハビリ

専門資格を持ったスタッフだけがリハビリを行うのではありません。

例えば特別養護老人ホームの場合だと、介護職員、看護職員、栄養士などがそれぞれの立場から意見を出し、理学療法士だけに任せるのではなく、その都度関わりを持っていくのです。
栄養士も食事の際は、食事介助の現場まで足を運び食事摂取の様子を観察・考察します。

個別に行うだけでリハビリではない

個別リハビリがある一方で、集団リハビリもあります。

集団リハビリは、施設の利用者を複数集めて、塗り絵や貼り絵をしたり、歌を歌ったり、嚥下運動や全身体操を行うことがあります。
複数でのドライブや外出、散歩も集団リハビリの要素を含みます。

また認知症の予防や進行防止のために、計算問題や漢字の読み書きなどの学習療法を行う場合があります。
個別リハビリとは違って、多くの利用者と同じ時間を共有し、楽しみながらリハビリができるというメリットがあるのです。

生活が中心となっている、介護保険施設の多くで取り入れられています。

生活しやすい環境を整えることも大切

「立てかけられた松葉杖」の写真

リハビリの専門職によって、座る、食べる、歩く、横になるなどの生活場面をより快適に過ごせるよう支援することもあります。

例えば・・・

・個々に合わせた車椅子を選定し、正しい姿勢で座位を保てるようクッションを使用する。

・ベッドで横になったとき、個々の体型や骨格に合わせるようにする。

・下肢筋力が低下している場合、個々の筋力や姿勢に合わせた歩行器や杖を選ぶ。

このように安全・安心で生活しやすい環境を整えることも行っています。

病院におけるリハビリ

例えばそれまで不十分なく生活していた高齢者が脳梗塞になって、手術をしたとします。
その後、少しでも元の生活に近い状態に戻すために急性期に実施されるのが病院でのリハビリです。

そのリハビリは、手術後の状態を観て、医師の指示に従って行われます。

急性期のリハビリが終了すると、すぐに自宅や介護施設に戻るとは限りません。患者の年齢や本人・家族の希望もあると思いますが、回復期に実施される病院に転院することもあり、そこでは症状の改善、車椅子からベッドや便器に移る、復職の訓練などを高めるリハビリが行われます。

病院でのリハビリの期間は?

急性期を過ぎると回復期へと向かいますが、そのリハビリの期間は厚生労働省が定めた最大入院日数が決められています。

例えば脳血管疾患、脊髄損傷、脳腫瘍、多発性硬化症などは150日で、大腿骨骨折、股関節骨折などは90日となっています。

「まだ回復期リハビリを病院で受けたいから入院を継続したい」と希望することはできず、リハビリを開始する前に入院期間を伝えられえることもあります。

具体的にどのようなことをするの?

患者の状態、体調に合わせたプランを作成し、それに基づいて実施されます。

具体的には、下肢・上肢などの筋トレ、関節の動く範囲を広げる関節可動域訓練やストレッチ、平行棒による歩行訓練、装具を使用した訓練などがあります。

まとめ

リハビリは急性期→回復期→維持期があります。

主に急性期と回復期のリハビリは病院で行われます。一方で維持期のリハビリは介護施設などで行われます。

病院でのリハビリは以前の生活になるべく近い状態に戻すために、医師の指示に基づいて行われます。
介護施設などのリハビリは残された機能を維持したり、それ以上低下させないようにしていきます。

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