今回の記事は、介護施設への入所を検討されている本人やその家族に、是非ご一読して頂きたいものになっています。
介護施設といっても、その種類はたくさんあり、費用や要介護度などによって実際に選択する施設は違ってきます。
どのような種類にするか決めたとしても、具体的にどこの施設にするか最終決定するのは、本人や家族なので、後悔のないようにしたいですよね?
入所申込みをする前に、見学をする機会があるかもしれませんが、どのような視点・ポイントで行えばいいかを具体的にお伝えし、その施設で働くスタッフにはどのような質問をすれば効率よく情報収集ができるかもこの記事でお伝えします。
ポイント① 見学は電話対応から
足を運んで施設内に入る見学前から、本当の意味での見学は始まっています。
入所の希望や、見学の予約をする場合には、担当ケアマネジャーを通したりメールで連絡するのではなく、直接電話することをお勧めします。
その理由として、電話の対応でその施設のサービスの質がある程度分かるからです。
介護はサービス業です。
サービス業でありながら、電話をしてきた相手対して失礼のないような対応ができるのは勿論のこと、懇切丁寧で爽やかな対応を行って、電話相手に好印象を持って頂くということは必要なことです。
このような対応ができないのは、職員への教育が十分に行き届いてない証でもあるのです。
電話での対応も十分できないのに、介護の内容が十分に出来ているのは考えにくいですね・・・。
ポイント② 空調を確認
加齢に伴い体温調整が難しくなりますが、その管理がしっかりできているかどうかの判断をするために、適切な温度に環境整備されているかを確認します。
真夏の暑い時期には、脱水症や熱中症にならないように、また冬場の寒くて乾燥している時期には、適切な湿度管理をしながら底冷えしないような温度管理が出来ているかが大切です。
『寒い』『暑い』は個人の感覚によっても違うため、的確に確認するのは難しいと感じる人もいると思いまが、重要になってくるのは、『温度計』や『湿度計』の設置の有無です。
そして、室内の温度が個人の温度感覚ではなくて、それらによって管理されているかを確認するのです。
具体的な温度として・・・
◆冬場・・・20℃~22℃
◆夏場・・・24℃~28℃
これぐらいの数値を目安にしましょう。
ここで注意することは、エアコンの設定温度ではなくて、実際の温度だということです。
ポイント③ 室内の臭い(匂い)
高齢者施設なので多少の臭いはあります。
生活の場で、臭いがすることは仕方がないことです。
臭いの原因についてはこちらからの記事を合わせてご確認ください。
しかし、上の画像のように鼻をつまみたくなるくらい臭いがしする施設は異常です。
まずは、玄関先の臭いはどうか?
次に廊下の臭いはどうか?
できれば、居室の臭いはどうか?
確認していきましょう。
同時に、空気清浄機の設置や適宜換気されているかも尋ねるといいでしょう。
ポイント④ 自然に聞こえる言葉使いに耳を傾ける
見学に訪れた本人や家族に対して、敬語で丁寧な態度をとることは当然なことです。
しかし、スタッフ同士の会話はどうでしょうか?
「○○ちゃん、パット持って来て!」
「○○くん、違う!ちゃんとやって!」
このような話し声が聞こえてくると要注意です。
一般企業でも同じですが、最近は「ちゃん」「くん」などを使わないのがビジネスマナーとして浸透してきています。
また、人前で職員を叱ったり、怒鳴るようなことがあれば論外ですし、これはパワハラに該当する可能性もあります。
他にも・・・
①身体的な攻撃
②精神的な攻撃
③人間関係からの切り離し
④過大な仕事量の要求
⑤過少な仕事量の要求
⑥個の侵害
職員間の人間関係が良くない状態であれば、職員と利用者との関係も良好に保つことはなかなか難しいと思います。
ポイント⑤ できれば施設長と会ってみる
介護施設の規模が大きければ、大きいほど施設長や理事長は現場から遠のく傾向にあります。
介護現場は介護現場に任せて、施設長や理事長は部屋で閉じこもっていたり、出張などで外出していることが多いのです。
介護の質も含めて、トップがどれだけそれに関わっており、指示命令系統が成り立っているかも大切なことです。
施設の中には、『施設長はお飾りだ』という風潮もあるようですので、しっかりリーダーシップを取って、職員全体をまとめて質の高い介護支援を目指している必要があります。
見学で聞くべき質問
折角見学に行ったのであれば、見るだけでなく、分からないことはどんどん質問してみましょう。
しかし、具体的にどのような質問をすれば、効率よく情報収集ができるか分かりにくいかもしれません。
ここでは、具体的にどのようなことを質問すればいいかお伝えします。
質問① 利用料金について
とても重要なことであり、「そんなこと聞き忘れる事なんてない!」と思う人もいるかもしれません。
単に、月々の利用料金を質問するのでは、後々後悔することもあるかもしれません・・・。
★★★利用料金について質問する際の注意点★★★
①提示された料金以外に必要なものはないのか?
