在宅介護サービスのなかにショートステイがありますが、このサービスがとても人気なのです。その人気の理由は使い勝手と良さと価格にあります。
また、このショートステイにはロングショートといって長期に渡り利用するサービスもあり、これもまた人気なのです。
まず、ショートステイについて解説し、人気の理由を丁寧にお伝えします。
ショートステイとは何か
ショートステイとは、短期入所生活介護とも呼ばれており、特別養護老人ホームや老人保健施設などに短期間だけ宿泊して生活をするサービスです。
居宅(自宅)で生活する人が利用するものです。
利用にはケアプランが必要なので、普通はケアマネジャーに依頼して予約をしますが、空きがあれば緊急時の予約も可能です。
利用者は日中リビングで過ごし、居室で就寝することになります。
サービスの内容について
特別養護老人ホーム等で生活する方達とほぼ同じ生活をし、支援を受けることができます。
入浴、排泄、食事(朝・昼・晩)、レクリエーション、機能訓練などがあります。
入浴は最低、2回/週のペースで入ることができます。排泄は、トイレに行かれる方の対応以外にも、オムツを着用している方には交換もしてくれます。食事も自力摂取される方には見守り、介助が必要な方への対応もしてくれます。
レクリエーションや機能訓練などは毎日ではありませんが、希望に応じて支援を受けることができます。
費用について
ショートステイは1泊2日から利用ができます。よって、最低料金は2日分からカウントされることになります。
今回は、1割負担となるサービス料(1割負担)、滞在費(宿泊料)、食費(3食)の3項目を合計した概算を載せます。
要支援1・・・3,800円
要支援2・・・4,000円
要介護1・・・4,100円
要介護2・・・4,200円
要介護3・・・4,300円
要介護4・・・4,400円
要介護5・・・4,500円
上記の金額は1日当たりなので、要介護5で3泊4日だと、4,500円×4日=18,000円となります。
また居室のタイプや加算の関係で、実際には金額が増減する場合がありますので、参考程度で考えておいてください。
ショートステイが人気の4つの理由
理由① 急な場合にも受け入れが可能
ケアプランに基づいた、計画的なショートステイの利用ができるのは勿論ですが、葬儀や体調不良など家族に急に予定が入った場合にも利用ができます。
その他に利用できる理由として、家族の旅行やリフレッシュ、休養などもあります。
急な場合にもすぐ利用できるようにするには、事前にショートステイの事業所と契約を済ませておくと安心です。
契約の方法は担当のケアマネジャーに相談しましょう。
理由② 送迎がある
通常、片道184円でショートステイ事業所の送迎を受けることができます。タクシーを使うことを考えればとても安価ですね。
家族が仕事の時、老々介護で送迎ができない時など、送迎をしてもらえるのです。帰りも時間を相談すれば送ってもらうことが可能です。
理由③ 費用が割安
先述しましたが、ショートステイは1泊2日から利用できます。例えば、初日の9時から翌日の17時まで利用することが可能なのです。しかも、施設との相談によっては、入浴介助もしてくれますし、夕食も食べて帰宅することが可能なのです。
勿論、宿泊を伴うので、深夜、家族はゆっくりと眠ることができるのが嬉しいです。
それで、2日間の合計が8千円程の金額なら、日帰りのデイサービスよりも割安だと考える人も多いのです。
ちなみにデイサービスだと2,000円/日ほどになります。
理由③ 施設入所に結び付きやすい
特別養護老人ホームや介護老人保健施設に併設しているショートステイなら、その施設への利用を希望すれば、スムーズに入所できるケースが多いのです。
スムーズに入所できる理由として以下の2点があります。
Ⅰ.ショートステイ時の情報共有がしやすい
施設に併設されており、場合によってはそこで働くスタッフも同じであることが多く、一人の利用者を最初から把握する必要がないのです。
ショートステイから施設入所になっても、ケアをする場所・スタッフが変わらないことが多く、スムーズに入所しやすいのです。
Ⅱ.施設側の配慮がある場合がある
施設への入所は、「その方がどれだけ施設での生活を必要とされているか」という基準で順番が決まり、申し込みが早い人が上位に来るとは限りません。
普段からショートステイを利用して入れば、施設側は心身・精神状態が把握できており、在宅介護では難しいという理解がスムーズで、入所に向けての配慮があるケースが多いのが現状です。
ロングショートとは何か
これまで解説した通り、ショートステイは通常3泊4日など短期間利用します。しかし、ロングショートは継続して利用することができます。
よって、実際は施設に入所しているのと変わらない状況になるのです。
では、なぜこのような使い方ができるのでしょうか?
それは、在宅介護が大変で施設に入所したいけど、なかなか利用できない人に配慮したものだからです。
ロングショートが利用できる条件
ロングショートを利用しようと思っても、誰でも簡単に認められるものではありません。以下の2点の条件があります。
条件①介護認定期間の日数の半数まで
仮に、介護認定期間が360日(1年)あったとします。その半数である180日(6ケ月)までは、ショートステイとして利用ができるということです。原則として、181日目以降は対象外の扱いになるのです。
条件②連続の利用が30日まで
30日目までは介護保険で算定できるのですが、30日を1日オーバーして、31日目になったら、それは介護保険対象外になり、1日分のみ全額自己負担となるのです。そして、32日目から30日間は再び介護保険の対象となり利用できます。
30日(介護保険)⇒ 1日(自己負担)⇒ 30日(介護保険)⇒ 1日(自己負担)⇒・・・結局ロングショートって簡単にはできない?
上記の条件があるのなら、なかなか家族が考えているようなロングショートの利用はできない…と考えるでしょう。
特養に入所させたいのに、その期間だけロングショートに依頼するとすれば、いつ出ていかなくなるか分かりません。そこで、対応策があるのです。
例えば、「在宅介護ではどうしても介護ができない」「特養に入所させたいけど順番待ちをしているがそれまでロングショートを使いたい」と、保険者(各自治体)に伝えれば、総合的に勘案して特養のように長期に渡るロングショートが認められる場合があります。
なかには、2年間に渡り、ロングショートを利用している人もいます。
本人や家族では、保険者に上手く伝えられないと思います。そんな時は、担当のケアマネジャーに依頼するとスムーズです。
ロングショートの素朴な疑問
外出・外泊はできるの?
外出は家族の手配によって可能です。例えば、介護タクシーを施設まで行くように予約しておいて、そこで家族と合流して出かけるのです。
外泊に関しても可能ですが、外泊前の状態を施設にしっかり確認して、異常事態に備えておく必要があります。
主治医との関係はどうなるの?
繰り返すことになりますが、在宅介護を受けている人がロングショートを利用することになります。よって、在宅での主治医が、そのまま継続されます。
医師によっては施設まで訪問診療をしてくれますが、家族の手配で病院まで診察に行かなければなりません。
併設されている施設以外の施設入所はできるの?
ロングショートが併設されていない別の施設に入ることは可能です。
ロングショートは施設が決まるまでの仮住まいと考え、安心できる施設が決まるといいですね。