褥瘡(床ずれ)は寝たきりでなく、車椅子生活でも発症します。
介護を行っている家族にとって、褥瘡の予防は大切で、発症してしまったら一刻も早く治癒したいと考えでしょう。
今回は、在宅介護において、家族でもできる褥瘡の予防や治療を解説します。
褥瘡に関する基本的なことは、こちらからご覧いただけます。
家族が行える褥瘡の予防
一度褥瘡になってしまえば、簡単に治すことは難しいです。そのため、介護する家族は正しい知識を身に着けて、予防を行うことが大切です。
傷は早めに治す
褥瘡の好発部位に傷ができれば、やがてそれが褥瘡になるケースもあります。
特に寝たきりの人の場合、引っかき傷のような小さなものでも、その部分に圧がかかると褥瘡へと移行することもあるのです。
オムツ交換や入浴など、肌を露出する機会がある際には皮膚の状態を観察し、異常があれば早めに医師や看護師に相談しましょう。
湿気を除去する
汗やお茶の食べこぼし、それに排泄物によって皮膚は湿気を持つようになります。
汗かきの人は、その都度衣類交換をするのは勿論ですが、オムツに排泄物が出た際も早めに交換する方が皮膚には優しいです。
最近のオムツは高吸収で、性能が高いものがたくさん販売されています。直接、排尿が臀部に接することも少ないかもしれませんが、オムツ内は湿度が高くなり、褥瘡の発症リスクを高めてしまうのです。
好発部位を把握する
褥瘡は発生しやすい部位が決まっています。
図のように、ベッドで横になっているだけでなく、車椅子に座りすぎていても褥瘡になる部位があります。
皮膚の観察をする際は、全身をくまなく観察するのも良いですが、好発部位を意識して確認するようにしましょう。
清潔を保つ
湿気のところでも触れましたが、臀部や仙骨部はオムツをしている場合、褥瘡になるリスクが高くなります。排尿の場合に、オムツ交換をして清潔にするのは勿論ですが、排便の際も迅速にオムツ交換を行い、清潔を保つようにしておきましょう。
栄養状態に気を付ける
褥瘡は身体の内側からも発症するリスクを高めてしまいます。それは栄養状態です。
栄養状態が悪いと、体重やBMIの著しい現象がないか確認しながら、日々の食事に配慮しなくてはなりません。
圧を分散させる
褥瘡の好発部位が理解出来たら、それを踏まえて圧を分散させることに取り組んでみましょう。
褥瘡は、皮膚の一か所に圧が集中すると血流が悪くなり、まず赤みを帯びてきます。
それが褥瘡の前兆になります。
前兆が現れる前に、圧を分散させて予防するのです。
ベッド上で横になっているのであれば、身体の向きを変えたります。これを体位変換といいますが、介護者が行わないでも自動で行ってくれるベッドもあります。
介護者が体位変換を行う場合には、クッションなどを利用して実施する方法もあります。
車椅子生活の場合には、ついつい車椅子上での生活が長くなってしまいますが、時にはベッドや布団に横になって圧を分散させることも重要です。
車椅子や椅子に座る場合には、体圧を分散させるクッションを敷くのも一つの方法です。
体圧を分散させる クッションは、リハビリの知識がある専門家の意見を聞いて購入することをお勧めします。
治療の基本は医師や看護師
褥瘡の予防に取り組んでも、発症してしまうこともあります。
そんな時は、素人判断で処置しないで、必ず医師や看護師に相談しましょう。
例えば、初期の場合だと訪問看護での処置で完治するケースも多くあります。訪問看護は毎日利用することはないと思いまので、指導を受けて家族が処置することも重要になってきます。
家族ができる褥瘡の処置
繰り返しますが、あくまで医師や看護師の指示に従って処置をするのを基本として下さい。
褥瘡はその時々の状態によって、処置の仕方を変えて、最も適切な方法を選択するからです。
例えば、訪問看護を週に2回入れたとします。その2回だけで褥瘡の処置をするのではなく、その日以外も実施しなければ改善が難しいです。
そのため、家族の協力は必要となってきます。
ここでは、一番褥瘡のリスクが高いとされている『仙骨部』を例にして解説します。
① 必ずビニール手袋やゴム手袋を準備しましょう。
② オムツをしている場合は、先に排泄物を取り除きます。
③ 患部を清潔にするため、石鹸と温水で汚れているものを洗い流します。
④ 清潔なガーゼなどで水分を取り除きます。
⑤ 患部に軟膏等を塗り、清潔なガーゼ等で保護します。
一口に軟膏といってもその種類は様々であるため、医師の処方や看護師の指示などで使っているものを選択するようにします。
褥瘡の処置は家族だけで対応しない
家族としてできることは、まず予防です。予防はこれまでに述べた方法で構いませんが、褥瘡の好発部位に赤みが出ていないかを確認することが大切です。
赤みがあれば、それは褥瘡の前兆ともいえる現象なので、すぐに介護や医療の専門家である介護福祉士や看護師に状態を見てもらいましょう。
●介護福祉士→訪問介護、デイサービス、ショートステイ
●看護師→訪問看護、デイケア、病院受診(往診)、回診
このような機会に専門家に確認します。
発見した時期が早ければ早いほど、改善されるスピードも違ってくるのでとても大切です。
まとめ
褥瘡は、高齢者にとってとてもリスクが高い皮膚の病気です。介護施設などでいくら気を付けて褥瘡予防をしていても、低栄養状態などから発症してしまうこともあります。それは家庭においても同じで、あまり知識がない家族の場合、より一層褥瘡に対して注意が必要です。
もし、褥瘡になっているかも・・・と感じたら、なるべく早く専門家に相談して適切な対応を取っていきましょう。