終活

何をすればいい?IT社会におけるデジタル終活とは

終活とは、人生の終わりに向けた活動のことです。

終活の中で自宅の整理や不用品の処分などを行うことは周知されていますが、意外と盲点になるのがデジタル終活。

普段の生活の中で何気なく利用しているパソコンやスマートフォンなど、デジタル社会ならではの終活が存在します。

この記事ではデジタル終活とは何なのか、またデジタル終活のメリットや具体的な方法についてくわしく解説します。

終活を始めようと検討されている方は、ぜひデジタル終活のことも知っておいてくださいね。

デジタル終活とは

デジタル終活とは、スマートフォン・パソコン・クラウドに保存されたデジタルデータを、生前のうちに整理しておくことです。

筆者の周囲にも『家族が亡くなったあとでネット銀行の口座やパソコン自体のIDやパスワードがわからず大変な思いをした』という人がいます。

次にあげる3つの項目の中で、思い当たることがあればデジタル終活を行いましょう。

スマートフォン・パソコンのデータ

近年では高齢者の方の生活にもスマートフォンやパソコンは密着しています。

写真・動画・住所録などの個人情報はもちろん、中にはネット金融のオンライン口座など資産に関わるデータを保存していることも多いものです。

他人に見られたくないデータや重要な個人情報などは、整理をしておくことが必要になります。

エンディングノートなどを活用し、ID・パスワードなどがわかるようにしておきましょう。

特に金融関係は相続の問題に直結しますので、不要であれば解約を行うなど自分ができるときに整理しておくことがポイントです。

インターネット上のデータ

インターネット上のデータには、以下のようなものがあります。

  • SNS・ウェブサービスなどのアカウント情報
  • クラウドストレージに保存されたデータ
  • Gmail・Yahoo!メールなどのメール情報

インターネット上のデータには、知らないうちにさまざまな個人情報が残されています。

IDやパスワードなどを管理するだけではなく、自分が亡くなった後にデータをどのように扱って欲しいかを明確にしておきましょう。

自分で管理できているうちは良いですが、家族が整理しようと思ったときに処理に困るということが考えられます。

SNSのアカウントを放置しておいて乗っ取りに遭った…などという事例もあるため、インターネット上にどんなデータが残されているのかを確認することが必要です。

サブスクリプションサービスなどのアカウント情報

近年人気のサブスクリプションサービスを利用されている方も多いことでしょう。

サブスクリプションサービスは、解約の手続きを行わない限り支払いの義務が発生します。

思わぬトラブルが起こる可能性もあるので、サブスクリプションサービスを利用している場合は、整理を行うことが重要です。

  • 不要なサービスは解約をしておく
  • 家族に解約をお願いする場合はアカウント情報などを残しておく

サブスクリプションサービスは非常に便利なものですが、トラブルが多いのも事実ですので、デジタル終活の一環として見直しを行っておきましょう。

デジタル終活を行うメリット

『デジタル終活』は聞きなれない言葉かもしれませんが、大きなメリットがあります。

どんなメリットがあるのか、主なものを3つご紹介しましょう。

デジタル資産の所在を明らかにできる

デジタル資産は秘匿性の高いものですので、家族が知らないということも少なくありません。

そのため所在がわからないままになってしまうことも…。

ネット金融などを利用している場合は、必ず遺族が管理できるように情報を残しておく必要があります。

デジタル終活を行っておくことで、デジタル資産の所在を明らかにできるため、遺族が把握できずに困るというトラブルを防ぐことができることがメリットです。

プライバシーの保護ができる

いくら家族とはいえ、他人に見られたくないデータというものもあるでしょう。

デジタル終活には、プライバシーデータを自分で管理・処分ができるというメリットもあります。

自分の情報だけではなく、友人と一緒に写っている写真など、他人の情報が含まれていることが多いのも特徴。

デジタル終活であらかじめ整理を行っておくことで、プライバシーの保護を行うことができます。

個人情報の流出を防げる

ネットショッピングやサブスクリプションサービスなどで登録してある、クレジットカード情報や住所などは、放置してしまうと不正利用などのトラブルを招くことがあります。

デジタル終活で整理を行い、家族の名義へ変更したり、自身の情報を削除したりすることで不要なトラブルを回避できるでしょう。

生活に必要最低限なものは残しておき、家族に伝える・エンディングノートへ記載するなど、遺品整理の際に困らないようにしなければいけません。

個人情報の流出は『自分は大丈夫』ということは絶対にないので、デジタル終活のメリットの1つといえます。

デジタル終活の具体的な方法

デジタル終活には効果的な手順があります。

闇雲に行ったところで方法を間違えると、余計に手間がかかることも…。

正しい手順を理解して、できるタイミングでデジタル終活を行いましょう。

①デジタルデータの棚卸し

まず初めに行うことは、デジタルデータの棚卸しです。

スマートフォンやパソコンなどに残されている『オフライン情報』とインターネット上に残されている『オンライン情報』に分けて棚卸しを行ってください。

できる限りエンディングノートなどの書面に残すことがポイントです。

自分自身でもわからなくなる可能性もあるので、まずは機器やサービスごとに棚卸しを行ってください。

②デジタルデータの分類

棚卸しができたら、次にデジタルデータを分類します。

  1. 非常に重要で残しておくべきもの
  2. 他人には見られたくないもの
  3. できるだけ残しておきたいもの
  4. できるだけ隠しておきたいもの
  5. 削除しても問題のないもの

以上5つのカテゴリーに分けてみてください。

この中で削除して問題のないものについては、サービスの解約・アカウント情報の削除などの対応を早めに行います。

残しておきたいけど他人に見られたくないデータに関しては、パソコン上にフォルダーを作り、パスワードを設定しておくことがおすすめです。

③エンディングノートの作成

デジタルデータの分類が終わったら、結果をエンディングノートに記載しておきましょう。

  • 重要なデータへのアクセス方法
  • 自分の死後に削除してほしいデータ

などを明記しておくことで、遺族の負担は大きく軽減されます。

特にデジタル金融資産に関しては相続の手続きがスムーズに行えるようにしておいてください。

エンディングノートに関する詳細は、以下の記事で紹介しています。

まとめ

終活は自分のためだけではなく、残された家族の負担を軽減する目的もあります。

IT社会の現在は、デジタルデータの整理=デジタル終活が欠かせなくなっており、データを放置したことで起こるさまざまなトラブルも報告されているのが現実です。

パソコンやスマートフォンなどの機器だけではなく、インターネット上に登録された個人情報などは、できる限り自分自身で整理をしておきましょう。

特にネット金融などを利用されている場合は、相続や取引継続による損失などのトラブルが散見されます。

終活の一環として取り組まなければいけないデジタル終活にぜひ取り組んでみてください。

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