終活

看取り介護とターミナルケアの違いは?施設では別料金が必要?

「看取り介護」と「ターミナルケア」どちらも同じようなイメージがある人が多いかもしれません。

残された命に対してどう向き合っていくのか、本人や家族がとても悩むことだと思います。

今回は「看取り介護」と「ターミナルケア」がどのように違うのかを解説し、費用についてもご紹介します。

看取り介護とは

看取り介護は全国老人福祉施設協議会において定義づけをされています。

看取り介護とは、近い将来、死が避けられないとされている人に対し、身体的苦痛や精神的苦痛を緩和・軽減するとともに、人生の最期まで尊厳ある生活を支援することとさています。

簡単に言うと「その人が歩んできた道などを踏まえて、最期を穏やかに迎えてもらう介護」なのです。

よって看取り介護は、誰一人同じ方法で行われることなく、個々のプランに沿って介護が行われます。

ターミナルケアとは

「河川上の桜」の写真

看取り介護に似たものに、ターミナルケアがあります。最期を介護中心に行われることに対して、ターミナルケアは医療も関わってくるのです。

例えば、点滴などの医療行為をしながら介護も同時に行うことを指します。

看取り介護が行われる場所

上記では簡単に両者の違いを説明しましたが、実際の事例等がないと分かりにくいと思いますので、ここでは具体的にイメージできるように解説します。

看取り介護は介護施設で行われることが多い

生活の場である介護施設(特別養護老人ホーム等)で行われることが多いです。

例えば加齢と伴に食欲が落ちて、自力で栄養を摂取ができなくなります。
ここで医療的な手を加えるために病院に行くのではなく、本人の身体的・精神的苦痛を介護を通して少しでも軽減させるのです。

褥瘡(じょくそう)ができないように体位変換に努めたり、体調がいい日には入浴も行います。
また、その人が好きだった音楽や歌を流したり、無理のない範囲で思いでの場所にドライブするケースもあるのです。

自宅で看取り介護が行われることも

「どこで最期を迎えたい?」と高齢者に尋ねたら、多くの人が「自宅」と答えるでしょう。
「施設で迎えたい」という方もいると思いますが、子供たちに迷惑を掛けられないと思って施設を選択することも多くないようです。

しかし実際には、自宅で看取り介護が行われることもあります。

例えばある程度元気な間は介護施設に入所していて、医師から「そろそろ看取りの時期です・・・」と言われたとき、タイミングをみて自宅に連れて帰るのです。

要するに施設介護から在宅介護に切り替えて看取り介護を行うということになるのです。

自分が慣れ親しんだ自宅、子供や孫に囲まれた雰囲気で最期を迎えるということは、精神的にとても安心感があるでしょう。
家族からすれば、最後は自分たちが看取ったという充実感も生まれるはずです。

グループホームや老人保健施設で看取り介護はできない?

生活の場であるグループホームや、家庭と病院の中間地点とされる老人保健施設では看取り介護はできるのでしょうか?

結論から言うと、看取り介護を行われるケースもあります。

通常は両者とも看取り介護を行える性質の施設ではありません。しかし、看取り介護をして貰えるという特徴の特養に空きがなく、なかなか入所できない状況を鑑みて、看取り介護をしてくれるケースもあるのです。

例えば老人保健施設において、退所する時期が来たけれど身体を移動させるような健康状況にない場合など、施設側が配慮してくれることがあります。

ターミナルケアが行われる場所

ターミナルケアは、看取り介護とは違い、医療的ケアが積極的に行われますが、どのようなところで行われるか解説します。

医療機関(病院)で行われる

一度は介護施設に入所したけど、医療的なことを何もしないで死を迎えることに抵抗があると考える場合に、病院で行われることもあります。

例えば介護施設と違い、点滴などは24時間体制で行ってくれますし、医師との連携がスムーズで、看護師がすぐに対応してくれるという安心感があります。

日常の介護のなかで身体的・精神的苦痛を軽減させるのは勿論ですが、積極的な投薬や点滴などの医療的ケアによっても身体的・精神的苦痛を軽減出来るのです。

自宅で行われることもある

「親の手を握る子供の手」の写真

看取り介護同じように、施設介護から在宅介護に切り替えることを意味します。

訪問介護や訪問看護、家族によるケアに加えて、訪問診療などで医師が自宅まで診察に来ることもあります。

訪問看護で、訪問介護ではできない点滴など医療的側面からのケアを行うことになります。

特養での看取り介護の流れ

①入所時に説明がある

特養の特徴として、看取り介護をしてくれることにあります。
そのため、入所時に『看取り介護をするかどうか』聞き取り等が行われます。その際に、当該施設での看取り介護の取り組みについて説明を受けることになります。

勿論、特養での看取り介護を希望せず、最期は積極的な医療的ケアを行い、病院に搬送すること希望すればそのような配慮もしてくれます。

②レベル低下が確認され『確認書』(同意書)の記入をする

体力的に少しずつ衰えを感じられるようになれば、『看取り介護に関する確認書(同意書)』の記入を求められます。
積極的医療行為をせずに、当該施設で看取り介護を行うかどうかの判断をこの時に行います。

確認書の内容は施設によって違いがあります。

・救急搬送を希望するか

・点滴を希望するか

・酸素を希望するか

・最後はどこで迎えたいか

などの質問項目があり、最後に署名、押印をするようになっています。

③医師から回復が難しいと判断(診断)される

「検査結果に悩むドクター」の写真[モデル:Max_Ezaki]

積極的に医療行為を実施しなければ、身体的な回復が難しいと説明があります。
これは、医師が行うことであって、施設の看護師や介護士は行うことはありません。医師と相談して日時を合わせることができれば、家族に説明をしてくれることも可能です。

④看取り介護プランが作成される

各部署(介護・看護・栄養・機能訓練等)の立場から、身体的・精神的苦痛をなるべく軽減するにはどのようにするか、その人らしい最期迎えるにはどのようにすればいいかなどを考えてプランにしていき、実践していきます。

例えば栄養士から『最期まで本人の食べたいものを提供したらどうか』『家族でも容易に食事介助できるものはどのようなものがあるか』などの観点からプランが作成されます。

⑤人生の最後を迎える

「新緑の木漏れ日」の写真

人生最後の日を迎えると、施設は家族への精神的な支援を行ってくれる他、葬儀に関する相談などにも乗ってくれます。

特養で看取り介護をするなら費用は?

介護施設では『加算』によって費用が発生する

看取り介護加算というものが算定されるようになります。
医師が、身体的に回復の見込みないと診断した場合、これまで説明した看取り介護が開始され、費用が発生する仕組みになっています。

気になる費用は?

看取り介護加算には要件によってⅠとⅡの2種類がありますが、ここでは高額な方の『看取り介護加算Ⅱ』で解説します。

この加算は最高で30日分しか算定されないようになっています。よって、医師から回復の見込みがないと言われて、40日後に死亡したとしても、30日分の費用
を支払うのみとなっています。

その30日分の内訳ですが、

死亡した日以前4日以上30日以下 【144円/日】

死亡の前日および前々日 【780円/日】

死亡日 【1580円/日】

となっており、合計で最高額7,028円が別途必要になってきます。

ちなみに、この金額は全体の1割に当たる部分ですので、残りの9割は自治体(保険者)から支払われることになります。

  • LINEで送る