(おむつ代やクリーニング代を別途請求されるケースがあります)
②医療費は含まれているか?
(老人保健施設の場合には含まれています)
③入所前に準備しておかなけばならない物品はないか?
(本人が希望すればTV等の持ち込みをする場合があります)
④今後要介護度が上がった場合の将来的な利用料金はいくらか?
(入所した状態のみの料金だけではなく、今後いくら必要になるのかも確認が必要です)
質問② 面会について
新型コロナウイルスが5類に引き下げられて、インフルエンザと同じ扱いになった今、面会は自由に出来ると思っている人もいるかもしれません。
しかし、実際の介護現場は違います。
介護施設の多くで、引き続き面会制限を行い、新型コロナウイルス感染に対して警戒を継続しているのです。
ここからはある介護老人保健施設の面会が、2類から5類に引き下げられたことによって、どのように変化したかをお伝えします。
面会制限緩和の具体例
①直接、対面で面会ができるようになった。但し、時間に制限があり15分間となっている。
②面会場所は、玄関やホールなどの共有スペースとなった。
③完全予約制でなるべく希望する日に面会ができるようになった。但し他に予約が入っていれば予約はできない。
④県外の人でも、発熱がないなどの条件を満たしていれば、面会ができるようになった。
このようなものがあります。
以前より若干面会の規制が緩くなったという状態であり、実際に感染者が出たりクラスターが発生すると、その時点で全ての面会が中止する可能性もあるのです。
では、国では面会の規制についてどのように考えているかが気になるところですが、基本的に施設の方針に任せるようになっているのです。
かなり、面会が緩和されている施設もあれば、まだまだ厳しい施設もあります。
家族が入所した場合、どのような時間にどれぐらいの頻度で面会ができるのか、確認をしておくと後になって「こんなはずじゃなかった・・・」と思うことがないかもしれません。
質問③ 病院受診について
施設に入ると、介護と医療を同時に受けることができるようなイメージがある人も多いと思います。
例えば、特別養護老人ホーム(特養)を例にとって考えてみます。
多くの特養では、病院などの医療機関と嘱託契約を結び、その医師が回診や薬の処方を行っています。
しかし、急変時や何らかの疾患に罹患した場合、継続して介護施設で対応を受けるのではなく、医療機関を受診・入院するようになるのです。
では、このような手配や搬送は誰がするのか・・・ということになりますが、施設によっては外部病院への診察等は全て家族にお任せしているというところもあります。
となると、家族はそれを負担に感じる人もいるでしょう。
仕事や家事・育児で手が離せない時に、介護施設に入所している親が病院を受診するとなると、生活のバランスが崩れてしまうでしょう。
もし、入院ともなる病院からは・・・・
「付き添いが必要です」
「ご飯はお手伝いにくて下さい」
「足りないものがあるので至急持って来て下さい」
このようなことを言われる可能性だってあるのです。
介護施設がどこまで、医療機関に関わってくれるのか確認しておいて損はないと思います。
難しいけど確認できればいいこと
実際にはなかなか難しいけど、確認することができればいいこととして、食事の内容があります。
食べることは、年を重ねても数少ない楽しみの一つです。
食事がお口に合うかどうかはとても重要なことであり、生活の質(QOL)を左右するものの一つのなります。
以下の点について、チェックしましょう。
実際に食べてみる
『百聞は一見に如かず』という言葉があります。
色々質問してみるのも良いのですが、事前に見学の予約をすることによって有料で試食ができる施設もあります。
電話で見学の予約をする際に、「食事の試食はできますでしょうか?」と尋ねて、実際に食べてご自分のお口に合うかどうか確認してみることが出来れば良いですね。
調理・提供方法を尋ねてみる
施設によっては、冷凍されたものを温めて提供するところもあれば、施設自前のスタッフにより全ての過程で調理を行い、新鮮な具材で作られた料理を提供してくれるところもあります。
また、調理の全てを外注(委託)にすることによって、少しでも経費削減に繋げようとしている施設もあります。
どのような方法で調理されているか、事前に確認できれば良いですね。
配膳風景をみてみる
職員が黙々と配膳している施設もあれば、メニューの説明をしながら丁寧に対応してくれている施設もあります。
また、配膳車に保温・保冷機能が付いており、温かいものは温かい状態で、冷たいものは冷たい状態で提供できるようにしている施設も多くあります。
どのような雰囲気・方法で配膳されているか、実際に確認できれば良いですね。